自分が使っているシャンプーにみなさんはどれくらい納得しているだろうか。「もっと自分にあったシャンプーがありそう」とは思いつつも、たくさんある種類の中から、どのように選べば良いかわからず、いつもの商品を手に取り続けている人も多いのでは。
そんな中「一人ひとり違う理想の質感へと導くシャンプー」を提供するべく、ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST」から、新たにパーソナライズヘアケアを目的とした「My BOTANIST」が発売された。同ブランドがMy BOTANISTの開発に踏み切った理由とは、一体どのようなものだったのだろうか。
開発のきっかけは、1人のリピーター
2015年の発売以来、シリーズ累計5,000万本以上購入されたヘアケアシリーズ「BOTANIST」。その販売元であるI-neが2019年3月に発表したのが「My BOTANIST」だ。同社初のパーソナライズシャンプーとトリートメントで、成分は植物由来、香りは4種類から展開されている。同社は約3年前から、このパーソナライズヘアケア製品開発の構想を練っていた。
構想のきっかけは、ある1人の顧客だった。その顧客は、効能の違うシャンプーとトリートメントを組み合わせてリピート購入していた。調べてみると、毎月2000人以上の顧客が、同様にシャンプーとトリートメントをブランド側が想定していない組み合わせで購入していることが判明したという。
「お客様が自分なりに既存商品を組み合わせて、利用している。この状況から、シャンプーに求める効能とトリートメントに求める効能は必ずしも同じではないと気がつきました。既存のBOTANISTは『スムース』『モイスト』『ダメージ』『スカルプ』の4つのラインを展開しています。しかし、お客様のニーズにはこの4つのラインでは対応できないほど多様化しており、私たちはそれに応えなければならないと考えました」(BOTANISTブランドリーダー 石津氏)
さらにMy BOTANISTの担当者は、こうした顧客の行動の変化は、自社商品に限った話ではなく、時代のトレンドについても言及する。
「お客様は、『みんなと同じ』の安心感よりも、自分だけの物や、本当に自分に合った商品、自分のユニークネスやスタイルを体現できる商品を求めるように変化しています。それに伴い、パーソナライズ商品やDIYサービスなどはすでに海外でも流行りつつあります。BOTANISTのお客様も、今ある商品で自分にぴったりの物へカスタマイズをするために工夫を凝らしていたのではないかと考えております」(石津氏)
細分化している顧客の実態に対応すべく、My BOTANISTのプロジェクトはスタート。だが、その道程は平坦ではなかった。
「これまでのBOTANISTシリーズは約6カ月で新製品を開発していました。My BOTANISTは、商品数も多く、毛髪理論を元にした独自の複雑な診断ロジックを組み込むために時間がかかりました。結果、通常商品の3倍の1年半の歳月を要しました」(石津氏)
顧客のニーズに応えるべく、サービスを継続改善
顧客はMy BOTANISTで商品を買う際、まず「My BOTANIST 診断システム」を通じて、診断を行う。過去の購買データと毛髪診断士(※)の専門的な知見を掛け合わせて開発されたパーソナライズシステムだ。
(※毛髪診断士とは、毛髪に関する知識と、顕微鏡などを使って毛髪の状態を的確に観察する技術についての民間資格)
顧客が髪質や髪の悩み、なりたい質感など9つの質問に答えていく。質問の半数以上は3択で、診断に要する時間は2分ほど。診断が終わると、独自のデータ分析と毛髪ケア理論の組み合わせにより、カウンセリングシートが表示される。カウンセリングシートでは、髪の悩みの原因に対する言及や、どういった性質の商品がおすすめなのかが記載されており、そのあと適した商品の紹介や、定期購入への案内が表示される。
「事前モニター調査では、診断システムへの回答だけで自分の状態を把握できる、とお客様からの反応を頂いております。ですが、やはり診断結果だけでは判断できないというお客様もいらっしゃいます。そうしたニーズにお応えして、専門のコールセンターとして『My BOTANISTカスタマーセンター』を開設しております」(石津氏)
パーソナライズドの商品は、細分化されたニーズに対応していく必要があるため、一度提供を開始したら継続した改善が不可欠だ。My BOTANISTも、今後継続して顧客の声を反映して、サービスをブラッシュアップしていきたいと考えているという。
「発売後もお客様の声に耳を傾け、髪の悩みの原因を把握し、提案するような商品開発を続けたいと考えております。たとえば、乾燥に悩んでいるお客様の原因は、髪質だけではなく、ヘアアイロンによるものであったりします。持って生まれた髪質のみならず、生活環境、カラーやパーマなど、髪の悩みの原因はさまざまです。細分化しているお客様のニーズに応えるために、悩みの原因把握に注力し、解決策を提案できるようサービスを改善していきます」(石津氏)
img:I-neより提供