XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年4月29日の放送では、フォーマル着、作業着、日常着などあらゆるシーンで活用できるボーダレスウェアブランド「WWS(ワークウェアスーツ)」について紹介した。着心地、使い勝手を体験した人たちからの口コミで、事業化から3年で導入企業は約850社に。固定観念をくつがえし、新しい日常の体験を提供するブランドとして注目されている。
放送では、WWSを提供するオアシスライフスタイルグループCEOの関谷有三氏に、同ブランドを立ち上げたきっかけや人気の秘訣、今後のビジョンなどをお伺いした。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
作業着とスーツの垣根を超えた、新たな商品を開発したい
――最初に、WWSを立ち上げるきっかけについて教えてください。
もともと当社は住まいの水回りのメンテナンス事業を展開している会社です。創立10周年の記念イベントとして、水道事業部門の作業着をリニューアルしました。
その際に、作業着とスーツの垣根を壊した商品を開発しようと考えたのが、WWSが生まれるきっかけとなりました。洗濯機で365日洗濯ができて、汚れにくく、水をはじき、ストレッチが効いて動きやすい。そんな新しいスーツを開発したかったんです。
――作業着をリニューアルする際に、なぜスーツを選んだのでしょうか。
僕らは主にマンション宅内の水回りメンテナンスを行っているのですが、ホテルのコンシェルジュのような出で立ちで作業できないかと考えました。作業着は機能的だけど、作業現場以外では着用できない。スーツは誰と会ってもスマートで好印象を持たれる服。一方で、堅苦しかったり、ケアが難しかったりする部分がある。両者のデメリット部分をぶちこわすことができたら、なにか世の中が変わるんじゃないかという思いがありました。
また、実家が水道屋だったことも影響しています。幼少期から作業着を着た人に囲まれて育ったので、作業着は私にとって身近なものでした。ただ僕の父親は、作業着のままどこへでも行っちゃう人で。一緒にいるとちょっと恥ずかしい気持ちもあったんです。だから作業着っぽく見えず、どこに行くのにも便利な服ができたらいいなという思いもありました。
――開発のきっかけには関谷さんご自身の体験もあったんですね。開発を進めていく中で苦労されたことはありますか?
理想とする生地づくりに難航したことですね。最初は、国内大手の機能性に優れた素材を集めて、仕立て屋に持っていき、スーツをつくってもらって。実際にできたスーツ型作業着を着て、現場で水道工事作業をしてみたのですが、なかなかうまくいきませんでした。
機能性に優れた生地はたくさんあっても、機能的であるほど着心地が悪くなってしまったんです。でも諦められなかった。当社は今までゼロからさまざまな事業を生み出してきました。自分たちが求める生地がないのなら今回もゼロからつくろうと決めて。一緒に生地開発をしてくれる会社を見つけ、機能性と着心地が両立する生地「ultimex/アルティメックス」をつくりました。
2月には「Be Borderless」を掲げ、リブランディングも
――これまでになかった着心地と体験を提供するWWS。販売開始後、瞬く間に広がっていったのは、WWSのスーツ型作業着を導入したいという企業のニーズだったそうですね。
発売初期のころから、ゴミの収集の会社や米農家の方に導入いただきました。導入いただいたみなさんが、「業界のイメージを変えたい」という思いを抱えていらっしゃいました。
最近だと物流関係や植栽のメンテナンスをしている企業にも導入していただき、多種多様な方に着用いただいています。中には「自社サービスのレベルが向上した」という嬉しいお声をいただくことも増えました。スーツスタイルだと、身だしなみや言葉使いに意識が向きますよね。作業やお客さまに対する振る舞いが自ずと変わっているのかもしれません。
――作業着とスーツの垣根を壊す服として誕生としたWWSですが、2021年2月にリブランディングをされました。具体的にどのようなことが変わったのでしょうか?
