未来型店舗は年内に全国にある店舗の約半数への展開を目指すー。
2019年1月の既存店売上は38ヵ月連続で対前年同月比でプラス、1店舗あたりの平均月商も約1,500万円と上場来最高を更新し、好調が続くマクドナルドが店舗改革に本格的に乗り出す。
今年の1月に沖縄県内の店舗でパイロット導入をしていた「未来型店舗体験」を、4月10日から静岡県内の75店舗に広げた。
パイロット導入で好評を得た未来型店舗とはいったいどのようなものなのか。
クイックサービスレストランの新しいスタイルになる
日本マクドナルドのサラ L. カサノバは、2019年2月に行われた決算説明会にて、2019年のフォーカスポイントの1つに「未来型店舗体験」をあげた。年内に全国約2,900ある店舗の約半数に未来型店舗を導入する計画だ。静岡はこれに先立ち導入されるものとなる。
「日本マクドナルドは1971年に銀座に1号店をオープンし、日本の食生活に大きな影響をもたらしました。クイックサービスレストランという新たな食スタイルの提案、ドライブスルーの導入、ブレックファーストメニューによる朝食の外食化などを実現しました」カサノバ氏はマクドナルドが食の文化とスタイルの変化をリードしてきたと語る。
そのマクドナルドが、新たな挑戦と掲げるのが「未来型店舗体験」だ。
「お客様に最高のおもてなしを提供し、クイックサービスレストランのサービスの概念を大きく変える。」という。注文・支払・商品の受け渡しの各場面で、さらなる利便性の提供を目指す。
体験向上の鍵は“人”
それでは、「未来型店舗体験」とはどのようなものなのか。具体的には3つの取り組みが発表されている。「ゲストエクスペリエンスリーダー」「テーブルデリバリー」「モバイルオーダー」だ。
ゲストエクスペリエンスリーダーは、客席や注文カウンター、商品の受け取りカウンター周りで来店客のサポートをする“接客専門のスタッフ”だ。困った際のサポートや混雑時の案内、そしてちょっとした会話から、マクドナルドで過ごす時間を快適で楽しいひと時に感じてもらえるようサポートすることで、店舗体験を高める役割を担う。
テーブルデリバリーは、店頭カウンターもしくはモバイルオーダーによる注文後に、席で待っていれば、クルーが出来立ての商品を届けてくれるというものだ。レジ横でのピックアップが基本だったが、特に家族連れや高齢者に快適に過ごしてもらうよう新しいスタイルを取り入れる。
モバイルオーダーは、スマートフォンアプリから店舗を選び事前注文が可能なサービスだ。店内では、受け取り方法(店内・持ち帰り・テーブルデリバリー)を選択し、アプリ上で決済することで、商品を受け取ることができる。店舗での待ち時間を減らすことができるため、時間を有効的に使えるのもポイントだ。
「未来型体験店舗」と聞くと、最新のテクノロジーが導入され、無人店舗のようなものを想像する人も多いかもしれない。しかしマクドナルドは、人の重要性を強調する。
「テクノロジーと人の融合により、これを実現します。テクノロジーを効果的に活用することで、店舗の生産性が向上しお客様の店舗体験が格段に向上します。」とカサノバ氏はいう。
実際この1年半の間、マクドナルドの1店舗あたりのクルー在籍人数は増加を続けている。テクノロジーによる効率化で手が空いた分、人を減らすのではなく、接客に回すというのがマクドナルドが出した答えだ。これからの変化に期待が高まる。