XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年2月1日から4日の放送では、エアークローゼットが手掛ける月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」のCXを紹介した。2015年にサービス提供を開始し、現在はスタイリストと直接洋服の相談ができる「airCloset Talk」や話題の家具家電をレンタルできる「airCloset Mall」なども展開している。
放送では、エアークローゼット代表取締役社長兼CEOの天沼聰氏に、コロナ禍におけるファッション業界の変化や新たなサービス、今後の取り組みなどを語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
女性の“普段着”に特化し、新たな洋服との出会いを提案
――最初に、月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」について教えてください。
airClosetは、女性の洋服に特化した月額制のファッションレンタルサービスです。これまでのファッションレンタルサービスは、ウエディングドレスや貸衣装が一般的だったのですが、airClosetは“普段着”に特化しています。
利用するお客様がairClosetにご登録いただくと、月額制で料金が発生。お客様のサイズやご要望をまとめたカルテをもとにスタイリストがコーディネートし、ご自宅に洋服をお届けします。お客様はレンタルを自由に楽しんでいただき、普段着として活用することが可能です。返却いただくと、次の洋服をスタイリストが選び、もう一度お送りします。
また、お客様はクリーニングしてから返す必要もありません。とにかくたくさんの洋服に出会うことができ、着用して気に入ったら、そのまま購入もできます。そうでない商品はレンタルのみで返却。新しいお洋服に出会い、楽しめるようなサービスとなっています。
――airClosetは、どのような思いで立ち上げられたのでしょうか。
忙しい女性の生活を考え、できる限り生活リズムを崩さずにたくさんのお洋服に出会っていただけるようなサービスが作りたいと思い、2015年2月にスタートしました。
お客様は、サイズ感や体型のお悩み、好みのテイスト、着用シーンなど、さまざまな要望をスマホで登録。これらの情報をカルテとして整理し、お客様が選ぶのではなく、プロのスタイリストが似合う洋服をご提案するんです。「体型に合うアイテムを選んでほしい」「週末にお出かけするので、それに合ったお洋服を提案してほしい」など、お客様のリクエストにお応えしながら、色んな洋服との出会いを生み出せたらと思っています。また創業当初から、お客様が着こなしを気に入った洋服をそのまま購入できる仕組みも導入しています。
ファッションの楽しみ方が「気持ちを切り替える」に
――「airCloset」は、主にどのような方に利用されているのでしょうか。
会員数は45万人(2021年2月現在)を突破し、主に20代後半から40代のお客様に一番利用されています。最も忙しくなる年齢で、ご自宅や仕事などで時間の有効活用が求められる年代と捉えています。airClosetを利用するお客様の特徴は、9割以上が働いているお客様であること。また、お子様を抱えるお母様も4割以上いらっしゃいます。
airClosetを利用するお客様からは「なかなか時間がなくて新しいお洋服を探しに行けないけど、仕事から帰ってエアークローゼットのお洋服が届いていると、とてもわくわくする」といった声をよくいただきます。先日も医療従事者の方から「コロナ禍で仕事は大変ですが、家に帰って新しい洋服と出会うと気分が上がるし、職場に行くときのコーディネートを楽しむだけでもストレスが全く異なります」など印象的なお手紙をいただきました。
――コロナ禍で、ファッションの楽しみ方にも変化が出ているそうですね。
コロナ禍で変化したファッションの楽しみ方として、お客様から顕著にお声をいただくのがリモートワークによるものです。これまではトップスとボトムスのコーディネートをお届けしていましたが、お客様からのご要望で「トップスだけ3着お届けしてほしい」というお声が増えました。また「自宅で過ごす時間が増えたので、動きやすい洋服がほしい」「気持ちを切り替えるために、ファッションの着替えをしている」などの声もありました。
これまでのファッションは自己表現がメインでしたが、コロナ禍では多くの方が自己表現に加えて、気持ちを切り替えていくためにファッションを楽しむことが増えた気がします。
レンタルを通じて、商品の体験をもっと身近に
――新サービスとして展開された「airCloset Talk」について教えてください。
昨年リリースしたサービスで、お客様がご自宅でスタイリストと直接「Zoom」を介し、クローゼットの断捨離に関する相談やeコマースでの買い物の同行など、洋服に関する相談ができます。利用したお客様からは「人に断捨離の相談をしたのは初めてでしたが、こんなにも断捨離しやすくなるのだと気づかされました」などの声をいただき、私も印象的でしたね。
その一方で、eコマース活用に対するハードルの高さも感じました。ユーザーから「スタイリストに相談をすることで、自信を持ってeコマースを使い始めることができた」というお声をよくお聞きしました。これまでeコマースを使ってきた方よりも、使ってこなかった方がスタイリストに相談をすることで、eコマースの入り口として活用する方が多かったんです。
――もう一つの新サービス「airCloset Mall」はどのようなものでしょうか?