ブランド名をWWSに変更し、「Be Borderless」というスローガンを掲げました。もともと「スーツに見える作業着」という言葉を掲げていましたが、ワンピースやコートなどウィメンズの商品も拡充してきたことが、リブランディングをするきっかけです。
また、コロナ禍で今パラダイムシフトが起きています。会社に行かなくなくなったり、式典やパーティーもなくなったりと着飾る機会が減りました。今だからこそシーンを選ばずに着られるウェアがあると便利だと思い、ボーダレスという言葉をキーワードとしたんです。
WWSを身近に感じてもらう、オンライン販売での工夫
――さまざまな企業とコラボレーションを行い、「Be Borderless」を具現化しているWWS。これまでにどのような事例が生まれているのでしょうか。
第1弾はANAさまと出張の多いビジネスマン向けスーツをつくりました。第2弾に自転車販売のシェア率が高いサイクルベースあさひさまと自転車通勤向けスーツ、第3弾として現在企画中なのですが、あるゴルフメーカーさまとゴルフウェアスーツの制作を進めています。
今は働き方も多様になってきて、自宅とオフィスの垣根もなくなってきたり、オンラインとリアルの壁がなくなってきたりしている。その中で当社は他業界とのコラボレーションを通して、さまざまな洋服の垣根をどんどん壊していきたいなと思っています。
――今ではWWSの実店舗展開も広がっていますが、オンライン販売では独自のモデルを起用し、ユーザーにとってユニークな商品説明が行われているそうですね。
そうですね。自社スタッフのコーディネート写真を通して、商品説明をしているのは大きな特徴です。着用イメージが湧きやすく、ワークウェアスーツを身近に感じていただけているのではないかと思います。また、当社は業界初の取り組みとして、「30日間返品返金保証」という保証制度があります。どんな理由があっても返品ができて、返品送料も無料。この保証制度は創業当時からやっていて、非常に好評をいただいています。
――着用して使ってみないと着心地や機能性を実感するのはなかなか難しいですもんね。この保証制度はお客さまに喜ばれそうです。
あと、有難いことにWWSの商品はリピート率がとても高くなっているんです。店舗でもECでも、違う色が欲しい方や、違うタイプの商品を買われる方が多くて。当社は商品数が少ないのですが、ベーシックなアイテムばかりなのですが、初回購入したうちの約4割の方にリピート購入いただいています。中には7着持っている方もいらっしゃるんですよ。
さまざまな業界、海外への進出で広がるワークウェアスーツ
――WWSの人気の秘訣はどのようなところにあるのでしょうか。
ひとつは自社開発素材のultimexですね。一種類の生地だけで、さまざまな商品をつくっているのは大きい。この生地の質感を一度体験し、魅力を感じていただけると、リピーターが多いと話したように、オンライン販売で別の商品を購入いただくことが多いです。
もうひとつは、5~10年と長く使える商品をつくることを意識している点です。僕らの服はトレンドを強く意識せず、手間とコストを素材にかけている。最近では「エッセンシャルウェア」という、本当に気に入った商品を長く使うという考え方が、サステナブルという観点から少しずつ浸透していきています。このことからも多くの方にとって、毎日洗えて着心地がいい、長く使える商品にしたことが人気のきっかけになったと思います。
――ありがとうございます。最後に、今後のビジョンについてお伺いさせてください。
今後やろうとしていることは二つあります。ひとつ目は海外展開。ロンドンでの販売がすでに決定しており、世界展開を進めていきたいです。ふたつ目にラグジュアリーブランドとのコラボを検討しています。当社のワークウェアスーツは、アンチファッションとして生まれた商品ではありますが、ファッション業界とのコラボも今後行っていきたいですね。
今ボーダレスウェアという当社が切り開いてきた業界は、多くのアパレル企業が参入し、良い意味で競争が生まれています。市場が拡大する中でも、僕たちはボーダレスウェアのリーディングカンパニーとして、これからも先頭を走り続けたいなと思っています。
KARTE CX VOXの過去の配信は、Spotify、Apple Podcasts、Google Podcastsのほか、「ラジオクラウド」のアプリから聞くことができます。ラジオクラウドはアプリをダウンロードの上、こちらのリンクもしくは、アプリ内で「KARTE CX VOX」と検索してください。