XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年6月21日から24日の放送では、今年2月に表参道にオープンした「イッタラ表参道ストア&カフェ」のCXを紹介した。ガラス製品を中心に、食器やインテリアなど、飽きのこないシンプルなデザインを用いたフィンランドのデザインブランド「iittala(イッタラ)」を展開している。
放送では、イッタラを展開するフィスカースジャパン株式会社マーケティング部長の芦田直子氏に、イッタラのブランド哲学や、ストア&カフェに込められた工夫、今後の展望について語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
長く商品を使う「ロングラスティング」という考え方を体現したイッタラのアイテム
――まずは、北欧のテーブルウェアブランド「イッタラ」について教えてください。
イッタラは、もともとフィンランドのガラス工場から始まり、今年で140周年を迎えるブランドです。セラミックの食器や様々なインテリアなどを扱っていますが、ブランドのコアは食器やグラス、インテリアなどのガラス製の商品です。そのなかでもフィンランドを代表するアーティスト、オイバ・トイッカによるアート作品「バード バイ トイッカ」や、近代建築・デザインの巨匠、アルヴァ・アアルトによる「アルヴァ・アアルト」コレクションの花瓶などは、私たちにとって非常に重要な商品です。このようにガラス製品を中心に、生活を楽しんでいただく空間を作っています。
――イッタラがものづくりをするうえで大事にしていることは、どのようなことでしょうか。
イッタラのみならず北欧の地域に根づいている、一つの物を長く使う「ロングラスティング」という考え方をとても大切にしています。不必要なものをそぎ落としたシンプルな形で、何年たっても飽きがこないデザインの商品を取り揃えたブランドコンセプトです。
長く使える商品だからこそ、家族の思い出を語ってくださる方が多いんです。例えば、おばあ様が使っていた物を、自分たちの生活に取り込んでいる方もいらっしゃいます。また商品自体がシンプルなので、長く使ってきた商品と今の商品を組み合わせて、様々な使い方を楽しめます。食器は毎日の生活で使っていただく物なので、思い出が宿り、ずっと使い続けられると皆さんよく語られますね。
イベントスペースや世界初の併設カフェを通じて新しい発見をしてほしい
――今年2月にオープンした「イッタラ表参道ストア&カフェ」。ここではどのような体験を届けているのでしょうか。
「フィンランドを体験できる場所」を目指して作りました。ストアとカフェに分かれているのですが、ストアでは単に商品を飾るだけでなく、どのように作られたのか背景をお伝えするスペースもあります。また、使い方や楽しみ方などをお伝えするイベントスペースも設けました。イベントでは、ショップのスタッフがお話しすることもあれば、外部の方にお願いしてフィンランドの文化を語っていただくこともあります。そんな背景を知ったうえで商品選びを楽しんでいただければと思っています。
――イッタラ表参道ストア&カフェは、世界で初めてカフェを併設した店舗です。カフェでの体験を教えてください。
カフェでもイッタラの食器を使い、フィンランドの世界観を楽しめる場になっています。メニューは、フィンランド人がソウルフードのように食べている、シナモンロールやカレリアパイ、ベリーを使ったデザートなど。フィンランドではジンの消費量も多く、ジンを使ったドリンクも提供しています。(現在、緊急事態宣言下、休止中)「フィンランドの人はこういう食事を楽しんでいるんだ」とお楽しみいただけると思います。
また、サイズや色、デザインなど、実際にイッタラの商品を体験した上でご紹介できる場所になればと。例えば、イッタラの定番商品「Teema」のお皿一つ取っても、カフェでは3色を使用していますが、同じ食事を盛りつけても見え方が異なり、色の組み合わせ一つ取っても発見があります。カフェではワイングラスをパフェの盛り付けに使用しています。そういった使い方をご覧いただくと、「ワイングラスでもこんな自由な使い方をして良いのだ」と発見があります。自分が使いたいように・心地良いように食器を使うことを楽しんでほしい。実際に、それらを体験していただける場になっているかなと思います。
フィンランドの森をイメージした隈研吾氏によるストアデザイン
――グラスや花瓶など、ガラスで作られているからこそ味わえる魅力を教えてください。
ガラスは透明な素材なので、当たる光によって濃く見えたり、明るく見えたりします。朝の光と昼の強い光、夕日など、光線によってガラスの色や見え方が変わってきます。反射している姿も美しいですね。例えば、キャンドルの光がガラスに当たったら、少しぬくもりのある色みに見えたり、注いでいる中身の色によって、見え方が変わったりします。そういった揺らぎが、視覚に心地よさをもたらしてくれるような気がします。
――お店のデザインは、建築家の隈研吾さんがプロデュースしているそうですね。デザインから感じられるフィンランド体験はどのようなものでしょうか。
フィンランドの森をイメージしたデザインで、ストアの壁は1本1本の木々をイメージしており、持続可能なリサイクル内装材を使用しています。
ストアの真正面は、目の前にまさにフィンランドの四季を感じていただけるような、見ただけでほっとする自然のムービーが投影されています。柔らかい木漏れ日を感じさせるインスタレーションは、隈研吾さんのアイデアです。イッタラはガラス工場から始まったことから、ガラスを使った何かをつくりましょうということで、オリジナルの照明をつくっていただきました。森の中で木々の形を写し取った柔らかな木漏れ日があり、目の前に自然が広がってくようデザインされています。
カフェはデザインを一新し、北欧らしさを出すために柔らかな色合い、白木を使っています。丸みを帯びた千鳥格子のモチーフが広がり、全体的に明るいです。窓から降り注ぐ光がとても柔らかく、そこにいるだけでほっとするような空間になっています。
サステナブルな哲学が込められた商品でウェルビーイングな生活をサポートしたい
――イッタラには、サスティナブルな哲学が、イッタラの至るところに現れているそうですね。
お店の中には、廃棄ガラスを使ったディスプレイ台で商品を展示するなど、至るところにサスティナブルを象徴する物があります。しかしそれ以前に、イッタラにはマインドセットとしてサスティナブルな生活が根づいているので、作り出される商品すべてにサステナブルな哲学が込められていると思います。
例えば、100%リサイクルガラスを使った商品が発売されています。お客様にとても喜ばれているのですが、再生品なので個体差があるんです。ガラスの色合いは、他のガラスと少し差があるかもしれない。全て均一化された物であるべきというのが大量生産の考え方ですが、個体差がある再生品を「おもしろいね」とマイグラスとして選んでくださる方が増えていて、イッタラとしてもとてもありがたいです。そういった世の中に変えていけるといいなと思いますね。
――最後に、イッタラが目指す今後の展望について教えてください。
イッタラの商品が生活にワクワクやリラックスなどをもたらし、ウェルビーイングな生活をサポートできるブランドであり続けたいと思っています。
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