XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年8月10日から13日の放送では、給水スポットを探せるアプリ「mymizu」を紹介した。昨年の9月に立ち上がったmymizuは、世界中の無料給水スポットを調べることができる。ペットボトルごみの削減のために開発され、現在は日本国内で6500カ所以上、世界で20万カ所のスポットが登録されている。
放送では、スタッフの鈴木玲子氏に、参加型プラットフォームであるmymizuの特徴や原点となるミッション、アプリの提供に留まらない活動について伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
「サステナブルな生活を簡単に楽しく実現できる世界を」
――最初に、mymizuのミッションについて教えてください。
使い捨てプラスチックの削減をはじめとして、人々がよりサステナブルなライフスタイルを簡単に楽しく実現できる世界を作っていくことをミッションとしています。
日本では年間252億本のペットボトルが生産され、そのうち39億本がリサイクルとして回収されず、燃えるごみや不燃ごみとされます。もしくは、海に流れ込んでしまうこともあるんです。そのような問題がありながら、ボトルドウォーターの消費は毎年増加しています。
mymizuは、日本初の無料給水アプリの開発をはじめ、ワークショップやコンサルティングサービス、教育プログラム、自治体などとのコラボレーションプロジェクトを通し、美しい海や健全な生態系、そして人々のより幸せな暮らしを目指して、日々頑張っています。
――アプリには、具体的にどのような機能があるのでしょうか。
無料で給水できるスポットとユーザーを結びつけるプラットフォームとなっています。スポットには、公園の水飲み場のような公的な場所や、約500カ所以上の企業にご登録いただいている「給水パートナー」が提供する場があります。パートナーが登録したカフェやレストラン、お店、ホテルなどにマイボトルを持っていけば、無料で給水ができるんです。
どこにいても気楽に給水できることで、環境やお財布にも優しい活動に誰でも参加できるのが特徴です。さらに、今年の初めから「リフィルトラッカー機能」を追加し、みなさんがmymizuを使うことでどれほどペットボトルやCO2の削減したかが分かるようになりました。現在、2万本を超えるペットボトルと7000キロのCO2を削減することができています。
ユーザー自らがお店に提案、給水スポットを増やせる機能も
――mymizuアプリでこだわっているのは、どのようなところですか。
まず一つ目が、参加型プラットフォームであること。アプリの機能をただ利用するだけでなく、ユーザー自らがどんどん給水スポットを増やしていけるように工夫しています。
水飲み場を見つけたユーザーがスポットとして登録できたり、自分のお店などをお持ちのユーザーであれば、そこを給水スポットにできたりします。最近は、ユーザーがお気に入りのお店にmymizuを紹介、給水スポットとして登録を提案できる新機能も追加しました。
先程紹介したリフィルトラッカーも特徴的です。アプリ内で、個人やmymizuコミュニティ全体で、どのくらいペットボトルを削減できたか、何リットルの水を飲んだかなどを知ることができます。自分たちの行動のインパクトを可視化することで、一人ひとりのアクションの重要性が見えてくる。それが、モチベーションにもつながっていると思います。
――利用者からは、どのような声が届いているのでしょうか。
「こういうアプリを探していた」という声をいただけましたね。mymizuはニッチな取り組みなので、協働創設者の2人もローンチするまでは不安だったと聞いています。このような声をいただいて、求めている方々がいたんだと分かって本当に嬉しかったです。
カフェを運営する方からも、「ごみになるカップで販売することに、罪悪感を抱いていた。それでも、できる限りのことはやりたい」と、給水パートナーとしてご登録いただいた事例があります。実際、mymizuに登録してから来店客数が増えたという声もいただきました。
さまざまな形で参加してもらい、mymizuのムーブメントを
――アプリの他にも「mymizu Ocean Loop」というプロジェクトを立ち上げています。こちらは、どのようなプロジェクトなんでしょうか。
Ocean Loopは、mymizuのオンラインストアとともに始めたプロジェクトです。オンラインストアでご購入いただくと、mymizuが1個の商品当たり1キロの海洋プラスチックごみを回収します。今後は、その結果もオンラインストアなどに公開していく予定です。
mymizuにさまざまな形でみんなが参加していくことで、ムーブメントを起こし、より広めていくことができるのではないか。この思いでOcean Loopを立ち上げましたね。
――イベントや講演会で話をする「mymizuラーニング」という活動もされていますよね。
アプリを立ち上げるだけでは、「なぜmymizuの活動が必要なのか」「なぜマイボトルで給水するのが環境にいいのか」までは、ちゃんと伝わらないと考えています。
だからこそ、私たちは、カンファレンスや企業、大学などの教育機関で講演会をおこなったり、プラスチック消費やサステナビリティ、環境問題、SDGs、ソーシャルビジネスなどについてセミナーでお話させていただいたりしているのがmymizuラーニングです。
最近は、プラスチック削減やSDGsに取り組まれている企業からの問い合わせが増えていますね。会社で取り組むことを決めても、それをやる理由や意義がスタッフまで浸透していない、というのが企業としての課題という声をいただきます。そこで、私たちがワークショップをおこなったり、社内エンゲージメントの企画、運営のサポートをしたりしています。
ペットボトル削減は初めの一歩、mymizuの考えるこれから
――mymizuは企業や自治体、団体などとコラボプロジェクトも展開しています。なぜ、このようなコラボレーションを進めてきたのでしょうか。
やはり、私たちだけでは、ミッションを達成することが難しいと考えています。さまざまな団体と、多様な形でコラボレーションをすることで早くたどり着きたいんです。
今実際に進めている神戸市水道局とのコラボレーションでは、「水道水をみんなが飲む時代を作りたい」という目標に向けて、情報発信やイベントなどに取り組んでいます。
水道局と手を組むことで、神戸市内のより多くの飲食店やお店にmymizuの給水スポットとしてご参加いただけるのではないかと考えています。たくさんの方々に給水していただき、その結果、使い捨てプラスチックの削減につなげていきたいと思っています。
――最後に、mymizuがこれから挑戦したいことについて教えてください。
アプリに関しては、ユーザーのみなさんに継続的に使っていただけるように、楽しい仕掛けをどんどんと追加していく予定です。また、mymizuの活動を日本全国に広めていきたいという思いも強くあります。現在拠点がある東京中心の活動になっていますが、今後は全国にボランティアチームを広めていき、多くの仲間と一緒に活動していきたいと思っています。
私たちは、「ペットボトルの削減」が最初の一歩だと考えています。この最初の一歩だけで終わってしまうことのないよう、mymizuを通して、生活の中で使えるサスティナブルなツールやサービスもユーザーの皆さんにどんどん紹介していけたらと思っています。
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