XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年6月1日から4日の放送では、女子高生が立ち上げたNadieが提供する「放課後マネキン」について紹介した。放課後マネキンとは、女子中高生向けのファッションレンタルサービスのこと。ユーザーは好きな服をレンタルして着替え、街へ出かける体験ができる。
Nadie代表取締役の古城栞氏、取締役の白井花氏は現在、ともに高校3年生だ。昨年、京都大学主催の高校生向け起業家講座「ELCAS(エルキャス)」に参加。そこで「放課後マネキン」を提案し、最優秀賞を獲得したことから起業へと至ったという。
放送では、両者に放課後マネキンを立ち上げた経緯や、2020年2月に原宿で開催したポップアップストアで見えてきたニーズ、今後の事業展開について話を伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
服をレンタルして遊びに行く姿が、「生きるマネキン」のようだった
――最初に、放課後マネキンを立ち上げたきっかけについて教えてください。
古城:女子中高生って、普段は制服で過ごすことが多いじゃないですか。しかし、同時にオシャレにも興味を持つ時期でもあります。「もっと他の服を着たい」と思っても、普段は制服ですし、クローゼットの大きさにも限りがある。より自分の個性が出せる、オシャレを楽しめる環境を作りたいという、本当に私たちの身近な思いがサービスになっています。
――放課後マネキンというネーミングには、どのような思いを込めているのでしょうか?
古城:放課後マネキンは、女子中高生が店舗に訪れ、そこで好きな洋服を選び、遊びに行った後、また返しに戻ってくるというサービスです。服をレンタルして女子中高生たちが外に遊びに行く姿が、「生きるマネキン」みたいだなと思い、このような名前にしました。
――Nadieという名前も特徴的ですよね。
古城:Nadieはスペイン語で「nobody」という意味なんですよ。この言葉に私たちは二つの意味を持たせています。一つは「私の他に“私”は誰もいない」という意味。もう一つは「今誰でもない」という、高校生なのだからこれから何にでもなれるという意味を込めました。
現在、私と白井が中心ですが、他に7人の高校生が集まってくれて9人で活動しています。
手ごたえと新しい需要が見えた3週間のポップアップストア
――2月には原宿でポップアップストアをオープンされました。手応えはどうでしたか?
古城:ポップアップストアの開催前に12月に1度、放課後マネキンが本当に女子中高生に需要があるのかを調べるために、「オープンミーティング」というワークショップみたいなのを実施しました。女子中高生を30人くらい集めて、サービスについて議論したり、実際に洋服を用意して体験してもらったり。当日は、欲しいブランドの商品を「着替えるだけでも楽しい」という声や「ディズニーコーデが出たら嬉しい」といった意見が出てきたんです。ここで得たユーザーのニーズを踏まえて、今回ポップアップストアを開催しました。
ポップアップストアでは、ボランティアの女子中高生にも協力してもらいながら、3週間にわたって開催しました。サービスを知ってもらうことを重視していたので、1着300円ほどと非常に安い価格でレンタルできるようにして。「土日のデートに合わせて、こういう服を着てみたい」と言ってくれた方や、オープンミーティングに来てくれた方が参加してくれるなど、新しいつながりが生まれていくのを実感できたことがすごく楽しかったですね。
――逆に実際にやってみたら、想定と違ったことはありましたか。
古城:かばんの需要が少なかったことです。オープンミーティングのときはかばんの要望が多かったのですが、ポップアップショップではトップスやボトムスの方が人気で。服に比べて所有数も少ないので、お気に入りを持っている方が多かったのかもしれません。
また、「どういう服を着よう?」という相談に、同じ目線で会話をしながら服選びのサポートができるという点も、新たな気づきとしてありました。運営側も同じ女子高生。一緒に考えた結果、これだと思う服を見つけてくれたときは「よっしゃ!」と心の中で思いました。
サービス利用後にとったアンケートでも、「とても楽しかった」「自分が今まで着たことのない服が着ることができた」といった声が多く集まり、やりがいにつながっています。
もっと手軽に、自由にファッションを楽しみたい方は多くいる
――ここからは取締役の白井さんに話を聞いていきます。白井さんが起業に興味を持たれたきっかけについて教えてください。
白井:小学生の時に、起業家の本を父からもらって読んで以来、漠然と憧れがありました。また、もともとファッションに対して、自分の中にモヤモヤがあって。「自由にファッションを楽しめていない」という感覚があったことから、放課後マネキンを思いつきました。
――ポップアップストアの反響、白井さんから見てどのように感じましたか?
白井:もっと手軽に、自由にファッションを楽しみたいと思っている方が多いのだと感じました。ポップアップストアでは、利用者の方々から「こんなサービスがずっと欲しかった」という嬉しい声をいただけたのが印象的で。お小遣いの範囲内で十分購入できる価格にしたこと、1回限りのレンタルなので普段は着ないワンピースに挑戦したり、いつもと違う系統の服にチャレンジしたりできることが、こうした良い反応につながったと思います。
――ユーザーの声を聞くことで、見えてきた新たなニーズなどはありましたか。
白井:毎週末にイベントを開催したことで、新たな発見がありました。特にメイクイベントはとても人気で、毎回すぐに満員になってしまったんです。
メイクイベントは、ポップアップストアのある会員制ラウンジの専属メイクさんを招いて行いました。女子中高生はちょうどメイクを始める時期です。しかし、メイクを学ぶ機会は動画やSNSに限られてしまい、自分に合うものがわからない。そのため、リアルの場でプロのメイクさんに教えてもらうというイベントはニーズがあったのだと思います。
高校生がもつ価値観を、ずっと持ち続ける会社を目指したい
――今後、会社として大切にしていきたいことを教えてください。
白井:Nadieでは、ビジョンに「女子高生の枠を超える」という言葉を掲げています。例えば、起業は大人がやることだと考えてしまう人が多い。しかし、大人になることを待たず、思いがあれば年齢に関係なく実現することができる――。女子高生の枠にとらわれず何でもできることを、Nadieの活動を通して様々な人に伝えていけたらと思っています。
たとえば、ポップアップを開催したときは、同じ若者をターゲットにしたタトゥーシールの企業さんとコラボをしました。他にも、着なくなった服や古着を安く売り、その売り上げを全て社会貢献の基金に提供する活動をしている友人とイベントを開催したりしたんです。
今後も、このような形でファッションに関連した企業や学生団体とコラボをしていきたいですね。次はInstagram上で行うコンテストなど、オンラインイベントを企画しています。
――中長期でみたときに、Nadieはどのようなビジョンを描いているのでしょうか?
白井:高校生がもつ価値観を、ずっと持ち続ける会社を目指しています。毎年新しい女子中高生に運営メンバーとして入ってもらい、会社として年を取らないようにしたいです。
また、ポップアップストアを開催してみて、運営ボランティアの方々から「学年や学校を飛び越え、多くの人と友だちになれた」という声が多く上がったこともあり、学校以外でカジュアルに出会いの場を作ることも、Nadieとしてやっていけたらと思っています。
放課後マネキンのビジネスとしては、まずサービスを全国規模のものとしたい。それと同時に、中高生の夢の実現に向けて、サポートができるような会社になることも目指しています。中高生が「こんなサービスがほしい」「あんなプロダクトがあったらいいな」と思ったときに、Nadieのことを思い浮かべてもらえるような会社になれたらと思っています。
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