XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年11月15日から18日の放送では、デイリーライフをPOPにヘルシーにデザインする「ovgo B.A.K.E.R」が届けるCXに注目。同店はこれまでネット販売やポップアップストアを中心にプラントベースのクッキーやマフィン、スコーンなどの焼き菓子を販売。2021年には小伝馬町に初の店舗をオープンするなど、今人気が高まっているブランドだ。
放送では同ブランド代表の溝渕由樹氏に、ブランドが誕生した背景や商品について、また今後の展望について語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめて紹介していく。
ヴィーガンだけではなく誰もが気軽に楽しめるおいしい商品を作りたい
──「ovgo B.A.K.E.R」というブランド名にした背景を教えてください。
ovgoは「Organic, Vegan, Gluten free as Options」の頭文字をとった言葉です。その言葉には、誰もが強制されるのではなく、自らが環境や健康、自分にいい食生活を選択してほしいという想いを込めています。私たちはそのための選択肢を提供していきたいと思っています。
現在はプラントベースのクッキーやマフィン、スコーンなど焼き菓子をメインに作って販売しています。「焼く人」という意味を持つ「baker」という単語から「ovgo B.A.K.E.R」というブランド名にしました。
──プラントベースにこだわる理由には何かあるのでしょうか。
私たちが店をはじめたのは2年前。当時東京にはヴィーガンの専門店は存在していましたが、健康目的の店や、動物性の食品も食べる人が日常的に楽しめる味わい、ボリュームのある店はありませんでした。しかし植物性の食品は動物性の食品よりも環境の負荷が低く、体への負荷が低いため健康に良いものばかり。
ヴィーガンないしはヴィーガンのライフスタイルを選択している人だけではなく、誰もが気軽に楽しめるお店を作りたい。動物性の食品や食材を使ったものよりもおいしい商品を作りたいと思い、植物性の食材のみを使った焼き菓子のお店を始めることにしました。
──どのような世代の来店が多いのでしょうか?
10代後半から20代、いわゆるZ世代の女の子たちが一番多いです。Instagramから私たちのことを知り、店舗や商品のデザインに惹かれて来てくれる。最近はインフルエンサーがSNSで紹介しているのを見て、足を運んでくれる方が本当に多いです。
2021年12月にはラフォーレ原宿でポップアップショップを開催しました。そこに来てくれた20代前半の女の子たちのなかには、サステナビリティに関心がある子もいれば、単純にカフェが好きな子もいましたね。
2020年6月オープンした小伝馬町のお店には、小伝馬町という土地柄もあって、意外とビジネスパーソンが来てくれます。ネットでは、お子様がいるお母さんからの購入もあります。
お客様とのコミュニケーションにInstagramを活用
──ovgo B.A.K.E.Rが展開する商品について教えてください。
私たちの主力商品はクッキーです。朝ご飯に食べる人もいれば、お菓子として食べる人もいるので、常に30種類ほど用意して、軽食にもなるようボリュームのあるクッキーを作っています。
一番人気は、シンプルなチョコレートチップクッキー。バターやたまごを使ったクッキーと比べても味の見分けがつかないので「インポッシブル・チョコレートチップ」と名付けて販売しています。アレルギーなど健康の理由で、グルテンを含む食品を避ける方もいるので、グルテンフリーのオートミールクッキーも販売しています。
──実際に食べた方からもらって嬉しかった言葉はありますか。
お客様が「おいしい」と言ってくださるのが一番の喜びです。実はヴィーガンやグルテンフリーのお菓子は、使える食材が限られるため、おいしいけど素朴な味わいのものが多いんです。
しかし私たちはヴィーガンの方はもちろんのこと、そうではない方にも、プラントベースのライフスタイルを楽しんでもらいたい。「普通のクッキーと比べても違いが分からない」「今まで食べたクッキーの中で一番おいしい」という言葉をもらえると本当に嬉しいですね。
