XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年6月22日から25日の放送では、表参道と銀座の2カ所で個室美容室モールを展開する「THE SALONS」を紹介した。THE SALONSとは、商業ビルのワンフロアを複数の小さな部屋に区切り、美容師たちに貸し出すことで運営されている「個室美容室モール」だ。それぞれの個室に入る美容室の開業までの手続きを一貫して担っている。
放送では、運営元のThe Salons Japan株式会社取締役である窪島剣璽氏に、個室美容室モールを始めた背景や、新しい形の美容室だからこそ生まれている体験を伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
美容師向けのローリスク型、独立開業支援サービス
――まず、個室美容室モールの事業形態がどのようなものか、教えてください。
私たちのお客様は、自分のお店を持ちたい美容師・ビューティシャンです。表参道と銀座にあるビルのフロアを区切って多くの小さな美容室に提供し、美容室ごとに開業届の提出から消防や保健所なの審査などの手続きを一貫して支援するのが、私たちのメインサービスとなります。
個室は、一部屋ごとにシャンプー台、セットチェア、鏡、光熱費、レンタルタオルなど基本的なものが一通りそろった状態でお貸しします。初期費用もいただかない形でお店を持つことができる、美容師・ビューティシャン向けのローリスク型、独立開業支援サービスとなっています。
――具体的には、どのようなお店が入っているのでしょうか。
多くは美容室ですが、他にもネイルサロンやハワイアンエステ、まつげエクステサロン、育毛サロンなども入っています。幅広い業態が集まっているからか、モール内でお客様を紹介し合う文化が、自然と生まれているのが大きな特徴の一つです。
例えば、同じ美容室でもトリートメントを得意とするサロン、ショートカットが得意な美容師など、それぞれ専門性を持っているんですね。お互いの得意分野を紹介し合えることで、お客様にとっても美に関するスペシャリストにまとめて出会える場となっています。私たちもやってみて初めて、そこにお客様のニーズがあるんだと実感した部分です。
「自分のお店を持ちたい」という若手美容師の夢のために
――そもそも、なぜ個室美容室モールという業態にいきついたのでしょうか。
私はIT業界出身だったのですが、現役美容師でもある共同創業者の清水(秀仁)に髪の毛を切ってもらっていたことが、個室美容室モールという業態を知るきっかけとなりました。
清水から、美容業界では「自分のお店を持ちたい」という夢を叶えられずに辞めていってしまう若い美容師たちのために、何かできないかと言われて。その頃、アメリカで個室美容室モールが非常に流行っていることを知り、現地まで視察に行き、勉強したんです。
――若手の美容師たちが辞めてしまう背景には、どのような理由が?
理由の一つに、経営について経験を積む機会が少ないことが挙げられます。美容室を持つには、銀行からお金を借りて、不動産の保証金払って、内装費を払うといったステップを踏んでいく必要があるわけですが、今までずっと専門的な勉強をしてきて、日々お客様の髪の毛を切り続けている美容師にとって、それをこなしていく時間を作るのは大変です。
私たちのサービスは、彼らが得意とする「髪の毛を切る」部分だけに集中してもらい、それ以外のところをアウトソースできるようにするもの。ハサミさえあれば、お客様を呼んで、髪の毛が切れるという点をご評価いただいていると思います。
また、初期費用が多くかからないため、従来のように借金をすることなく自分のお店が持てるのも大きな特徴です。つまり、初月から黒字化できれば、会社のキャッシュフローが安定するので、次の展開も考えやすくなる。そういったこともあり、「THE SALONSの店舗が増えたら、店舗を増やしていきたい」という要望をいただくこともありますね。
美容のワンストップサービスが一つのモールで受けられる
――サロンを利用するお客様にとっては、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
各店舗には色んな領域のスペシャリストがいて、表参道だとトリートメントが強かったり、カラーがうまかったりとか。それぞれをハシゴされるお客様もいらっしゃいますが、最近だと一つのサロンで髪を切っているところに、隣の部屋からトリートメントが得意なスタイリストが来てケアをする、といったような事例も出てきています。一つのモールでさまざまな美容技術がまとめて受けられるところは、THE SALONSのメリットだと思います。
もう一つは、完全個室であることです。一緒に来たご家族と気兼ねなくお話できたり、お子さんにも目が行き届いたりすることを評価いただいているお客様も多いかなと思います。
――まさに美容のワンストップサービスという感じで、お客様の利便性や満足度が高くなりそうです。お客様はどのように各店舗の情報を知って、足を運ぶことが多いですか?
THE SALONSのWebサイト上でどのようなサロンが入っているか確認できますが、私たちのほうで集客をお手伝いするのは現状していないですね。個々のスタイリストがInstagramなどのSNSで10万フォロワーがいるなど有名な方が多いので、そこからの発信が集客のベースとなっています。今後は、THE SALONSとしてもお客様の希望スタイルから美容師をレコメンドできるサービスや仕組みの提供を検討していきたいと考えています。
美容師の夢と、その先にいるお客様のための仕組みを作る
――今後のサービス展開についてはどのように考えられていますか?
店舗としては、年内に都内美容室密集地と言われる一等地への展開を進めております。
また、最近では「THE SALONS Lab」という新たなアプリをリリースしました。このアプリでは、THE SALONSがオーナーとなっている銀座店の個室を、時間制で簡単に体験予約ができるサービスです。より多くの美容師の方々に、独立するための小さなステップを体験していただくことで、独立までのイメージを持っていただけたらと思っています。
――最後に、THE SALONSが担う使命やビジョンについて教えてください。
会社のビジョンは、美容師・ビューティシャンの夢を実現するプラットフォームを作っていくことです。多くの美容師さんはこの仕事を始める前に、自分の店を持ちたいという思いで入るのですが、なかなか実現できない外部要因があります。そのため、THE SALONSとしては常に「美容師ファースト」で考え、独立をサポートできるような環境を整えていきたいです。
一方で、プラットフォームの先にはお客様もいらっしゃいます。私たちの直接のお客様は美容師・ビューティシャンではありますが、最終的にはそのお客様にとってもWin-Winになるような仕組みを作っていくことが、私たちの使命であると思っています。
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