XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2020年10月19日から22日の放送では、日本最大級のコスメ、美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」のCXを紹介した。今年1月に旗艦店「@cosme TOKYO」を原宿にオープン。放送では、新店舗での取り組みだけでなく、新たな生活様式の中でのネットとリアルの融合について、@cosme TOKYOを運営するコスメネクスト代表の遠藤宗氏に話を伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
13年のノウハウを生かし、ネットとリアルの新たな融合を
――@cosme TOKYOをオープンさせた狙いについて教えてください。
13年前からリアル店舗を構えているノウハウを生かし、新しいネットとリアルの融合の姿を発信していきたいと思い、@cosme TOKYOを原宿駅前にオープンしました。
売り場面積は約400坪とかなり広く、ニュートラルな店舗デザインとなっているので、男性のお客様も気兼ねなく、入店できる雰囲気になっていると思います。
――ネットとリアルの融合という点で、どんな体験が用意されているんでしょうか。
全ての商品を、セルフでも、カウンセリングを受けてからでも購入できるようにしています。化粧品のテスターが一堂に集まった「テスターバー」も店内にいくつか設置し、さまざまなアイテムを価格に関係なく自由に試せるのが特徴です。
また、毎週ランキングに沿って棚が変わるので、人気のアイテムがひと目でわかるようになっています。@cosmeが毎年発表しているベストコスメアワードというものがあり、過去に受賞した商品も一堂に集合した「ベストコスメタワー」は、すごく人気ですね。
あとは、パナソニックさんとコーセーさんの協力で実現した、ミラーに顔をかざすと肌分析をしてくれる「Snow Beauty Mirror」のコーナーも好評をいただいています。その他にも、商品バーコードをかざすと口コミが出てくる機能が@cosmeのアプリの中にあるので、口コミをチェックしながら試して購入できることも、特徴的な体験だと思います。
「化粧品は女性のため」という感覚に変化が生まれている
――オープンしてからは、お客様のどのようなニーズが見えてきましたか?
実際にオープンしてから、幅広い商品を一気に試す場がお客様は欲しかったんだ、ということを強く感じます。「百貨店やドラッグストアを回らなくても、ここで一気に見ることができるのは、気分が上がる」というお声をよくいただいています。
お客様の年齢層は、20代~30代のお客様が中心ですが、娘さんと一緒にご来店いただくお母様がいらっしゃったり、最近ではカップルで来ていただいたりすることも多いですね。
スタッフからカウンセリングを受けて、メイクやスキンケアのアイテム相談にのってもらっている男性もよくいらっしゃるので、幅広い層のお客様に来ていただいているという印象があります。「化粧品は女性のためだけ」という感覚が今まであったと思いますが、男性の化粧品に対する考え方も、変わってきているのではないでしょうか。
――@cosme TOKYOで力を入れているのが「パーソナライズカウンセリング」とお聞きしました。これはどのようなサービスなのでしょうか。
一つのカウンセリングシステムにすべてのブランドのデータを集約し、さまざまなブランドを横断的に管理できるようにしました。これにより、お客様が次ご来店いただいたときに「前使った化粧品がどうだったか」や、「どういうサンプルをお渡しして、使い心地はどうだったか」などのデータを、後からでも全部確認できるようになっています。
また、他の店舗も含めて、肌診断をする機械を多く設置しているので、皆さんの肌をチェックしながら、一人ひとりの肌に合った化粧品をご提案することも行っています。
リアルの店舗だからこそ得られるデータがあると思います。なかなかネットでは得られないパーソナルな情報、その人の肌や好き嫌いなどの情報を、このカウンセリングシステムの中に蓄積していくことで、この先ネットでも活用できる仕組みを作っていきたいと思います。
新たなアプローチを次々展開する韓国コスメの勢いが再び
――@cosmeでは、今年どんな商品が売れたのか教えてください。
コロナ前とコロナ後で比べると、メーキャップの商品はだいぶ売上が落ちました。その代わりに、スキンケアの商品が伸びていますね。今年売れた商品だと、「毛穴撫子 お米のマスク」というフェイスマスクが印象的です。あとは、シェルクルール化粧品のクレンジングクリーム「ベーシッククリーム」は、コロナ後に人気が出ているアイテムです。
――新型コロナウイルス感染症への対策で、マスク生活になったことも影響していそうですね。その他にも、どんな商品が売り上げの上位にあるのでしょうか。
最近では、韓国コスメが常に上位に入ってきていますね。今年に入ってからrom&ndというブランドのティントリップ「ジューシーラスティングティント」という商品が人気です。その前は、the SAEMが提供するコンシーラーのシリーズが非常に売れていました。また、MEDIHEALというブランドのマスクも、売り上げの上位を占めています。
韓国コスメの勢いは、あらためて強くなったという印象はありますね。韓国のエンターテインメント界の勢いそのままに、一緒に化粧品も人気が出るのは、よくあるケースだとは思います。しかし、タレントの力だけでなく、新しいアプローチでさまざまな化粧品を次々と出してくるので、日本で突然ヒットを出しやすい特徴もあると思っています。
また、ネットと店舗を比較すると、ネットのほうが高単価なラグジュアリー系のブランドが売れていて、店舗のほうが買いやすい価格帯の商品が売れている傾向があります。
ネットとリアルをシームレスに繋ぐ取り組みを強化していく
――@cosme TOKYOのオープン以外にも、新型コロナウイルス感染拡大を受けたオンラインを活用した新たなサービスをスタートささせているそうですね。
はい。新型コロナウイルスの影響を受け、しばらく店頭でカウンセリングを受けづらい時期もあったために、オンラインでの接客への取り組みを進めています。
例えば、商品サンプルをお送りして、使い方をレッスン形式で教え、レクチャーや質問に答えていく。あとは、店舗で接客をしてもらうような形で、1対1の肌の悩み相談を受けています。オンラインではお客様の肌の状態を直接見れないため、店舗よりも正しくお客様のことを把握するように心掛けています。間違った提案をしてはいけないので。
――オンラインでもさまざまな試行錯誤をされているのですね。最後に@cosmeはこれから、ネットとリアルの店舗の融合をどのように進めていくか教えて下さい。
先程のように、化粧品の説明会や使い方講習会のようなものだけでなく、ブランドのファンの方を集めてオンライン上のイベント開催などを行っています。これからは、@cosme TOKYO 3階にあるイベントスペースも活用しながら、ネットとリアル両方で、お客様とのコミュニケーションを取りやすい状況は作っておきたいと思っています。
また、デジタルの活用を今後も進めて、お客様が「便利だな」「楽しいな」と思っていただけるような取り組みを推進していきたい。例えば、ネットで取り置きを行い、店舗に取りに行ける仕組みや、今までネットで見てきた商品の情報が店舗でリコメンドされなど。店舗にいったからこそ楽しめる仕組みを、テクノロジーを使って実現していきたいです。
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