──味だけでなく、お客様とのコミュニケーションも大事にされているそうですね。
私たちが店頭やポップアップに立っていると、「小伝馬町の店舗に行った後に、今日はポップアップも来ました」「普段はネットでも買っています」と言ってくださるお客様がいらっしゃいます。リピーターがどんどん増えていて、ネットショップは大体3割の方がリピーターです。それを見ると、「このお店を作っているのは、私たちではなく来てくださるお客様だ」といつも感じます。
お客様とのコミュニケーションは基本的にInstagramを使っています。メインの層であるZ世代は、Instagramの使い方が非常に上手です。写真やストーリーを投稿する際、お店のアカウントをタグづけしてくれる方には、直接「どうでしたか?」「また来てくださいね」とお声掛けしています。そこからコミュニケーションが発展し、なかにはスタッフになった子もいます。
メッセージを届け続けるためにコラボレーションを行う
──2021年6月に初の店舗を小伝馬町にオープンされました。その経緯を教えてください。
これまでは約1年半、ネットとポップアップショップのみで販売していたのですが、ラフォーレ原宿でポップアップをさせていただいて以来、「毎日買える場所があったらいいのに」と言っていただくことが増えたんです。そこから、私たちの想像を超える速さで、お店を構えることになりました。
小伝馬町の店舗は「お客様が楽しめるお店を作りたい」と気合いを入れて作りました。店舗を持つことによって、お客様に焼きたてのお菓子を届けることができるようになり、顧客体験の向上に繋がりましたね。
──店舗を構えた今でもポップアップ出店や、様々なブランドとのコラボレーションを積極的に続けていますよね。
ポップアップを開催し続けるのは、より多くのお客様に私たちのクッキーを知ってもらいたいからです。ネットショップから購入いただいている地方の方から、「会話をして、もっとクッキーについて知って食べてみたい」というお声もいただきます。ポップアップが新しいお客様との出会いを作り、リピーターの方とも直接会える機会になればと思っています。
コラボレーションに関しては、「ovgo B.A.K.E.Rのクッキーはライフスタイルを作るもの」というメッセージをお客様に気づいてもらえるよう、続けています。これまで、洋服屋やコスメなど、ライフスタイル商品を展開するブランドと多くのコラボをしてきました。私たちはクッキーを販売しているのですが、スタッフ全員が食品としてのクッキーを販売しているのではなく、クッキーを通じてサステナブルなライフスタイルを提案していると考えているからです。
自分にも環境にも優しい「ライフスタイル」を
──このメッセージの“伝え方”は、どのように工夫されていますか。
伝え方に関してはこれまでも非常に悩んできました。特にヴィーガンや環境問題など社会問題について考えていることを、そのまま文字にしてカタログを作っても、一般の方には少し刺激が強すぎる。実際に、私たちの伝えたいことが正しく伝わっていないと感じることもありました。
そこで今大事にしているのが、ポップアップや店頭に来てくれたお客様とのコミュニケーションです。対話を通してスタッフからお客様に「こういった取り組みをしているんです」「こういうことを大事にしているブランドなんです」と伝えています。
また私自身が今回のラジオのようにお声掛けいただくタイミングも多くなり、そういった機会には必ず私の言葉で伝えるようにしています。
──最後にovgo B.A.K.E.Rの今後のビジョンについて教えてください。
これまでは多くのお客様に楽しんでもらえるよう「いつでも気軽に買える」ことをメインに取り組んできました。小伝馬町の店、東京都内や関西でのポップアップに加え、春にはカフェをオープンする予定です。
今後は、より自分にも環境にも優しいライフスタイルの具現化を図っていきたいと思っています。そんな思いから、2021年9月に長野県の軽井沢に小さなお店をオープンしました。ここを拠点に、農家さんと地元の食材を使って何か商品を作ったり、フードロスになってしまう食材を使って何かおいしいものを作ったり。私たちのブランドコンセプトに沿った行動を、これからしていきたいです。
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