XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年2月22日から25日の放送では、メイドインジャパンの鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」などを通して素材本来の味を楽しむライフスタイルを提案する愛知ドビーを紹介した。
今回スポットを当てたのは、2020年4月に発売された「バーミキュラ フライパン」におけるCXだ。優れた顧客体験を実現しているサービスやプロダクトを表彰する「CX AWARD 2020」(XD編集部と「KARTE CX VOX」番組スタッフによる選考)の一つにも選ばれた。
放送では、愛知ドビー代表取締役副社長の土方智晴氏に、バーミキュラ フライパンに込めた想いや長く使ってもらうための工夫、今後の取り組みなどを語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
バーミキュラだからこそ作れる瞬間蒸発技術
――最初に、バーミキュラ フライパンがどのような製品なのかを教えてください。
バーミキュラ フライパンは、いつものように使うだけで、誰でも料理をプロ級に仕上げることができる、「焼く」ことを再定義したフライパンです。例えば、バーミキュラ フライパンでもやし炒めをつくると、中華料理屋のようにしゃきしゃきに、お肉は炭火で焼いたように、外はカリカリ、中はジューシーに仕上げられます。
コンセプトは、素材本来の旨味を凝縮するフライパンです。私はバーミキュラの鍋で料理するのは得意だったのですが、ある日、一般的なフライパンで料理したら全然上手にできなかったんです。もやし炒めはべちゃべちゃになり、お肉は焼いても白っぽくゆでたようになってしまって。「なんでだろう?」と研究していくと、プロは素材から出た余分な水分を高火力の熱源と鍋振りの技術で瞬間的に飛ばしていることがわかったんです。
そのため、バーミキュラ フライパンでは特別な熱源やテクニックがなくても、フライパン自体が食材から出た余分な水分を瞬間的に飛ばせるように開発を進めました。これにより、水分を蒸発させるスピードはアルミフライパンの約100倍、鉄フライパンの約30倍です。この瞬間蒸発技術により、バーミキュラ フライパンは料理をおいしく仕上げることができます。
――瞬間蒸発技術はどのように開発されたのでしょうか?
蓄熱性の高い鉄の鋳物と、当社が独自開発した水になじみやすい特殊なホーローコーティングを使用しています。毎日使うものなので、調理性能面だけでなく、使いやすさにもこだわりましたね。通常、鋳物のホーロー調理器は約3~5mmの厚さが必要ですが、それでは片手で扱えない重さになってしまいます。その点、バーミキュラ フライパンは1.5mmという非常に薄い肉厚を実現しました。この薄さは、当社だからこそ作れる技術だと思っています。
また、できるだけ長く使っていただきたいので、ホーローが傷んだら修理も承っています。バーミキュラ フライパンは非常に薄いので修理が難しいのですが、有料でホーローをかけなおし、新品の状態にしてお客様にお戻ししているんです。長くお使いいただけることが一番うれしいので、バーミキュラのお鍋と同様に修理のサービスは継続して提供しています。
普段の料理をもっと楽しく、身近なものにしたい
――実際にバーミキュラ フライパンを使った方から、どのような反応がありますか?
「自分史上最高の目玉焼きができた」「初めてもやし炒めに感動した」「子供が野菜嫌いなのに、箸が止まらないぐらい野菜炒めを食べるようになった」など、料理の味に対して良い感想を多くいただいています。あとは「鉄のフライパンなのに、非常に軽い」「女性でも片手で扱えるし、洗う時まで楽しい」などの声もありました。バーミキュラ フライパンは鋳鉄とウッドハンドルがシームレスにつながるよう職人が1個1個削って仕上げているので、洗いやすいのも特徴です。
その他、プロの方にもご愛用いただいていますね。「鋳物ホーローによって、料理の香りが非常に良くなった」「野菜やお肉を焼きつけるときに、こんなきれいな焼き色がつくフライパンを今まで見たことがない」といった高い評価をいただいています。
――バーミキュラ フライパンは、ユーザーのライフスタイルに注目しているそうですね。
はい。バーミキュラ フライパンを作ったのは、共働きの家庭が増え、料理にかける時間が少なくなってしまうと思ったことがきっかけでした。当社は「手料理と生きよう。」というスローガンを掲げており、今後多くの方が手料理をしなくなるのは非常にもったいないことだと思っています。普段の目玉焼きや野菜炒め、もやし炒めなどが自分の想像を超えた味になると、料理が楽しくなり、もっといろんな料理にもチャレンジしたくなります。だから、そのお手伝いを担えないかと思い、バーミキュラ フライパンを開発しました。
