XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年8月23日から26日の放送では、キャンピングカーのシェアリングサービス「Carstay」のCXを紹介した。アプリ内でキャンピングカーを探したり、シェアできるだけでなく、車中泊スポットを探すことができる。
放送では、代表の宮下晃樹氏にバンライフが提案する新たなライフスタイルや今後の展望などについて語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
SNSから広がった多様な生き方とマッチしたバンライフの体験
――まずは、キャンピングカーのシェアリングサービス「Carstay」について教えてください。
Carstayでは、キャンピングカーとキャンプ場に特化したAirbnbのようなサービスを提供しています。誰でも簡単にスマホのアプリからキャンピングカーやプライベートキャンプ場を予約することができ、バンライフを体験できるのが特徴です。
現状の利用者の大半は若い女性を含むグループが占めており、主に週末や連休にご利用いただくことが多いです。海や山の近くのプライベートキャンプから、秘境巡りなどの密を避けた旅行。他にも、わんちゃんなどとのペットと一緒の旅もあります。最近では、テレワークやワーケーションにもご利用いただいています。
――いまバンライフは、どのような広がりを見せているのでしょうか?
Instagramを中心としたSNSでは、「#vanlife」というハッシュタグをつけた投稿が1000万件を超えています。バンライフの魅力は、自由に移動と滞在ができること。多様化している旅行や働き方のスタイルがSNSなどで可視化され、それらに魅力を感じた若い人たちが「自分もやってみよう」とバンライフを始めています。
そのような背景から世界中でムーブメントとなっており、日本でも広まっているのかなと認識しています。
――なるほど。SNS上で、バンライ体験の投稿が一つの表現となっているわけですね。
Instagramを見ると「#vanlife」というハッシュタグの次にくるのが、「#vanlifediaries」や「#vanlifemovement」など。日本でも「#バンライフ」や「#カーステイ」と投稿される方がすごく多いんです。オリジナリティあふれる旅スタイルや働き方を自己表現としてSNSに投稿されています。
ガイドブックに書いてあるような決められた旅行とは異なり、バンライフであればキャンピングカーの種類や目的地、行き方、滞在の仕方など無限の選択肢があります。組み合わせ次第で、誰でもオリジナルの旅行スタイルを作れる。そういったところが旅や働き方の多様化とマッチしているのかなと感じています。
オンライン会議の背景はリアルな自然!オリジナルなワーケーションが実現
――ワークスペースとしてもキャンピングカーが活躍していると仰っていましたが、どのような利用で広まっているのでしょうか。
動くオフィスや書斎として、テレワークやワーケーションに利用されていますね。家などのプライベートなスペースでテレワークし続けていると、人によっては辛くなってくる。そんな時に、リフレッシュも兼ねて、自然が感じられるような海辺や森の近くなどに、バンで出かけて仕事をする。そんなワーケーションをされる方が非常に多いです。
キャンピングカーは、電気などのインフラがしっかりしているので、パソコンも充電できます。多くの車両がWi-Fiもレンタルできるので、インターネットに困りません。さらにデスクもあり、椅子は車のシートを利用するので長時間座っていても疲れないんです。意外と静かなので「オンライン会議をしても問題なく、キャンピングカーと相性いいですね」と言っていただける方が多いですね。
――実際にキャンピングカーをワークスペースとして利用することで、どのような体験がうまれているのでしょうか。
オフィスや自宅からオンライン会議に参加される方が多いと思いますが、キャンピングカーから参加すると「今、どこいるの?」と会話が生まれています。また、バーチャル背景ではなく、本物の自然の背景で参加されたりする方も多くて。オリジナリティを発揮するためにバンライフの体験を活用されています。
また、場所や時間を選ばない仕事をされている方にとって、キャンピングカーでテレワークすることは相性が良いと感じています。フリーランスの方がワーケーションやテレワークのためにキャンピングカーを借りるケースが非常に多いです。
――サービス全体の中で、ワーケーションやテレワークに利用される方はどれくらいいるのでしょうか。
