XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年5月3日から6日の放送では、2015年に生まれたイギリス発の金融アプリ「Revolut(レボリュート)」のCXを紹介した。次世代型金融アプリのRevolutは、カード決済や両替、割り勘、家計簿機能などパーソナルファイナンスにまつわるすべての行動を一元化できる。
放送では、同社広報の加藤麻美氏にサービスの基本的な機能に加えて、生まれた背景やRevolutがユーザーにもたらす体験、今後のビジョンなどについて語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
手数料無料を実現する、若年層にも優しい金融アプリ
――グローバルでユーザーは1500万人を超えるそうですが、どのようなユーザー層から支持を得ているのでしょうか。
最初は「ミレニアル世代に支持を得る金融アプリ」という位置づけで、欧米のユーザー向けに提供していました。しかし、ユーザーが増えるにつれて、Z世代と言われるユーザーもどんどん増えてきています。なぜなら、既存の銀行サービスはデジタルネイティブ世代をターゲットにしてこなかった背景があります。また、欧米では日本と異なり、学校でも家庭でも早期からお金に関する知識を身につけることで経済的自立を促す文化が根付いています。親から子へのマネー教育を実践するアプリとして、デジタルネイティブであるZ世代およびその親世代から人気を博しているのが理由です。
Revolutは保護者の同意のもと7歳からジュニア向けアプリを利用でき、カードを持つことも可能となっています。未成年向けの機能があることにより、Z世代のユーザーは続々と増えていますね。
――基本的な機能についても教えてください。
まずアカウントをつくると、VISAデビットカードが発行されます。物理的なカードやバーチャルカード、または一回で瞬時に消える使い捨てカードのような「ワンタイムバーチャルカード」があり、ご自身のお買い物や目的によって使い分けすることができます。
他にも、アプリ内で割り勘や個人間送金をしたり、両替して海外の銀行へ国際送金をしたりすることが可能。Revolutでは、現在23種類の通貨に対応しているのが大きな特徴です。
これまでの両替とは、基本的には手数料チャージありきの世界でした。しかし、私たちは「手数料で儲ける」という発想ではなく、「いかに両替も手数料無料で行うのか」ということを最大限実現するサービスを目指しています。そのため、通常平日の両替であれば手数料は取っていません。
幅広い世代に「コントロールできるお金の流れ」を提供する
――決済アプリの基本的な機能だけでなく、23種類の通貨への両替が可能なこと、手数料が無料というのはすごいですね。どのような経緯があり、Revolutは生まれたのでしょうか。
創業者がヨーロッパへの出張で両替や海外送金をする際に、不透明で理不尽な手数料があることに憤りを覚えたことが始まりでした。もともと彼はトレーダーだったのもあり、ユーザーが疑問を抱かない、シンプルで公平な金融サービスをつくりたいと2015年に創業したんです。
――ユーザーにとっては、どのような体験価値をもたらすのでしょうか。
日々の意思決定や、習慣などお金にまつわるご自身の行動が変わることが一番の体験価値だと考えています。自分のお金を意識的にデザインすることは一見当たり前の権利のように聞こえますが、デジタル技術が追いついていなかったり、お客様が金融サービス側に能動的に働きかけないと欲しい情報を得られなかったりしたため、従来はなかなか難しかった。そういう意味で、今まではお客様がコントロールされていた部分がとても大きいと思っています。
私たちは、もともと持つべき「お金をコントロールする権利」を戻すために、お客様のお金との付き合い方を新たに構築しています。お金の流れをリアルタイムに確認できるだけでなく、透明性を確保し、さまざまな機能を自動化する。努力しなくても簡単にお金の流れを追えて、ご自身で改善していただけるような仕組みをつくっています。
――リアルタイムがもたらすことへのお客様の満足度はどのように感じていますか?
決済の記録がリアルタイムで分かることは、小さな気付きややる気を生むきっかけとなり、「今月は支出を5万円以内で抑えよう」「もともと家計簿に興味がなかったけど見直してみよう」といったことにつながることがあります。お金の管理に対して「ちょっと面倒くさい」などマイナスのイメージを持っていた方々への負担を減らすことができていると思います。
資産形成を学ぶ最初の場として、若年層の活用が拡大
――これまでの概念を覆すサービスを提供していることから、「チャレンジャーバンク」と呼ばれているそうですね。
チャレンジャーバンクとは、一般的に「銀行免許を新規取得して銀行業に参入」した事業者のことを指します。これまで金融業界や銀行は基本的に銀行免許を持っている既存プレーヤーだけがコントロールしていた世界で、100年以上にわたり、いつも同じような顔ぶれが並んでいる業界でした。そこに、新たに免許を取得して新規参入し、支店を持たずに、テクノロジーを活用したモバイル専業のサービスが拡大しました。
2010年以降はイギリスを起点として、ヨーロッパやアメリカ、今ではアジアも含め世界中にチャレンジャーバンクと言われるプレーヤーが生まれ始めているんですよ。
――Revolutのような新しいサービスが生まれたことによって、業界内の変化も起き始めているのではないでしょうか。
そうですね。スマートフォンの普及によって、Revolutのようなテクノロジーを活用した金融サービスは、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)を推進する担い手として期待されています。従来だと経済力や信用力などの問題で銀行口座にアクセスできない「アンバンクド」の方々を排除することなく公平にサービスを提供しています。特にアジアやブラジルは銀行口座を持たない人が多く、ベトナムだと人口の約半数が銀行口座を持ちません。そのため、逆に金融サービスすべてをアプリを使って指先一つで一括管理をするライフスタイルに移行しており、Revolutのようなモバイル専業の金融サービスと相性が良いと言われています。
――若年層にとっては、どのような体験の提供につながっているのでしょうか。
資産形成について、初めて学ぶ場である家庭に貢献できていると考えています。Revolutはリアルタイムでデータの分析をしており、資産がどのような状況かを常に確認できます。「今いくらあって先週からどのくらい減ったのか」という部分に透明性を持たせることが可能です。そして、お子様だけでなく、ご両親と一緒に親子でお金に関する目標を立て進捗を管理していく。そういったバランスを大事にしています。「お金のリテラシーが未成熟な子どもにとって害になるのでは」という声もありますが、その懸念は払拭できていると思います。
「自分のお金を自分でデザインする」が当たり前の世界へ
――セキュリティについては、どのような取り組みをされていますか?
セキュリティは非常に注力している部分です。たとえば、盗難や紛失した可能性があった場合、常にカードのフリーズ、またはフリーズ解除をアプリ上からワンタップでできます。紛失しているかを確認するためには時間がかかりますよね。その間にとりあえずフリーズができるようになっています。もしもカードがあった場合は、またアプリ上からフリーズ解除をすればいいのです。
もし本当にカードがなくなってしまった場合には、そのカードを削除して新しいカードを使えばいい。会員の種類によって変わるのですが、アプリ上で新しいカードを発行することも可能です。たとえば、「生活費はこのカード、サブスクリプションサービスの利用はこのカード」といったように複数枚所持し、使用用途によって分けて使うこともできるんです。
――ありがとうございます。最後に、今後のビジョンについて教えてください。
直近では、5月11日に国内送金に関する機能をローンチしています。これまでも、国内の銀行からRevolutに入金はできていたのですが、Revolutアカウントから国内銀行口座への送金にも対応しました。基本的なお金の流れは、お客様ご自身の意向に応じてデザインできるような世界を当たり前にしていくため、今後も機能をアップデートしていく予定です。
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