XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年3月9日から12日の放送では、ネスレ日本が職場やコミュニティでカフェ気分を体験できる「ネスカフェ アンバサダー」を通してデザインするコーヒー体験を紹介した。
同社は、2005年に世界で初めて「CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)」という考え方を打ち出した。CSVは「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)」と違い、事業を通して経済的価値と社会的価値を同時に創造することを意味する。同社はこれを事業活動の根幹としている。
放送では、「ネスカフェ アンバサダー」の担当者である出牛誠さんに、同社がCSVを大切にする理由や「ネスカフェ アンバサダー」の仕組みを通して提供する顧客体験について伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
CSVを実践することが、サステナブルな成長につながる
――事業において経済的な価値のみではなく、社会的な価値も生み出すという考え方であるCSV。ネスレでは、なぜこの考え方を事業活動の根幹とされているのでしょうか?
社員一人ひとりがCSVについて考え実践することが、サステナブルな成長につながると考えているからです。こうした思いは、ネスレの創業者であるアンリ・ネスレが約150年前に乳児用乳製品を開発したときから受け継がれています。
「ヨーロッパでの栄養不足による乳児の死亡率の高さを何とかしたい」と考えたアンリ・ネスレは、母乳に代わる乳児用乳製品を作り、子どもたちの命を救うため尽力しました。これがネスレそのものの始まりになっています。
――創業のきっかけそのものが「社会課題の解決」だったのですね。
ネスレの代表的なブランドである「ネスカフェ」の誕生も、社会的な問題の解決と密接に関連しています。1930年代初頭、ブラジルでコーヒー豆が大豊作となりました。しかし、価格が大暴落を危惧した農家が大量にコーヒー豆を廃棄していたという問題が起きたのです。
そこで、「コーヒー豆をなんとか保存可能な粉末にできないか」と、ブラジル政府から相談を受けたのがネスレでした。当時のネスレは液体のミルクを粉末にする乾燥技術に優れていたため、研究や開発を重ねて完成したのがネスカフェの始まりです。
このようにネスカフェの開発によってブラジルのコーヒー農家を救うことで、社会問題の解決に寄与することができた。ネスレは約150年前の創業時から、社会的な問題を解決することにより、人々の生活の質を高め、健康な未来を作ることに貢献したいと考えています。
仮設住宅がカフェになった。「ネスカフェ アンバサダー」の始まり
――ネスレの中でも人気のサービスが、オフィスでカフェ気分を体験できる「ネスカフェアンバサダー」ですよね。どのようなサービスなのか、あらためて教えてください。
当社のコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」や「ネスカフェ ドルチェ グスト」を、職場やコミュニティで活用いただけるサービスです。
利用にあたっては、カートリッジやカプセルを定期購入いただくことで、無料でマシンを利用いただけます。大きな投資を必要とせず、職場やコミュニティでネスカフェを始めとした飲み物を楽しんでいただくことができるのが大きな特徴です。現在は、累計46万拠点から申し込みをいただいています。
――マシンが無料で使えてコーヒーを楽しめるのは、会社やコミュニティも導入しやすいですよね。こちらのサービスが生まれたのはどのような経緯だったのでしょうか?
「ネスカフェ アンバサダー」が生まれたのは2012年の秋です。そのきっかけは、2011年3月に起こった東日本大震災にあります。当時、被災者の方や仮設住宅で暮らす方のお役に立てることが少しでもあればと考え、コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を持って仙台市内の仮設住宅に訪れたのです。
コーヒーを提供してみると、世代を問わず多くの方々がバリスタの周りに集まってくださり、熱心に使い方や説明を聞いてくださいました。楽しく話をする人々が絶えず集まり、集会所が一つのカフェのようににぎやかになったんです。「今までは部屋にこもっていたけれど、コーヒーを飲みに頻繁に顔を出すようになった」という声もたくさんいただきました。
バリスタには、コーヒーをただの飲み物として提供するだけではなく、コミュニティを活性化し多くの人を幸せにする力がある――。そんな新しい魅力を発見しました。「このような体験をもっと広げたい」と考え、「ネスカフェ アンバサダー」を開始するに至ったのです。
医療現場や学校など、当初想定していた以上の広がりも
――実際に「ネスカフェ アンバサダー」を利用されている方々からの反応はいかがですか?
実際に導入いただいている職場の方からは、「おいしいコーヒーを手軽に飲めるだけではなく、社員同士のコミュニケーションが増えた」という声をいただいています。
最近ではメールやチャットでのやり取りが増え、近くの席にいても会話の少ない職場が多くなっていると聞きます。このサービスがあることで、コーヒーを淹れに行くひとときが会話や交流のきっかけになる。そういった点に魅力を感じていただいているように思います。
――人々が集うところに会話や交流をもたらすのは、サービスの原点そのものですね。
はい。ありがたいことに、当初私たちが考えていた以上にいろいろな職場やコミュニティにもサービスが広がっています。たとえば、病院や学校にも導入いただけるようになったんです。「緊張感がただよう医療現場だが、コーヒーを淹れる瞬間が楽しみになった」「(学校では)コーヒーを初めて飲むきっかけになった」という声をいただいたこともありました。
「人生の満足度を高める飲み物」としてコーヒーを伝えたい
――サービスの満足度を高めるために、具体的に取り組まれていることを教えてください。
継続的に利用者様の声をお聞きして、サービスに反映するようにしています。たとえば、2019年の秋に発売した「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ デュオ プラス」。このコーヒーマシンでは、集金の手間や小銭を出すことの煩わしさがあるといったお客様の声に対して、初めてキャッシュレス決済に対応したものになります。
また、オフィスでも手軽に本格的なカフェラテが飲みたいというニーズにも応えられるよう、クリーミーパウダーを内蔵。ワンタッチするだけで、本格的なカフェラテを楽しんでいただけるようにしました。
――理想的なコーヒー体験を届けるため、今後どのような取り組みを進めていきますか?
日本人の生活に深く浸透するコーヒーのリーディングブランドとして、「3 Coffee a Day」をテーマに掲げて活動していきます。コーヒーの杯数と人生の満足度には相関があり、特に1日3杯以上のコーヒーを飲んでいる方は、人生の満足度が高い傾向にあることがわかっています。「良い人生」を測る軸はいろいろありますが、当社では「心」「体」「人とのつながり」という三つの要素がバランスよくそろっていることが大切と考えています。
コーヒーはこの三つの要素にポジティブに働きかけてくれる飲み物だと考えています。味や香りといった嗜好品としてだけではない、コーヒーの魅力を伝えていきたいと思います。
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