8割以上が週末や連休、祝日などを利用して旅行に行かれ、残りの2割弱が平日にワーケーションやテレワークをするためにキャンピングカーを借りています。ただ最近は、週末や祝日に旅目的で家族とレジャーに出かけても、お父さんは車の中で働いていることもあり、仕事とレジャーの境界があいまいになっていると感じています。
いずれにせよ、自分の部屋ごと目的地に運ぶことができるところが利用者の満足につながっていますね。
オーナーの所有するアウトドアグッズが“個性的な体験”をつくる
――キャンピングカーという非日常の体験に対して、利用者の不安はあるのでしょうか。
やはり運転のハードルが高いと感じたり、興味はあるけど怖いと感じたりする方が多く、課題はあります。Carstayは初めてキャンピングカーに乗る方が大半を占めているので、なるべくそういった方が運転しやすい車や目的にあった車とマッチングができるようなプロダクトを意識しています。
既存のレンタルサービスとの違いは、個人のオーナーが貸し出しをしていることです。多くの種類の車が登録されており、なかでも軽自動車をベースとした運転しやすい車が女性に極めて人気です。また、ペットを飼っているオーナーが保有しているキャンピングカーは、他のペットを飼っている利用者も借りられます。自分に近いタイプのオーナーで、かつ運転しやすい車をシステム上でマッチングできるよう、Carstayでは細かく検索アルゴリズムや条件を設計しています。
――Carstayでは、車という空間の共有価値をさらに高めるサービスが始まっているとお聞きしました。
今年の5月に、キャンピングカーのみならず、追加のオプションを一緒に予約できる機能を導入しました。年間で340-350日ほどキャンピングカーに乗っていないオーナーがいるのですが、アウトドアグッズやギアなどが車の中に眠っていて、いわば倉庫の状態に。オーナーの趣味趣向であるアウトドアグッズを車と一緒に予約し、体験できるようになりました。
たとえば、テントサウナをキャンピングカーと一緒に借りると、どこでもアウトドアサウナができます。Carstayには海や湖、川などのスポットもあるので、誰でも水着だけ持って行けば日本全国どこでも“整う”ことができます。サウナブームの恩恵を受けて、こういった最近は利用者が増えていますね。
オーナーの趣味を体験できるサービスになっているので、少し前からやってみたいと思っていたけど、きっかけがなかった趣味も体験できます。テントサウナが積まれているから、これを機会に挑戦してみたり、スタンドアップパドルボードが積まれているから、湖に行って試してみたりするなど。体験のためにご利用いただいているケースが多いですね。
バンライフは、新たな「人とのつながり」を起こす
――様々な体験を運ぶバンライフですが、車そのものも進化しているそうですね。
今後、野外イベントが増えることを見越して、バンライフとDJを組み合わせた「VANLIFE DJ」という企画を今月発表しました。特徴は、旅先で音楽を楽しめること。シンボルとなる1台のキャンピングカー「VANLIFE DJ CAR」を作りました。Pioneer DJ様から提供いただいたDJコントローラー「DDJ-200」だけでなく、ハイエースの天井にステージやミラーボールがあり、ダンスフロアも付随しています。また大きなスピーカーもあるので、1台持っていけば日本全国どこでもフェス会場になり、音楽のライブを楽しめる空間に生まれ変わります。
――最後に、バンライフが描く未来のビジョンについて教えてください。
バンライフによって起こる社会的な良い変化として、オフラインでもコミュニティが流動化していくと考えています。オンラインではSNSなどを通して共通の趣味を持った人をフォローし合うなど人と人とのつながりが生まれていると思います。しかし、オフラインでは、人が簡単に移動できなかったり、共通の趣味で新しい出会いが起こりづらかったりすると思います。
一方で「VANLIFE DJ」などの企画を通じて音楽好きな人が集まり、テントサウナを借りられる車があればサウナ好きな人が集まれます。人と人とのつながりが生まれたり、固定化されていたコミュニティが流動化されると、表現したい自分を理解してくれる人が増えたり、自分が望んだ場所に入ってもっと自分らしく生きられたりする人などが現れます。バンライフの普及によって、ライフスタイルの多様化と流動化による結びつきが起こり得るだろうと、未来像を描いています。
KARTE CX VOXの過去の配信は、Spotify、Apple Podcasts、Google Podcastsのほか、「ラジオクラウド」のアプリから聞くことができます。ラジオクラウドはアプリをダウンロードの上、こちらのリンクもしくは、アプリ内で「KARTE CX VOX」と検索してください。