XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年11月16日から19日の放送では、ペットと飼い主の生活を豊かにするサービスを展開する株式会社PETOKOTOを紹介した。同社は、愛犬のためのカスタムフレッシュドッグフードサービス「PETOKOTO FOODS(ペトコトフーズ)」やペットに関する幅広い情報を届けるメディア「PETOKOTO(ペトコト)」、保護犬猫とのマッチングサービス「OMUSUBI(お結び)」を提供している。
放送では、同社はサービスの概要や何を目指して展開しているのかを中心に、社会課題への取り組みや今後の展望などを、代表取締役である大久保泰介氏に伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
「新鮮なご飯をあげたい」というニーズが高まるペット市場
――最初に、カスタムフレッシュフードのPETOKOTO FOODSについて教えてください。
従来のドライフードとは違い、人間も食べてもおいしいと思えるほど新鮮なペットフードです。実際に人が食べても安心で、多くのお客様にご利用いただいています。
たとえば、「ドライフードを全然食べてくれない」と偏食で悩んでいたが、PETOKOTO FOODSを食べさせたら、食いつきがすごく良くなった。また、健康診断の数値が改善され、獣医さんに褒められたといった声をいただいています。
このようなペット向けの冷凍フードは、アメリカで急成長しているんです。背景には、ペットの家族化が挙げられると思います。「手作りで新鮮なご飯をあげたい」というニーズが高まっているものの、それに応じて、手間がかかって毎日作るのは難しい、栄養素が補完できないという課題も生まれてきました。そのときに、この冷凍フードは便利なので、日本でも米国と同じような理由から、ニーズが増えてきているように感じています。
――「カスタム」という言葉にはどのような意味を込めているのでしょうか。
私たちは「カロリーコントロール」と定義しています。現在、日本のわんちゃんの半分は肥満と言われています。その理由は、ドライフードは豆粒1粒ごとのカロリーが異なるために、体重をコントロールすることがすごく難しい現状にあるからです。
そこで当社では、わんちゃんのデータを入力いただくことで、最適なカロリー量や搬送頻度での食事プランを提案しているんです。このことを「カスタム」と呼んでいますね。
―― 難しいカロリーコントールをペットに合わせて解決してくれるのは助かりますね。このサービスには、どのようなこだわりをお持ちですか?
使う食材を国産にするだけでなく、生産者さんのストーリーも大事にしています。実際に農家さんから直接仕入れを行っているので、その農家さんがどんな考えで生産しているかを発信することで、ストーリーまでお客様に届けるということを大事にしています。
あとは、地球環境の問題にも対応していきたいと思っています。たとえば、人間の食用として流通に乗らない食材が沢山あるのですが、それらが廃棄される理由は単に見た目だけの問題というものもあるんですよね。このような品質には問題のない食材を農家さんと手を組みながらペットフードとして展開することで、フードロスという社会課題に対してアプローチしていきたいです。
メディアやLINEで飼い主のちょっとした不安を解消
―― ペットライフメディアのPETOKOTOでは、獣医師などの専門家による様々なニーズにあった記事を掲載されているそうですね。
数多くのペットに関する情報メディアは今存在しており、病気やしつけに関するコンテンツを発信しています。しかし、ペットと一言でいっても、犬と猫を合わせただけでも300種類以上。トイプードルとコーギーでも、かかりやすい病気やしつけ方は違ってくるんです。
そのため、間違った情報もネット上に多く出回ってしまい、結果的に犬や猫の健康管理を害してしまう恐れが出てきています。そこで弊社は、正確な情報をお届けできるように、獣医師やトレーナー、トリマーなどの専門家の方が発信する確証の高い情報であることを条件に運営しています。
――最近では、どのようなコンテンツがよく読まれていますか?
最近は、「GoToトラベル」でペットと泊まれる宿や「GoToイート」が使えるドッグカフェを紹介するコンテンツがよく読まれていますね。ペットの家族化により、一緒に行くことが増えて、それに伴い施設も増えてきました。このようなペットツーリズムを背景に、ペットとの旅行がとても人気になっているのが、背景にあると考えています。
ただ、旅行先で犬や猫が苦手な方に出会うかもしれません。実は私も犬や猫がもともと苦手でした。こういうときに、社会全体が犬や猫に優しくなるためには、双方に配慮する必要があると思っています。たとえば、犬と登山に行く記事があったとすると、「登山に行けて楽しいね!」という飼い主向けの情報を紹介するだけではなく、「ここのマナーを守ろう!」というような苦手な方のことも配慮した内容をコンテンツの中に入れるようにしています。
――飼い主さんが悩みや不安を解消できる、LINEを活用したサービスもあるそうですね。
ご飯だけでなく、しつけや体調の変化などもLINEで相談できるようにしています。手軽に遠隔で相談できることから、多くの方にご利用いただいています。
たとえば、「腎臓の病気になってしまったので、フードをどう変更したらいいですか」「体重が増えてきたけど、どう変更したらいい分からない」などのお悩みが非常に多いですね。そこに対して獣医師が返答し、弊社のカスタマーサポートがアドバイスをもとに最適な食事プランに変更して、お客様にご提案していくようなサポート体制を作っています。
現在は、4種類の総合栄養食を用意しています。人間と一緒で、わんちゃんも同じご飯では飽きてしまうので、そうしたら次から違う種類にしようといった、シンプルな変更もできます。あとは、配送頻度の変更なども幅広く相談できるような形となっていますね。
保護犬猫とのマッチングサービスで生まれる特別な出会い
――ペットと飼い主を結ぶマッチングサービス「OMUSUBI」も運営されていますよね。既存の犬や猫と人間が出会うサービスと、どんな違いがあるのでしょうか。
OMUSUBIは、募集されるすべての保護団体さんに審査を設けているのが、これまでのサービスと違う大きな特徴です。コミュニケーションができる、しっかり運営されているなどの審査を通過した団体のみが募集できる審査制のマッチングサービスとなっています。
私たちは、殺処分問題を解決するために、OMUSUBIを運営しています。保護犬や保護猫が生まれているのは、ミスマッチが起きて飼い主さんが飼育放棄されているからです。そのため、捨てたい犬や猫と迎えたい飼い主さんをつなぐことはしておらず、基本的には保護団体さんと、きちんと育ててくれる方しか登録できないようにしています。
――ユーザーはどのようなプロセスで保護権、保護猫を受け入れているのですか?
