XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年11月29日から12月2日の放送では、本社を宮城県仙台市におき、家電や寝具、園芸用品、ペット用品など幅広く展開している「アイリスオーヤマ」のCXを紹介した。全社で年間1000点以上の新商品を販売。お値ごろ価格でありながら、高品質な商品と呼び声も高く、数々のヒット商品を生んでいる。
放送では、アイリスオーヤマ株式会社 広報室の鈴木幸江氏にこれまで製造してきた商品の変遷やヒット商品を生み出すための取り組み、今後の展開についてを伺った。
本記事では、放送内容をまとめて紹介していく。
家電事業に進出するきっかけは「技術者を雇用し日本の家電産業に貢献したい」という思い
──2021年に創業50周年を迎えたそうですね。これまで取り扱ってきたアイテムの変遷について教えてください。
「アイリスオーヤマ」と聞くと家電事業をイメージされる方が多いと思うのですが、実はプラスチック製造の下請け工場として始まった企業です。プラスチックの成形技術を駆使して、魚の養殖用浮きを製造。また、収納用のクリアケースやプランター、犬小屋などの商品をも展開していました。
ペットブームの時はペット関連の商品に注力し、その後ガーデニング用品も幅広く手掛けるようになりました。家電事業には2009年頃に本格参入したので、実は家電を取り扱い始めてまだ年数が浅く比較的若いメーカーです。
──家電事業に進出したきっかけにはなにがあったのでしょうか。
私たちが家電事業に参入した前後はリーマンショックの影響により、国内の家電メーカーが苦戦を強いられていました。数千人規模の人員削減が実施され、社会問題にもなりました。その際に、私たちが日本の家電産業に対してなにかできることはないかと考えたんです。家電メーカーを支えてきた人たちの雇用を引き受け、彼らのキャリアや技術の力を借りながら商品を生み出したいと考え、家電事業に参入しました。
企画、製造、物流を一気通貫で行い、スピーディーにお客様のもとへ商品を届ける
──これまでにどのようなヒット商品が生まれたのでしょうか。
家電事業に進出してからはじめてヒットしたのが「LED電球」でした。当時は東日本大震災の被害を受けて節電の意識が高まり、白熱灯からLED電球に切り替える方が増加。私たちが販売したLED電球は他社が販売していた価格の約1/3で販売できたため、多くの方にご購入いただけました。
あとは、「ふとん乾燥機カラリエ」という商品も大きく売り上げが伸びました。冬場に布団を温めるために使用したり、梅雨時にカビ発生を防止したりするためにご利用いただいています。また電気圧力鍋や炊飯器などの調理家電も人気商品です。
──次々と様々な製品を生み出せている背景には、どのような取り組みがあるのでしょうか。
毎週月曜日に、開発者による商品企画のプレゼンを行う新商品開発会議を行っています。この会議は社長をはじめ役員、事業部長、製造責任者、品質管理の担当者、研究者などが参加し、全国の拠点からオンラインで閲覧できるようになっています。
そこから何回かの会議に分けて企画をブラッシュアップしていきます。この場で決定が下りるので、商品化が決まれば、全部門が一斉に動き始めます。このように、商品を作る関係者が一同に介して情報を共有しているからこそ、スピード感を持って商品を開発できると思っています。
また自分たちで製造・物流を担当しているため、中間コストをカットでき、手頃な価格での販売が可能となっています。ご注文いただいてからすぐに配送できるように全国に拠点を設け、スピーディーな配送を心がけています。
ユニークな商品アイデアが生まれる秘訣は多岐にわたる事業展開
──ユーザーが思わず「なるほど」と言ってしまうような機能がついた「なるほど家電®」というのがあるそうですね。
はい。なるほど家電®のひとつに「サーキュレーター衣類乾燥除湿機」があります。これは、サーキュレーターと除湿機が一体型になっています。
除湿した空気を上部についているファンで送り出し、除湿した空気で洗濯物が乾く仕組みになっています。衣類乾燥機というと、衣類を温めて乾燥させるものはあったのですが、除湿した風を送る商品はなかなかありませんでした。部屋干し文化がある日本では重宝される商品だと思います。
あとはカロリー計量ができる炊飯器では、よそった分のカロリーを自動で計算できます。男女問わずに糖質を気にされる方が一定数いて、ニーズが高いだろうと推測し発案しました。
──なぜアイデアが生まれやすくなっているのでしょうか。
私たちが多分野に参入しているからだと思います。実際に事業がクロスして生まれた商品が多いんです。たとえば、東日本大震災で被害に遭われた東北の農家さんを支援するために参入した精米事業。ここで得た知見を活用して、炊飯器事業にも参入しました。
全く違う部署なのですが、それぞれが持つ強みを交換しあって一つの商品を生み出していくのは弊社ならではだと思います。
「アイ ラブ アイデア」を掲げ、お客様の生活をより豊かにしたい
──コロナ禍の影響で、経済が大きな打撃を受けましたよね。アイリスオーヤマはこの危機をどのように捉えていたのでしょうか。
私たちとしては過去のリーマンショックしかり、東日本大震災しかり、社会的危機に対して貢献できる企業でありたいと思っています。
今回に関しても、私たちができることはなにかを常に考えて事業展開をしました。たとえば、コロナ禍で需要が増えたマスク。2007年から中国の工場でマスクを製造していましたが、海外との物流が止まってしまい、日本に届かない状況に陥りました。その際に日本中にマスクを届けるため、私たちは早い段階で国内生産を決断し、大型投資を行い、供給できる体制を整えました。
──最後に、今後のアイリスオーヤマについて教えてください。
2021年に、新たなコーポレートメッセージ「アイ ラブ アイデア」を発表しました。このメッセージには私たちのアイデアでより多くのお客様を幸せにしたいという思いが込められています。アイデアを愛し、お客様の生活を豊かに、そして便利にするような商品展開をしていきたいです。
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