社内コンシェルジュが伝える、リアルな感動体験
――バーミキュラには、製品を熟知するコンシェルジュがいると伺いました。
そうですね。当社ではバーミキュラで100種類以上の料理を作ったことがあったり、半年以上毎日バーミキュラを使っていたりなど、たくさんの項目を満たして調理テストに合格した人が、「バーミキュラ コンシェルジュ」という社内資格を持つことができます。
メーカーである私たちが一番の使い手であるべきだと思っています。お客様としても使ったことがない人から買うよりも、毎日バーミキュラを使っていて、良し悪しを知っている人の話を聞いて購入したいはずです。だから、この資格を作りました。
コンシェルジュはバーミキュラの感動体験を毎日しているので、店舗に行ってみると、すごく楽しそうに「この肉じゃがは出汁なしで作れるんですよ」とか、無水カレーの写真を見せながら「このカレーは水1滴も使わずにできて、すごくおいしいんですよ」「私の子どもはにんじん嫌いだったのに、食べられるようになりました」などお伝えするんですよね。お客様からは、「感動体験を聞いて買いました」というお声をよくいただきます。
――愛知ドビーが本社を置く名古屋市には、多角的にバーミキュラを体験できるスポットがあるそうですね。
一昨年、最高のバーミキュラ体験をコンセプトにした施設「バーミキュラ ビレッジ」を作りました。この施設の中にはバーミキュラの商品を使ったレストランやベーカリーカフェ、ショップ、料理教室、ラボなどがあり、バーミキュラに関するあらゆる体験ができます。
たとえば、レストランやベーカリーカフェで気軽にバーミキュラの味を楽しんでいただき、ショップに行くと実際にバーミキュラを手に取って使ってみることができます。そこで使い心地を体験し、気に入ったら購入していただくことも可能です。商品を試しながら、お客様が「バーミキュラを買ったら、あの料理を作ろう」と楽しい気持ちになり、何の心配もなく帰っていただきたい。これこそが、最高のバーミキュラ購入体験だと思っています。
商品を通して、人と人との関係性まで変化させたい
――バーミキュラ フライパンを購入したあとのサポートについて教えてください。
「オーナーズデスク」というものを設け、コンシェルジュが購入前のご相談から、注文、使い方、調理方法の疑問、修理など様々なサポートを行っています。たとえば、「いつも作っている料理を無水調理でどのように作ったら良いかわからない」とご質問いただいたら、実際に私たちが作って、すぐにバーミキュラで作ったレシピをお客様にお返ししています。
当社はバーミキュラ開発当初から、「お客様への販売がゴールではなく、実際に使って楽しんでいただくことが一番の目的だ」とずっと言い続けています。今まで使ったことがない道具で1回失敗してしまうと、もう使いたくなくなってしまいますよね。そういったことがないように、お客様に楽しんでお使いいただくまでサポートするのが私たちのポリシーです。
そのため、バーミキュラの製品に付属しているレシピ本は私たちが開発する商品の約半分くらいの価値があると思い、大事にしています。レシピはすべて社内の専属シェフ達が作り、撮影もさまざまな方にご協力いただきながら、社内のスタジオで行っています。なので、自信を持って「これは良い」と言えるレシピ本です。
――どのようなモノづくりを今後目指しているのか、ビジョンを教えてください。
当社は2010年に鍋、2016年に「ライスポット」という炊飯器を開発し、2020年にはフライパンを発売しました。これらの商品を通して、料理の味に対して世界一真摯に向き合うメーカーでありたいと思っています。この10年間いろいろやってきて、はじめはただの言葉であった「素材本来の味を引き出す」ということも、徐々に輪郭がはっきりしてきました。
今後も、世界最高だと思えるような製品をしっかりと作り込み、それらを通してお客様に楽しんでいただきたいです。最終的には、バーミキュラという製品自体が、人と人との関係まで変えられるようになりたいです。やはり料理がおいしくできると、料理が楽しくなります。誰かに食べてほしくなると、誰かを家に呼びたくなる。一緒に作って食べるという価値観の共有もできると思います。そういうことが生活の豊かさにつながると考えています。
KARTE CX VOXの過去の配信は、Spotify、Apple Podcasts、Google Podcastsのほか、「ラジオクラウド」のアプリから聞くことができます。
ラジオクラウドはアプリをダウンロードの上、こちらのリンクもしくは、アプリ内で「KARTE CX VOX」と検索してください。