XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年6月28日から7月1日の放送では、世界的に有名なフィッシングブランド「DAIWA」を展開するグローブライド株式会社(以下、グローブライド)のCXを紹介した。アウトドア人気による釣りへの関心も高まっているなかで、同社は顧客との新たな接点を作り出している。
放送では、同社で広報室室長を務める吉川隆氏に、釣りを通じて得られる体験やアパレルブランド「DAIWA PIER39」を立ち上げたきっかけなどについて語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
コロナ禍により初心者も参入しフィッシングブームが再来
――現在までに釣りのユーザー人口はどのように推移してきたのでしょうか。
釣り人口は概ね1990年代が最大のピークでした。そこから徐々に人口が減り続け、2019年には微増に転じました。そして2020年には釣り人口が急増し、その背景としてコロナ禍の影響でアウトドアアクティビティが注目され、釣り初心者の方が参入されたのことが大きいです。また90年代の釣りブームのときに、小中学生で釣りを楽しんだ方が、親になって、改めて釣りを子どもと楽しむという動きがでてきました。釣りは今まさに人気が再燃しているという印象を受けています。
――釣りを体験したユーザーは、どんな部分に満足感を得ていると思われますか。
釣りはプロセスを非常に重んじるレジャースポーツです。釣り糸を垂らして出会い頭に「釣れちゃった」というのではなく、戦略を立てて「狙って釣る」ことに対して満足を感じるのではないかなと思います。自分で「どうすれば釣れるのか」という戦略を立て、イメージ通りに釣れるというのが一番の醍醐味ではないかなと思います。
あとは、いろいろな餌を使って釣るという印象を持たれる方が多いと思うのですが、2000年ぐらいを境にして、疑似餌であるルアーを使う釣りが一気に拡大しました。釣りたい魚にあわせて、ルアーを操りアクションさせ、その操作性を高めるためのギア(釣具)を選んで組み合わせられるので、大人の男性や男の子にとってカスタマイズの楽しさや、戦略性の高さに魅力を感じ、熱中する方が多いですね。
BEAMSとコラボした大自然と都会をシームレスにつなぐアパレルブランドを展開
――アパレルブランドの展開も始められたそうですが、なぜ進出されたのでしょうか。
「DAIWA PIER39」というブランドを展開しているのですが、これはセレクトショップのBEAMSさんにすべてディレクションしていただき、弊社が生産販売を行っています。もともと、フィッシングブームが再燃する動きが噂されるなかで、新しい参入方法を模索していました。その折、BEAMSさんがブランドコンサルを始めたと聞き、ファッションから釣りへの入り口を作っていけたらと考え、弊社にとって魅力的な両社の試みがスタートしました。
「DAIWA PIER39」のコンセプトを考える上で大切にしたキーワードは、我々が釣り具メーカーとしてフィールドとしている「大自然」と、BEAMSさんが持つスタイル「都会」です。この2つのキーワードを軸に自然と都会をシームレスにつなぐリアルクローズを展開しようと始まったのが「DAIWA PIER39」です。
――「DAIWA PIER39」のアイテムにはどんな特徴があるのでしょうか。
実は2019年にBEAMSさんといろいろと協議する中で、当時フィッシングベストが久しぶりに街着として注目されていたんです。ただフィッシングベストは、表側にポケットがたくさん付いており、それが必ずしもすべての方に評価されるというわけではないと思いました。そこで、ポケットを上着の内側にデザインしたことが、今ではアイコンになっています。
そして、アウトドアのウェアも同じだと思うんですけども、常に両手が自由に使えないと、釣りもできない、山も登れないですよね。このあたりの機能をBEAMSさんのほうで非常に細かく考えられて、それをうまく表現できたのが「DAIWA PIER39」だと思います。
服を通して釣りの経験ない人にも良さを伝えたい
――アパレル不況といわれる中で、多くのユーザーの関心を集め、新宿伊勢丹で展開したポップアップショップでは商品が即完売したそうですね。
フィッシングウエアをカジュアルウエアとしても十分に機能できるように、みなさんにお届けすることが長年の夢だったので、今回ようやく形にすることができました。我々としては釣りの経験がない方々に、釣りの良さを認めていただいたり、釣りに興味を持ったりしていただきたい、と日々思っていました。
「DAIWA PIER39」を通じてお客様に新しいカルチャーを感じていただき、弊社の機能素材やBEAMSさんの作るアパレルのデザイン性を高く評価していただけたのではないかと思います。着用しているお客様の様子を見ると、見事に街着として着こなしていただけているなあ~、という印象です。
――プロダクトを紹介する際に工夫されたことはありますか。
ビジュアルには特にこだわりました。基本的にはBEAMSさん主導の中で写真や動画を撮影したのですが、商品を魅力的に見せるビジュアルづくりに加えて、お客様がビジュアルを見て商品のある生活をリアルに想像できるかを大切にしました。
例えば、ポージング一つとっても、釣りをする際のマナー違反になっていないかなど細かくチェックしながら、ビジュアルを作り込んでいます。
子ども向けの釣りを、その体験を提供することで生き抜く力を磨く
――釣りへの関心を高めるために、アパレルという新しい入口を作るだけでなく、釣り体験の場も提供しているそうですね。
1976年から小中学生を対象にした会員制の釣りクラブ「ダイワヤングフィッシングクラブ」を運営しています。弊社の社員がお子さんを釣り場まで連れていき、釣り方のいろはを教えます。技術的な釣りを教えることはもちろん、生命の尊さや自然の営みなども説明しながら、釣りの魅力をお伝えしています。
参加いただいたお子さんのご家族からは「帰りの車の中でも家に着いてからも、楽しそうにずっと釣りの話をしていた」「今まで食べられなかった魚を美味しいと言って食べてくれた」など嬉しいお声をいただいています。
――最後に、今後の展望について教えてください。
子ども達の釣り体験の場は今後も続けていきたいと考えています。今、世間が環境に対して興味を強く抱いている時代になっていると感じています。水の中の生き物が100年後、1000年後と姿を変えずに生き続けられるような環境を、子どもたちが「自分たちが作っていくんだ」と思っていただけるような機会を作っていきたいです。
また人間にとってアウトドアは非常に大切なものだと感じています。アメリカでは父親が子どもに教えるべき3つのこととして「火をおこせること」「ナイフを使えること」「釣りをすること」を挙げるそうです。開拓時代に生きていくための術として語り継がれているものだと思うのですが、今もう一度その原点に立ち返って、生きていくための力を見直すべきタイミングじゃないかなと思います。子ども達に釣りを体験してもらい、生き抜く力を磨ける場を作っていきたいです。
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