XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年2月15日から18日の放送では、2020年秋に渋谷に誕生した、韓国発のセレクトショップ「ALAND」を紹介した。同ショップは、アパレルだけでなく、コスメやステーショナリーなどの生活雑貨も豊富に取り扱っているのが特徴だ。
放送では、店舗のこだわりやスタッフの採用戦略、オンラインショップの展開、SNSの活用などについて、アダストリアでALAND営業部長を務める樋口和之氏に話を伺った。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
コロナ禍だからこそ日本で韓国を体感できる店舗づくりを
――最初に、ALANDについて教えてください。今回、アダストリアが韓国のALANDと手を組んだきっかけは何だったのでしょうか?
ALANDは、メンズやウイメンズ、ユニセックスの服と服飾雑貨だけでなく、コスメやステーショナリーなどの生活雑貨も扱う、ライフスタイル型のセレクトショップです。当社はもともとヤングカジュアルを得意としており、ライフスタイル型ショップ運営の知見もありました。このことから、親和性があると判断し、お声がけをして、今に至っています。
もともとの出会いは出張などで韓国に行った際、いつもALANDに足を運んでいたこと。当時から、品揃えが豊富で、見たことのないブランドが並んでいたり、同じ商品でも店舗によって内装が違っていたりなど、とにかくワクワクするお店だと感じていました。
――日本で展開をするにあたり、工夫された点を教えてください。
コロナ禍でのオープンとなり、海外旅行も気軽に行けないことから、渋谷のど真ん中で韓国を体感してもらえるように、韓国純度100%であることにこだわりました。そのため、商品セレクトをはじめ、内装デザインもすべて韓国側に任せています。また、韓国では600~700坪ぐらいの大箱の店舗も多いのですが、日本は200坪です。そのサイズに合わせて、ALANDのアイデンティティがしっかりと伝わるような品揃えにしたのも特徴です。
スエット類の他、アクセサリーやコスメが国内で人気商品に
――韓国純度100%のこだわりを体現された店舗についてもう少し詳しくお伺いできたらと思います。内装でこだわったポイントについて教えてください。
渋谷店の内装コンセプトは、通路幅を狭く、両脇に低い建物がひしめき合っているソウルの街並みです。そのため、店内の通路もわざと狭くし、イレギュラーな動線を張り巡らせています。たとえば、ラックを建物のように短いスパンで切ったり、その上に屋根をつけたりしています。なかなか日本にはない店舗になっていると思います。
また、1階はALANDのイメージカラーであるブルーでそろえ、2階は雰囲気を変えるために、グレーのトーンにしています。階によって雰囲気が変わることは、お店に来ていただければ味わっていただけると思います。
――実際に日本でオープンしてから、どんな商品が売れ筋になっているんでしょうか。
バリエーションが多いスエット類は、韓国でも売れ筋のため、日本でも予想通り売れていますね。意外だったのは、アクセサリーやコスメ。アパレル店なのに、こんなに売れるのかと驚きました。韓国コスメは、日本でもかなり人気があります。日本で購入できる場所は増えていますが、渋谷店のように、アパレル店舗で20ブランド以上そろえているのは珍しいです。服に合わせて色が選ぶことができることも支持されている点だと思います。
200以上のWebメディアに掲載され、900人もの採用応募が
――オープン時のスタッフ募集では20~30人の募集に対して、900人ほどの応募があったそうですね。どのような採用戦略をおこなったのでしょうか?
コーポレートサイトのみで募集をしたのですが、InstagramやTwitterのSNSでALAND日本上陸を告知したところ、Webメディアがその情報を取り上げてくれて、そこから拡散いきましたね。最終的には、200以上の媒体で取り上げられ、900人の応募となりました。
採用時は、最初に履歴書を提出してもらいました。当初から個性豊かなスタッフを集めたいと思っていたので、SNSの個人アカウントやフォロワー数などを書いていただき、普通の履歴書にはない個性的な部分を読み取っていったんです。その中で、1人ずつ履歴書を見ながら、会ってみたいと思う方と面接をおこない、選考を進めていきました。
――そのような過程で900人の応募者からスタッフが選ばれていったのですね。実際にオープンしてからは、接客面で工夫されていることなどはありますか。
日本独自の店舗運営スタイルとして、ALANDルールというものを設けました。そのうちの一つに、「話しかけないも愛」というものがあります。日本では、あえて話しかけてほしくないオーラを放っているお客様もいらっしゃいます。そういう方には、こちらからは話しかけませんということを伝えるために、そういうルールを設けています。
もともと韓国の販売員も、あまり接客をしないと有名だったり、この言葉が一人歩きして、ALANDに行くとあまり接客されないと言われたりすることが多かったりします。ただ、その裏側には、「本当はスタッフも話しかけたくて仕方ない」という意味も含まれています。
店舗で味わえる「偶然の出会い」を疑似体験できるEC
――オンラインショップも展開されているそうですね。オンラインでの接客をするうえで、大切にされているポイントについて教えてください。
オンラインショップでは、店内での偶然の出会いを楽しんでもらえる感覚を疑似体験してもらえるように、なるべく多くのブランドや商品を展開しています。また、個性豊かなスタッフの紹介も兼ねて、SNSでは多くのスタッフを起用するようにしています。
コロナ禍で外出の自粛が続き、リアル店舗での買い物ができない方がいる中、単にお店で待っていても、販売員の仕事は成り立ちません。お店から情報を発信することで、お客様に来てもらうきっかけを作り、本来の業務である接客の機会創出をしていきたいです。
各スタッフにインフルエンス力があるのは魅力でありつつ、しっかりと接客ができることもが大切なのを育成する過程で伝えていますし、今後も大事にしていけたらと思っています。
――個性豊かなスタッフと出会うことも体験の価値となっているのですね。最後に、今後のALANDの展望について、教えてください。
おかげさまで、現在多くの出店オファーをいただいており、早ければ、今年中に2号店、3号店までもお披露目できる可能性があります。そのときには、新たなカテゴリーの拡充を計画しておりますので、また違ったお店の魅力を発信できればと思っています。
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