急須の再発明 — nana’s green teaを運営する七葉は、新しい急須体験を目指す「360KYUSU(サンロクマルキュウス)」を2023年10月1日から店舗とオンラインで販売を開始した。店舗でもこれまでのティーバッグでのお茶の提供を、「360KYUSU」と茶葉での提供に切り替える。
国内でも海外でも通用する画期的な急須を
nana’s green teaは、「新しい日本のカタチ」をコンセプトに、日本茶や抹茶を中心とした多彩なメニューを提供しているカフェブランドだ。
もともとnana’s green teaは七葉代表の朽網氏が、「世界に持っていけるポテンシャルのある『日本のおいしいお茶』をカジュアルな形で一般の人に広げていきたい」そんな想いからスタートしており、2001年に自由が丘で誕生してから、現在は国内に73店舗、海外5カ国に8店舗展開するブランドへと成長している。
しかし現在、海外における健康志向による抹茶・緑茶ブームが追い風となっている一方で、国内ではペットボトルのお茶飲料の需要が高まったことで、茶葉からお茶を飲む機会が減少している。その結果、お茶の中級・上級クラスの消費量が大きく減少している現状があるようだ。
七葉は、そうした現状を踏まえ、「誰もがもっと美味しく、もっと気軽にお茶を楽しんでもらいたい」「茶葉でお茶を楽しむことで生産者を応援したい」という想いから、それらを実現する新しい急須として「360KYUSU」の開発がスタートした。
究極に扱いやすくした“新しい急須体験”を
「360KYUSU」は、急須を使う上で不便と感じる点を排除した特徴がある。「洗いやすい」「場所を取らない」「落としても割れない」といった点だ。
名称は、360°どこからでもお茶を注げる急須であることが由来となっている。
商品を構成するのは、急須、蓋、湯呑みの3点。一般的なぼってりとした形状の急須とは違い、コップのような形状、サイズ感となっている。そして茶漉しがない。
蓋は茶葉を計量する役割も持っており、蓋の裏側にある線まで茶葉を入れれば、およそ4g (1人分)になる。
茶葉を急須に入れて、お湯を半分ほど入れれば、ちょうど一杯分の150mlが淹れられる。
急須はガラスのような見た目だが、トライタン樹脂でできている。優れた耐衝撃性があり、落としても割れない素材であるため扱いやすい。耐熱温度は100℃で食器洗浄機の使用も可能だ。また、熱くなりにくいため、お湯を注いだ状態で手に持つこともできる。
茶漉しがない代わりに、注ぐ時に蓋が茶葉をせき止めてくれる役割を持っている。また、茶漉しがないことで茶葉がよく対流し、美味しくお茶が淹れられるメリットも得られている。
急須に蓋をしてから、煎茶は1分30秒、ほうじ茶・玄米茶は20秒待てば出来上がりだ。
使ってみればその使い勝手の良さに納得
私自身、おいしいお茶を淹れてもらったことをきっかけに、急須でお茶を淹れることにハマっていた時期があるが、片付けのことを含めて考えるとお茶を一杯淹れるのにも、ちょっとした決心が必要になり、徐々に使わなくなってしまった経験がある。
「360KYUSU」を実際に使用してみるとその使い勝手の良さに納得する。形状がシンプルで茶漉しがないのでとても洗いやすく、コップを洗う感覚と同等であるため、負担は最小限だといえる。食洗機も使えるのでいうことはないだろう。
収納する際にもコップ1つ分の面積しか使わないので場所を選ばない。
そして何より、急須に馴染みがない人にとっても、それほど迷いなく使えるシンプルな構造である点も特筆すべき点だろう。日本のみならず、海外での利用も考慮されており、そのシンプルさは、すでに海外のスタッフからも好評だという。
旧来の急須でちょっとした手間をかけながら淹れるお茶も良いものだが、日常的に使用するには少し難を感じてしまう。そんな人にとって「360KYUSU」は茶葉からお茶を飲む機会を確実に増やしてくれそうだ。そして初めて急須を使う人にとっても、お茶により興味を持つきっかけになるだろう。
なお、nana’s green teaの公式サイトでは、七葉 代表取締役の朽網一人氏と、「360KYUSU」のデザインを担当した「Product Design Center」鈴木啓太氏、「nana’s green tea」のブランディングを手掛ける「エイトブランディングデザイン」西澤明洋氏の3名による開発の裏側を語る対談記事が公開されているので、製品化までの道のりを詳しく知りたい人はチェックしてみると良いだろう。
https://www.nanasgreentea.com/blogs/design/202309-4