パン屋さんの焼き立てのパンを食べた経験、皆さんはどれぐらいあるだろうか。思い返してみると、私は片手で数えられるぐらいしかないかもしれない。
我が家は毎朝パンを食べることを習慣にしているものの、たいてい前日に買ったものか、冷凍したパンをリベイクして食べている。その為、パンを美味しく食べるためにトースターをこれまで何度か買い替えたほどだ。
そんな中、ツインバードがリベイクにこだわって開発した新たなトースター「匠ブランジェトースター」を11月17日に発売した。
日本が誇る“匠の技”をツインバードの技術力によって製品化するブランドライン「匠プレミアム」の第3弾となるこのトースターは、パンの世界大会「iba cup 2015」で世界一になったパン職人浅井一浩氏が監修。リベイクにより”焼きたてパン”のような仕上がりを目指して開発された。
パンが米の支出額を逆転、種類も多様に
米の支出額が年々減少する一方でパンの支出額は年々増え続け、2014年にはパンが米の支出額を逆転している。さらに、ツインバードが実施したアンケート調査では、半数以上の人が週に4日以上パンを食べていることがわかった。
そして、ツインバードは食パンだけでなく、クロワッサンをはじめとした様々な種類のパンを食べる人が増えていることに目を付けた。
また、ツインバードが実施した「トースターに関する意識アンケート」では、「トースターでパンをリベイクすることに、不安や抵抗がある」と回答した人が53.8%。「普段トースターでパンを焼く時、焦げないか気になって見張ってしまう」と回答した人が64.7%とリベイクにおける生活者の抱える不安が明らかになった。
パンがいちばんおいしいのは、窯から出たばかりの“焼きたて”のタイミング。千葉・成田にある「トモニパン」のオーナーシェフである浅井氏は朝一番にお店で焼けたパンを見るたびに「今、この瞬間のパンを食べてもらえたらいいのに」と考えるそう。
トモニパンで実際パンを買った人が、インスタにアップしてくれたパンをみると、リベイクされて“焦げている”まではいかなくとも、“焼きが入りすぎている”ことを度々目にするのだという。
それが「パンの本当のおいしさを伝えられていないのではないか」という悩みにもつながっている。
こうした背景から、ツインバードは浅井シェフが理想とする焼き上がりを自動で実現するトースターの開発を進めた。
「匠ブランジェトースター」が目指したのは中も温かいパン
「匠ブランジェトースター」が理想とするのは、中を最適温度に温め、外側は焦がさずサクッ、パリッと仕上げること。
そのために2種のヒーターを上下に設置しており、上火には高い熱を伝えるカーボンヒーター、下火には表面に焦げ目をつけることなく内部に熱を伝えることに適したハロゲンヒーターという形で、上下で異なるヒーターを採用した。
水蒸気を採用しなかった理由に関して、ツインバード 開発本部の青木氏「水蒸気に関しては、パンの表面に水分を付着させて一気に表面を高温にしていく特徴があります。トーストの焼き上げに関しては有効ですが、中にもしっかりと熱を伝えたいという考えから、相性が良くないと考えました」とコメントしている。
一般的にトースターは表面をカリッとさせることに向いているが、中までしっかり温めるのには向いていない。揚げ物を温め直す場合、少しレンジアップしてからトーストをかけるという手法がことが多いのは、そういった理由がある。
「中もしっかり温めつつ、外を焼き過ぎない」この難題に取り組んだのが今回の最大の挑戦だった。特に苦労したのが「カレーパン」の温め直しだったという。
カレーパンはパンの内部に具が入っているわけだが、具は下部に溜まり、上部は空洞になっている。この特徴から、上火からの熱では空気の層で熱が止まってしまい、具は温まらず生地が焦げてしまうという課題に直面したのだ。試行錯誤のうえ、ハロゲンヒーターを下火にすることで、表面を焦がさずに中までしっかりと熱を通すことに成功した。
焼き加減も自動で調整
匠の火入れを独自の火力調整プログラムで再現したモードは4種類用意されている。「カレーパンモード」「トースト/アレンジトーストモード」「クロワッサンモード」「フランスパンモード」だ。それぞれのパンの特性に合わせ、上火と下火の強弱を調整。モードを選んでスタートボタンを押せば後は自動で温めてくれるため、加熱時間の設定は不要だ。
自動という点で気になるのが、パンの大きさによって焼き加減が左右されないのかという点。そこに関しては、スタートボタンを押してから加熱時間が表示されるまで、少し時間があるのだが、その間に庫内の熱の上がり具合などでパンの大きさなどを判断し加熱時間を決めているとのことだ。
さらにそれぞれのモードで冷凍パンにも対応している。
実際に試食
実際にリベイクしたパンを試食させていただいたが、まず驚いたのがカレーパン。中が熱々で出来立てのような味わい。
そしてリベイク後の見た目が変わっていないというのもこのトースターならでは。焦がさずに温めることが体現されていた。クロワッサンは、サクサクになり過ぎずしっとりとした食感で、焼きたてのクロワッサンが再現されているように感じた。
食パンに関してはどうなのか、こちらも試食してみたところ、外側はカリッとしつつ、中が熱々になっていることが新鮮で驚いた。自宅のトースターで焼いた食パンだと、外は熱々でも中まで温まっていると感じたことはなかった。試食後に改めて自宅のトースターで試してみたが、やはり中はそれほど温まっていない。これはなかなか良いポイントである。
浅井氏は「このトースターでリベイクすることで『こんなに美味しいんだ』とパンのポテンシャルに気づいて、パンがさらに好きになってくれると思う」と、パン本来の美味しさを届けられることに、期待を寄せる。
「完成品で売られているパン」本来の焼きたての美味しさを再現することにこだわったこの商品、新たな潮流を生み出しそうなそんな予感をさせるものだ。自宅のトースターを買い換えたばかりなのに、早くも買い替えを考えたくなってしまった。