XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年4月27日から30日の放送では、おもちゃを毎月定額でレンタルできるサービス「トイサブ!」を紹介。さまざまな種類のおもちゃを500種類以上用意し、ユーザーに毎月アンケートでヒアリングをしながら、子どもの成長に合わせた商品を届けている。
会員数は2020年4月現在で3000人を超え、日本サブスクリプションビジネス振興会が開催した『日本サブスクリプションビジネス大賞 2019』ではグランプリも受賞した。
放送では、トイサブ!を運営するトラーナ取締役の武山真紀氏に、サービスを立ち上げたきっかけや、おもちゃのセレクトへのこだわり、今後の可能性などについて伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
2カ月に一度、子どもの成長に合わせたおもちゃをお届け
――最初に、トイサブ!がどのようなサービスか教えてください。
0歳から4歳※のお子様を対象にした、知育玩具のサブスクリプションサービスです。月額3340円(税抜)で2カ月に一度、子どもの成長に合わせたおもちゃが6点届きます。
※ 編集部注釈:対象年齢は今後拡張予定とのこと。
利用されたお客様には、どのおもちゃでどんなふうに遊んだのか、今お子様がどういった成長の段階にあるかなどを毎回アンケートでヒアリングし、成長段階に合ったおもちゃをお送りしています。布製や木製、電子系のおもちゃなどを500種類ほど現在用意しており、体や手先を動かしたり、頭を使ったりするようなおもちゃを幅広く扱っているのが特徴です。
おもちゃを選ぶときには、「デザイン性」「知育性」「安全性」を大切にしています。それぞれのお子様に合ったものをお届けしたいので、海外のおもちゃ展示会にも足を運ぶなど、日本のおもちゃだけではない幅広い選択肢の中から選ぶようにしていますね。
――どのようなきっかけで、トイサブ!は生まれたのでしょうか。
私が子育てを始めたことが一つのきっかけになりました。子どもに合うおもちゃを、どのように選んだらいいのかが分からない。店頭では気に入っていたものの、買ったおもちゃで子どもが遊ばず、使わないおもちゃが家にどんどん溜まっていく。また、仕事をしていたので、ゆっくり商品を選ぶ時間もなかなか取りづらいという悩みがあったんです。
そんなとき、アメリカでおもちゃのサブスクリプションサービスがあるのを知り、「これだったら私の悩みを解決できるし、日本でもニーズはあるのではないか」と思い、2015年3月に法人を設立しました。当時はサブスクリプションという言葉もなかったですし、おもちゃはレンタル屋が少しある程度でした。
一方で、サービスをローンチしてから予想以上に反響があり、2018年に会員数は1,000人を超え、2019年12月には2,200人を突破。2020年4月現在では、約3,100名のお客様に利用いただくまでになりました。最近はコロナウイルスの影響により自宅で過ごす人が増えたこともあって、より需要が高まっていると感じます。
地道なリサーチとお客様へのアンケートで、データを蓄積
――これまで国内になかったサービスを一から立ち上げるのは、決して容易ではなかったと思います。リリース直後にはどのような苦労がありましたか?
