XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年11月8日から11月11日の放送では、ミツカングループのブランド「ZENB」が提供する食体験を紹介した。同ブランドは植物を「可能な限りまるごと食べる」という考え方にこだわり、素材をまるごと使用した食品を開発・販売している。
放送ではZENB JAPANマネージャーの長岡雅彦氏に 、ブランドが誕生した背景や、ZENBの商品について、また今後の展望について語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
「おいしさ」と「カラダにいい」を両立することを目指す
――「ZENB」とはどのようなブランドなのか教えてください。
ブランドの名前を「ZENB(ゼンブ)」と名付けているように、私たちは植物を可能な限りまるごと使った食品を提供しています。たとえば、とうもろこしの芯や枝豆のさやなど、普段捨てている部分まで使ってしまうのです。商品としては超濃厚ペースト「ZENB PASTE」や野菜スティックの「ZENB STICK」、最近だと黄えんどう豆を薄皮までまるごと使った「ZENB NOODLE」を展開しています。
――どのような経緯でブランドを立ち上げたのでしょうか。
2018年にミツカンが「未来ビジョン宣言」を発表しました。大きく分けて「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」「未来を支えるガバナンス」の三つです。そのなかの「新しいおいしさで変えていく社会」では、おいしさと健康を一致させることを目指しています。
塩や油、砂糖は、おいしくても、体への負担は大きい。一方で、サプリメントなど身体にはいいけどおいしくないものもあります。摂ること自体は身体にいいのですが、食事としてのおいしさがあるかというとない。
そこでミツカンとしては、「おいしさ」と「カラダにいい」が両立する食品を提供することで、新しい食生活を提案したいと考えました。また「人と社会と地球の健康」に基づき、環境にやさしい食生活をし、人と地球両方の健康を実現していきたい。それらを象徴するブランドとして「ZENB」を立ち上げました。
――まるごと使うというのは、実際どういうことなんでしょう。
これまで食べずに捨ててきた部分まで全て使って、食品をつくるということです。捨ててきた部分にも栄養があるのにもかかわらず、これまではおいしくないという理由で食べてこなかった。そこでZENBでは新しい技術を使い、全ておいしく食べられるような商品を開発しています。
とうもろこしの芯の場合、普段は固くて食べられないですよね。それを芯まで濃縮して、細かくなるまでとにかくすりつぶす。そうすると今まで食べられなかった部分も食べられるようになるんです。
食べれば食べるほど健康になる、新しい主食のかたち
――ZENBの商品について具体的に教えてください。
お客様に一番多く購入いただいているのは「ZENB NOODLE」という商品です。最近はダイエットや糖質制限、グルテンフリーを考慮して、麺やご飯、パンなどを食べない方が増えています。ただ、栄養バランスを考えると、しっかり摂るべきです。そこで「もっと遠慮せず食べられる、食べれば食べるほど健康になるような商品が作れないか」と思い、それを実現できる商品を開発しました。
見た目はパスタのようですが、いわゆる汁麺やまぜ麺、焼きそばなど様々なメニューに使えます。私たちからは「たまごかけヌードル」など簡単に食べられるようなメニューも提案しています。
お客様からは「便利」「豆100%なのにかなりおいしい」などとご意見をいただいています。また「ZENB NOODLE」はゆで汁までおいしく食べられる。豆のだしが出るので、塩やオリーブオイルを少し足してスープにしたり、ゆで汁をまるごとヌードルで食べたりできるのですが、これらもお客様には喜ばれていますね。
――素材そのものを味わう食体験についてのお考えを教えてください。
私も家庭菜園で植物を育てているのですが、採れたての食材を食べたときは、食物自体のおいしさを感じるんです。実だけではなく、これまで食べてなかった茎や葉もおいしく食べられることが分かります。植物を丸ごと食べることで、植物の命そのものを味わうことができるのだと思います。
デザインの切り口から、食との新しい出会いをつくる
――ZENBとお客様の出会いについても工夫をしているそうですね。
ブランドをより多くの人に知ってもらおうと、2019年には「野菜とデザイン展」を行いました。野菜をデザインという切り口から解剖してみるという内容です。
ZENBを知らない人には、食品のおいしさだけではなく、まずはブランド誕生の背景から知っていただきたいため、あえてスーパーやコンビニではなく美術展で出会ってもらうようにしました。デザインという切り口から、これまでとは違う角度で野菜に興味を持ってもらえるのではと思ったんです。
展示では、来場者がその場でZENBの食品を試食できるようして、販売もしました。加えて近くのレストランでコラボメニューも販売。結果かなり多くの方に来場してもらい、新しい食体験を提案できたことで多くの方から反響をいただきました。
――ZENBのパッケージデザインなどを手がける、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんについて教えてください。
佐藤さんはブランドのコンセプトが固まる前から、プロジェクトに参加しています。これまでブランドの立ち上げやロゴ制作、パッケージデザインなど多方面でご協力いただきました。
私たちは未来の食生活を提案しようと始めたブランドです。夢は万人に受け入れられ、世の中の中心となるブランドになること。デザインに関しては何年たっても見て飽きない、長期的に残るものを作りたかったんです。それを考えたときに佐藤さんにお願いするのが最適だと思いました。
食の多様性に応じ、誰もが安心して食べられる商品の提案を
――今後の展望について教えてください。
ブランドとしてはお客様に食生活全般を提案していきたく、間食や主食以外に他の商品形態も模索しています。もちろん主食としても様々な提案ができるよう、今後も形態を増やし開発していきたいです。
現在購入はオンラインのみとなっています。スーパーに並べることも考えましたが、お客様にはブランドの背景を理解してもらった上で共感し、商品を購入してもらいたい。お客様と深くつながり続けるためにも、直接商品の価値が伝えられるECのみで販売することにしています。
――最後に、メニューの提案で心がけていることを教えてください。
ZENBの商品自体は動物性の食材を使わずに提供していますが、動物性のものを食べてはいけないのかと言われると、そうではない。私たちもメニューによっては動物性のものを加え提案しますし、もちろん全く加えないメニューを提案することもあります。これからも誰でも安心して食べられる商品を目指し開発していきたいです。
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