XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年12月13日から16日の放送では、ゴミを出さない、新しいショッピング体験を提供する「Loop ジャパン」のCXに注目。同社は「捨てるという概念を捨てよう!」をミッションに掲げ、お気に入りの商品を再利用可能な容器で購入することができる、循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」を展開している。
放送では同社代表のエリック・カワバタ氏に、「Loop」の取り組みやそれがもたらす体験、また同社の今後の展望について語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
“リユース”を前提に、ユーザーに商品を購入してもらう
──「Loop」とは、どのような取り組みなのか教えてください。
「Loop」は日用品や食品などの容器を、耐久性のあるリユース可能な容器に替えることで、使い捨てプラスチックを削減しようとする取り組みです。「循環型ショッピングプラットフォーム」として、具体的にはリユース可能な容器を使った商品を販売し、使用済み容器を回収し、洗浄し、商品を充填し、再び販売するといったサイクルを回しています。
私たちは「ゼロ・ウェイスト」を掲げ、消費者や小売店、メーカー、卸業者、製造会社など様々なステイクホルダーとともに循環型経済の実現を目指しています。
──ごみを減らす取り組みとして、なぜ「リサイクル」ではなく「リユース」なのでしょうか?
廃棄物問題はリサイクルだけでは解決できないからです。リサイクルは原料の価値がないと成り立たず、たとえ使用済みの容器をリサイクルする場合も、回収した容器と100%同じ容器は作れません。またリサイクルの過程においては、輸送や分別、新しい素材を製造するためのエネルギーが必要。廃棄問題を根本から解決するには、リユースが必須なのです。
そこで私たちはリユースを推進すべく、使い捨て商品が作られる以前の「循環型経済」を復帰させることにチャレンジしています。過去からリユースのシステムを学び、現代に浸透させていきたいのです。
使い捨ての商品は容器にはお金をかけられません。しかしリユース前提で商品を作る場合は、最初からコストをかけて容器を作れます。10回、20回と再利用する商品であれば、使い捨て商品の20倍のお金をかけても、同じコストでより良いものが作れるんです。
容器のリユースは、生活に大きな変化をもたらす
──では、Loopの商品を購入できる場所を教えてください。
現在は関東地方限定で、東京都の全店と神奈川17店舗、千葉各12店舗の「イオン」「イオンスタイル」(計58店舗 ※)にてLoopの販売コーナーを置かせてもらっています。
そうすることによって、スーパーに買い物に来たお客様がLoopの商品を購入でき、また使用後も買い物のついでに返却することができます。ユーザーは自分の生活のパターンを変えずに、ゼロ・ウェイスト・システムに参加できるんです。
また「おうちでイオン イオンネットスーパー」を実施する店舗のみ、ネットで注文も可能です。その場合、使用後は店頭設置の返却ボックスに容器を入れてもらっています。
※2022年4月1日時点
──Loopの商品によって、ユーザーはどのような体験をするのでしょうか。
Loopの商品を活用することは、生活に大きな変化をもたらすのではないかと思っています。将来、機能やデザインに優れ、便利で見た目もかっこいい容器が作られると、人々のビューティフルでクリーンでエコなライフスタイルが実現できるはずです。
前提として商品の空き容器は価値がないと思い込み、だからこそ私たちは中身だけを購入し、容器はゴミになります。しかし容器を再利用できれば、まず商品を使った後のごみの分別や処理への負担がなくなります。
さらに今後デザイン性に優れている容器が誕生するかもしれません。携帯電話がスマートフォンになったように、容器もスマート容器が出てくるかもしれない。例えば、肌の調査ができるものや、商品が自分にあっているのかどうかを教えてくれる容器など、IoT機能を加えたものが開発される可能性もあります。
循環型消費は、日本人の「もったいない精神」と合う
──Loopに関心を持つ方には、どのような方がいらっしゃるのでしょうか。
例えば、お子さんに「エコのために参加した方がいいんじゃない」と言われて、参加をしてみたという方がいらっしゃいました。「子どもが言うならそれは断れないな」と思ったそうです。
物を使って、洗って、もう一回使う。Loopの仕組みはシンプルなので、子どもにとって分かりやすい。上記のような方はたくさんいらっしゃるのではないかと思っています。
──日本の文化と循環型消費の関係について教えてください。
日本はもともと資源が少ない国で、歴史をたどると、江戸時代はもっとも生活を維持するのが大変だったそうです。その時代を経て、日本人は「もったいない精神」を持っていて、だからこそ私たちは、物を無駄にすることを嫌うんです。
リユースのシステムは、もったいない精神を持つ日本人の考え方や生活に非常に合ってるのではないかと思います。リユースとはつまり、物を無駄にする機会を減らすものなので、社会にとって良いことだと考える方が多いのではないかと思います。
繰り返し使う消費スタイルを、社会に提案し続けたい
──Loop ジャパンの今後の展望について教えてください。
私たちの一番大きな目標は「廃棄物を減らす」ことです。だからこそ、今後は私たちの取り組みに参加するブランドやメーカーを増やしていきたいです。特に日常生活で使うシャンプーや洗剤、美容グッズ、食品などの容器を、ガラスやステンレスなど再利用可能な容器に変えていきたい。そして繰り返し使う消費スタイルを、社会に提案し続けていきたいです。
──Loopを体験し満足度を高めるアプローチとして、どのような構想をお持ちなのでしょうか。
Loopアンバサダー(大使)を見つけていきたいです。最近は嬉しいことにLoopのファンが少しずつ増えてきました。今後は私たち自身がPRするのではなく、Loopを気に入ってくださるユーザーに、アンバサダーになっていただく。そこからSNSなどを使って個人の経験を、周りに伝えていってほしいと思っています。
将来のためには廃棄物を減らさなくてはならない。だからこそ一人ひとりが自らの経験を自分の言葉で周りに伝えていくことが、非常に大事だと思っています。「環境に良い未来を作るために、私はLoopに参加しています」と。ユーザーの商品への愛着心を増やすために、現在着々と企画をしています。
──最後にこれからのリユースの可能性について教えてください。
小売店は単なる売り場ではなくて、様々なコンテンツがあり、様々な経験ができる場所でもあります。リユースによって、社会の小売店に対しての考え方が、単に物を買う場所ではなく、中身を購入し容器を返す場所になるのは一つの大きなことですね。
またリユースは、人々が「物を共有すること」につながると思っています。私たちがホームパーティをするための貸し出しセットを販売するとしたら、ユーザーが必要なのは少しの使用料のみです。あとはLoopで商品を借りて、終わってから返すだけでいいのです。
そのような「物の共有」を軸に新しい事業やサービス、商品を提案できるのではないかと思っています。もちろん私たちだけで考えていてもだめなので、様々なステークホルダーに参加していただきながら、事業の構想をより広げていきたいですね。
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