一番悩んだのは、「どんなおもちゃを送ったらいいか」ということでした。年齢や月齢によってお子様のできること、やりたいこと、興味のあることは変わっていきます。しかし、子どもが「どんなおもちゃで遊ぶのか」をまとめたデータはどこにもなかったんです。
そこで、専門書を読んだり、講習を受けたり、児童施設やキッズスペースを回ったりして、何歳の子どもがどのおもちゃでどんなふうに遊んでいるのか、一つひとつ丁寧に調べていきました。例えば、歩き出す1歳のころには、手で押すとカタカタと前に進む「手押し車」があると便利ですが、歩くのが上手になると使わなくなってしまう。1歳後半には乗れるようなタイプのおもちゃに興味が変わっていく、といったことが調べる中で分かってきました。
――確かに子どもが何歳のときに、どのおもちゃで遊ぶというデータはなさそうです。丁寧にリサーチを進める中で、ブレイクスルーとなった瞬間はありましたか。
リサーチだけでなく、今まで1万8,000回以上おもちゃを発送し、毎回お客様にアンケートに答えてもらう中で、「この月齢はこのおもちゃで遊ぶ」というデータがたまってきました。
これによって、データに基づいて、より確度の高いおもちゃをお客様に送ることが可能となったんです。これは私たちの大きな自信となりましたね。例えば、トイサブ!が扱うおもちゃにフィッシャープライス社の「バイリンガルのくるくるボールマシン」があります。
このおもちゃは、マシンの中にボールを入れて手を押すと、ライトが光って音楽が流れ、ボールが転がり出てくるシンプルなものです。これを1歳数ヶ月のお子様にお送りすると、必ず高評価をいただけるということが分かってきました。
「お子様に色んな視点からインスピレーションを得てほしい」
――先ほど「デザイン性」「知育性」「安全性」を大切にするという話はありましたが、一人ひとりにあったおもちゃを選ぶうえで、その他にこだわりはありますか。
あるお子様が積み木に興味を持ったとしたら、次は違うタイプの積み木を選んでみるなど、まず興味のあるものを掘り下げるようにしています。そうするとお子様はどんどん夢中になり、そのおもちゃによって磨ける能力をしっかりと伸ばしていくことができるので。
一方で、第三者が提案するサービスならではのところでいうと、幅広い色味のおもちゃをお送りするようにしています。なぜかというと、男の子だからブルー、女の子だからピンクといった固定概念は、このジェンダーフリーの時代には合わないと考えているからです。
他にも、男の子におままごとのおもちゃやお世話人形、女の子だと工具のおもちゃやレールセットを送ったりして。幅広いおもちゃに触れていただくことで、お子様が色んな視点からインスピレーションを得てほしいという思いでプランニングをしていますね。
――固定概念にとらわれない、お子様一人ひとりの興味のあることを掘り下げていく。とても大切な視点ですね。利用者の方からはどのような声が届いていますか?
「小さい子どもを連れておもちゃを買いに行くのは、体力的にも精神的にも大変なので、その時間を子どもと過ごす楽しい時間に変えられた」という声はよくいただきます。
私も同じような経験があるんです。子どもとデパートに行き、へとへとになりながらも、遊んだおもちゃを買って帰ったのに、2〜3日で飽きてしまったんですよね。「この高い木製の積み木、どうしよう!」「レンタルだったら返せるのにな」と思ったものです。
そんな経験もあり、トイサブ!ではレンタルの形にしたのはもちろん、逆に気に入ったおもちゃを継続して何カ月でも使えますし、購入もできるようにしています。また、ユーザビリティを考慮して、お子様がおもちゃを破損した場合は基本的に弁償不要としています。
育児の相談やノウハウをシェアするコミュニティを立ち上げ
――2015年にサービスをリリースして以降、新たに見えてきたニーズはありますか?
毎回おもちゃのプランニングシートに、私たちプランナーからの個別メッセージも記載しているのですが、お客様からの悩み相談をいただくことや、お子様の成長を報告いだたくことがあります。このことから、お客様が求めているのは、育児の悩みや喜びを気軽に共有したり相談できたりする関係性ではないか、という気付きがありました。
悩み相談に対しては私たちの思うところをお返ししたりだとか、喜びの報告については返信をしたりしていますが、新たな取り組みとしてオンラインのコミュニティを立ち上げました。日本中にいるお客様同士で、育児の悩みをお互いに相談し合ったり、プランシートだけではお伝えできないお家での遊び方、簡単なアートクラフトやオススメの絵本などもご紹介したりしています。
お客様とコミュニケーションしながら、一緒にコミュニティを作り上げることを大切にしていますね。参加した皆さまの心が癒やされる場所になったらいいなと思っています。
――悩みや喜びといった体験をシェアできる場所があるだけで、子育ての孤独からちょっと解放されますよね。最後に、これからのトイサブ!に感じる可能性を教えてください。
私たちの理念は「幸せな親子時間を作ろうぜ」です。単にレンタルしてもらえばいいとは考えていなくて、おもちゃを使って楽しい時間を過ごしてもらうことを大切にしたい。そのためにも、メーカーさんからおもちゃを仕入れるだけでなく、お客様の声を反映させた、よりお客様のことを考えたおもちゃを自分たちで開発することは可能性として考えています。
また、色んな育児の悩みをいただいたいているのもあり、おもちゃだけではなく、悩みに寄り添えるグッズをレンタルできるようにするとか、粘土のようにレンタルはできないけれど良いおもちゃがあったらピンポイントで購入できるようにすることで、お客様にもっと便利に使っていただける工夫をしていくというのは、一つ面白い可能性かなと思っています。
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