インターネットの登場により、あらゆる情報にアクセスできる環境が整い、消費者は買物をする上で誰もが様々な選択肢を持つことができるようになった。
ところが、利便性が増す一方で、その選択肢の多さがストレスとなり「選ばない買物」へのニーズが高まっていることが博報堂買物研究所の調査で明らかになった。
自分で選ぶ買物と選ばない買物を意図的に分ける
消費者が「選ばない買物」に向かう理由として、大量の情報・商品・買い方の前に正しい判断に迷い買い物ストレスにつながってしまっていることが背景にある。
もちろんすべての買物において「選びたくない」わけではない。カテゴリーによって手間をかけたい買物と効率を重視する買物を意図的に分けて考えているのだ。
博報堂の調査によれば、「手間をかけたい買物と効率を重視する買物を意図的に分けている」と回答した消費者は7割以上にのぼる。「任せたい・面倒な買物」と答えたカテゴリーには生活家電や有料スマホアプリ、金融商品が並び、「自分で選びたい買物」には食品関係のほか、家具、ファッションなど、自分の好みがより強く影響するカテゴリーは自分で選ぶ傾向にある。
買物に関心はあるものの「あえて選ばない」消費者は、20代の若者に多く、SNSやECを使いこなす層が当てはまるという。この年代は「情報が多すぎる、忙しい」という意識が強く、明確な「好き/嫌い」の判断基準をもとに直感的にモノを選ぶ傾向にあるようだ。
博報堂買物研究所は、これから「買物ストレス回避」のために生み出されるニーズとして以下をあげている。
- お膳立てしてほしい
興味ある商品でも、自分のお気に入りをイチから探すのではなく、あらかじめ絞り込み選択肢を提示してほしい。 - 失敗しない保証が欲しい
関心はないけど失敗したくない、そんな時に口コミを調べるのも面倒。「失敗しない安心基準」を提示してほしい。 - みんなとライトに楽しみたい
好きなら労力は厭わないのではなく、みんなが盛り上がっている商品、楽しみ方に乗っかってライトに充実したい。 - 労力なしで買わせてほしい
買物は最低限に省力化。検索する、宅配を待つ、わざわざお店に行く…当たり前の労力さえ減らしたい。 - 買物の労力に新たな意義・価値を見出したい
商品探しに労力を使うなら社会貢献、自己承認、やり甲斐など労力に対する新たな意義を見出したい。 - もっと直感的に選びたい
「これほしい!」「使ってみたい!」という買物現場の直感的なひらめきで商品を選び、日常の買物を楽しみたい。
これからは消費者の「選ぶストレス」をいかに回避し、満足度の高い体験を生み出すことができるサービスを提供できるかが、大きな差別化ポイントとなっていくかもしれない。
調査概要
調査地域:全国/調査時期:2017 年 12 月 22 日~24 日実施
調査方法:インターネット調査/調査対象:20 歳~69 歳の男女(各性年代 100s ずつ)
サンプル数(有効回収数):20 歳~69 歳の男女 1,000 人
※今回使用データは性年代(10 歳刻み)で人口構成比(2015 年国勢調査ベース)に合わせウェイトバック
調査機関:エム・アール・エス広告調査 株式会社