XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年9月6日から9日の放送では、2021年3月に新大久保で誕生した食の交流拠点、「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」(略称K,D,C,,,)が届けるCXを紹介した。食ビジネスにおける起業家であるフードプレナーを集め、ネットワークからファイナンスまで新たなチャレンジを支援している。
放送では、K,D,C,,,のコミュニティーマネージャーの伊崎陽介氏に、施設の特徴や新たなチャレンジが生まれる秘訣、今後の展開などを語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
多国籍タウン・新大久保で食の起業家や文化を育てる新施設をオープン
――まずは「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」というユニークな名前に込められた想いについて教えてください。
おもしろいことは何かと何かの“かけ算”から生まれるように、多国籍タウンである新大久保から新しいものを生み出したい。そんな想いを込めて「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」というネーミングを名付けました。名前は「キムチ」「ドリアン」「カルダモン」だけですが、実はこの後に99個も食材の名前が続いています。
我々は、新たなフードプレナーや食文化を生み出すことをゴールに掲げています。さらに、新大久保という街を元気にし、食や農の業界におもしろいことを起こしていきたいと考えています。
――「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」はどのような施設なのでしょうか。
この施設は、新大久保駅直上のビルにあります。3階は「シェアダイニング」で、食に感度が高い方が集まるフードホールです。4階は食や農に関係している方しか入会できない、少し尖った「食のコワーキングスペース」です。コミュニティキッチンの他、製造認可を持つファクトリーキッチンもあり、そこで作った商品は販売できます。
フードプレナーが刺激し合い、新たなメニューを生み出す
――今年3月のオープンから半年が経ちました。日々どのような体験が生まれていますか?
3階では、ポップアップ店舗や店舗オペレーション支援、料理人独立支援などを行っており、2週間から約1カ月で店舗が入れ替わります。一般の方は、新しい食と出会えるフードホールとしてもおもしろく感じていただけると思います。
ただフードホールといっても、いわゆるチェーン店ではなく、新しいことにチャレンジしているお店が入居します。ホテルのレストラン部門の方が、まずここで新しい商品を試作・販売し、反響があったものを実際のレストランに出すなどといったケースもありました。このように、ほかでは味わえない料理が楽しめるようになっています。
――4階のコワーキングスペースでも交流が生まれているようですね。
3階の飲食店と4階に入居されているフードプレナー同士で、新しいコラボが生まれています。たとえば、地方で生産されている「行者にんにく」が、都心での認知度を上げたいと、サンプルを届けてくれました。3階で店舗を出している方に「こんなにんにくが届いたので、出してみませんか?」と声をかけたところ、魚のあいなめと行者にんにくを使った、おいしいスペイン料理ができたんです。これは、実際にメニューとしても販売しました。
他にも、4階に入居されているヴィーガン系の会社が、3階のギョーザ店と何かコラボできないかと考えていて。そこで「ヴィーガンギョーザ」を出したところ、反響が大きく、実際に店舗を出されるときにメニュー化されました。
そんな動きが見られているので、K,D,C,,,に出店すると自分たちが持っているものだけでなく、“かけ算”で新しい物が生まれ、おもしろいと感じていますね。
企業や街と“かけ算”することで「おもしろいこと」を生み出す
――“かけ算”の取り組みが次々と生まれている秘密を教えてください。
K,D,C,,,の運営に企業4社が関わっていることが、“かけ算”の大きなベースになっています。JR東日本、雑誌などで料理の紹介をされているオレンジページ、イベントの企画・運営などを行っているインテンション、弊社CO&COがタッグを組むことで、それぞれの特徴が発揮されています。
JR東日本は、大手企業や地方創生を行う企業とつながりがあります。オレンジページは料理家、インテンションは料理人、弊社はスタートアップ界隈のネットワークをそれぞれ持っています。料理家のネットワークは、一般の方に少し近いインフルエンサーで、料理教室を開催されていています。一方、料理人のネットワークは、シェフで商流につながっています。幅広さによって、おもしろいことが起きやすいと考えています。
だから、ここに来た方は入居されていなくても、コミュニティに半歩足を踏み入れているようなものです。そういった方まで巻き込んでプロジェクトをつくっています。
――現在、どのようなユニークな“かけ算”を企画しているのでしょうか。
新大久保の街にいる海外の方を巻き込もうと考えています。その一つの企画として、コリアンタウン繋がりで「ほやのイベント」を一週間に渡って開催しようとしています。震災前は東北の三陸でよくほやが獲れていましたが、その70%以上が韓国で消費されていました。
震災によって韓国による消費がゼロになり、その後も日韓の関係性悪化により、あまり売れない状態が続きました。現在は国内消費が60%くらいまで回復していますが、ゆくゆくは韓国でも売れるようにしたいと考えています。「またほやを好きになってほしい」「もう一度、国内にいる韓国の方に食べてもらいたい」、このような同じような想いを抱いている東北の企業とコラボし、街を巻き込んだ企画を考えています。
“かけ算”によって新たなチャレンジが生まれる場所を提供したい
――コロナ禍で影響を受けた飲食業界の状況について教えていただけますか。
新型コロナウイルスの影響があっても、元気な方が多いです。フル稼働していない店舗もありますが、その間に新しいことにチャレンジされています。実際に、行者にんにくが届いたときも積極的にメニューのレシピを試されている方もいました。新しいチャレンジをする余白が生まれているので、コロナ後に向けてチャレンジした物を活かそうとする方もいます。
今は料理人や料理家にとって、“かけ算”に挑戦しやすいタイミングだと思います。実際に飲食店をされていた方が物販も始めている。K,D,C,,,は、クラウドファンディングのサポートもあるので、チャレンジしやすい環境も整えています。
――最後に、今後のK,D,C,,,の展開について教えてください。
食の施設は増えてきている一方で、食のネットワークからファイナンスサポートまでトータルでサポートできる場所はあまりないと思います。K,D,C,,,だからこそできることを追求したく、特にチャレンジャーな方をサポートしていきたいですね。
広報活動をやるだけでは、ここである必然性はありません。新しいものと“かけ算”したい料理人やスタートアップの方々が一緒に何かできる方がきっとおもしろい。その想いも込めて「Kimchi, Durian, Cardamom,,,」というカオスな名前になっているので、軸はぶらしたくありません。単なる場所の提供ではなく、変わった“かけ算”によってしっかりと価値提供できる場所を目指していきたいです。
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