希望するのは犬か猫か、そのサイズなどの希望だけでなく、お客様のライフスタイルも最初にヒアリングします。自宅でゆっくり過ごすのが好きな方なのか、アウトドアが好きでアクティブに過ごしたい方か、そういうもので最適な犬か猫が変わるので。たとえば、ボーダーコリーはアクティブに過ごすのが好きなので、そういう方に向いているなどがあります。
何百種類もいるからこそ、どの犬種、どの猫種が合っているのかは分からないんですよね。顔がカワイイなどの理由で迎えると、どうしてもミスマッチが生まれてしまうことがあります。もちろん、迎える前に理解していただきたいのですが、限度があるので、データを通して相性が良い犬や猫を提示し、ミスマッチを防いでいくトライしているんです。
――OMUSUBIを利用した方からは、どのような声をいただいていますか。
すごく嬉しかった体験として、老犬のラブラドールの事例があります。保護団体さんとしては、老犬の需要が少ない、かつ大型犬での飼うのも大変なので、もう保護団体さんのもとでずっと暮らして、亡くなっていくんだろうと思われていたんですね。
しかし、お子さん2人いらっしゃる4人家族が、「子どものためにも命を知ってもらうことは大事」と、老犬の譲渡を決めてくれたんです。保護団体さんもすごく幸せな気持ちになられていました。今でもその子は元気に暮らしており、このようなペットショップではなかなか実現できないマッチングができていることは、すごく嬉しい体験でした。
また、ペットショップだとまだ名前がついていないのですが、保護犬や保護猫は名前がついていることが多いんです。だからこそ、「前に飼っていた猫の名前と同じで運命を感じた」という出会い方もあるんですよね。こういう出会いは、私たちのサービスでしか生まれないと思っているので、出会いの幅が広がっているのかなと感じています。
ペットライフに寄り添ったパーソナライズな情報を届けたい
――PETOKOTOは、「D2C(Direct to Consumer)」で商品を展開されています。お客様に直接商品を届けることで、動物の殺処分をなくしたいというメッセージを、よりダイレクトにエンドユーザーに届けるために、こうした形態をとっているそうですね。
殺処分問題って言葉だけ見ると怖いですよね。ただ私はこの問題のことを「ライフロス」と呼んでいます。いろんなロス問題がある中で、一番人間が解決しなきゃいけないのがライフロスと思い、PETOKOTOはD2Cの形をとりました。このメッセージをより伝えたいと思い、PETOKOTO FOODSの売上の一部をOMUSUBIに登録している保護団体さんに寄付しています。
また、OMUSUBIからPETOKOTO FOODSまで、すべてシームレス化していくことを目指しています。自分の犬や猫が健康的になることで、保護犬や保護猫たちの幸せも作っていく。そういったサステナブルな循環型のビジネスを作っていきたいなと思っています。
――フードロスだけでなく、商品やサービスのサステナブルな形を目指しているのですね。最後に、サービスを今後どのようにアップデートされるのかを教えて下さい。
私たちは、犬や猫を家族として考えるサービスを提供しながら、ペットライフ一つひとつに対して最適な情報や商品を提案する「コンシェルジュプラットフォーム」を作ることを目指しています。将来的には、食事に関する提案だけでなく、ペットごとに役に立つ情報も、パーソナライズしてお届けすることに取り組みたいと思っています。
たとえば、PETOKOTO FOODSのお客様が「キャンプに行きたい」となったとき、近くのキャンプ場が提案されたり、キャンプに持っていくグッズが提案されたりして、そのままECサイトで購入できるなど。点と点をどんどん線で結び、一貫した体験を作りたいです。
もう一つは、保護犬や保護猫の迎え方もチャレンジしたいと思っています。コロナ禍においては、なかなかリアルの場に出なくなるので、ARやVRを通して、実際に触れている感覚を提供していけたらなと。ペットショップは物理的に触れて、温かみを感じれたりすることが魅力ですよね。それをVRやARを通して実現していきたいという野望を持っています。
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