airCloset Mallは、家具や家電などの商品レンタルを通じてお客様にお試しいただき、本当に気に入った物をご購入いただけるサービスです。最近では、マットレスや美顔器、炭酸水を作る家電などがあります。店頭で見かけても、ご自身の生活で実際に試してみてみないと本当に使い続けられる商品なのか、わからない商品はたくさんあると思います。手に取っていただきやすくするためのレンタルサービスとして、airCloset Mallを開始しました。
たとえば、店頭にあるドライヤーでご自身の濡れた髪の毛を乾かすわけにはいきません。だから、レンタルして生活の中で実際に使ってみて、合う、合わないを判断していただく。そんな体験を広めていきたいです。また、すべて商品をメーカー公式で取り扱いしていますので、お客様が安心してレンタルし、購入にもつなげられるのではないかと思います。
時間や場所にとらわれない、スタイリストの新しい働き方を伝えたい
――廃棄物を出すことなく資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」の実現に向けた取り組みも進められているとお伺いしました。
ファッション業界は、大量生産、大量消費、大量廃棄の最たる業界ですが、適した出会いがあれば洋服を着ていただけると感じています。洋服を買ったのに着こなすことができなかったり、洋服が売れ残ったりしてしまうと、必ず廃棄になっていました。洋服が何のために作られるかというと、1着の服をなるべく多く着てもらうためです。そこで、私たちは1回でも多くお客様に洋服を着用していただける体験を作ることが大事だと考えています。
いま欧米中心に「サーキュラーファッション」という考え方が広まっています。サーキュラーファッションとは、作られたお洋服を再度リサイクルやリユース、レンタルなど、お洋服が循環することを意味しています。SDGsに近い考え方ですが、これから長くファッションを楽しんでいくために求められる考え方だと感じています。エアークローゼットのお客様は、実は間接的にサーキュラーファッションやSDGsに貢献しています。airClosetを利用することがその働きがけになるということも、ぜひ多くの方々に伝えていきたいです。
――最後に、貴社が提案するスタイリストの新しい働き方についても教えてください。
ファッション業界で働く方は、やはりファッションが大好きで、業界をもっと盛り上げようとしている方が多いと感じています。しかし、今のファッション業界は、なかなか働き続けるのが大変な状況で、他業界に移られる方が多いのが現状です。
エアークローゼットができることは小さいかもしれませんが、これまでのようにリアルのみで働くスタイリストではなくて、新しいスタイリストの働き方をお伝えしていきたいです。たとえば、時間や場所を選ばずにオンラインでもスタイリストとしてのセンスを存分に発揮していただき、大好きなファッション業界で働き続けることができる働き方を広げていきたいと考えています。少しでもファッション業界に興味がある方にスタイリストの新しい働き方をお伝えできたらと思い、先日オンラインで説明会を開催しました。今後も様々な活動を実施してまいります。
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