2017年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」。インスタとは写真共有型SNS「Instagram(インスタグラム)」の略称だが、もはやInstagramに投稿するしないに関わらず、写真映えするスポットやモノを表現する際に使われる代名詞のような言葉として使われている。
実際Instagramには見映えにこだわったおしゃれな写真が次々と投稿されており、おしゃれな写真を撮るための消費行動まで生まれるほどだ。「人気店を狙うためには、インスタ映えを狙った商品が欠かせない」といった意見も上がるなど、その影響力は無視できないものとなっている。
Instagramはいまだに急成長を続けており、月間アクティブユーザー数は世界で8億人、デイリーでも5億人を超える規模のサービスとなっている。
もちろんこの市場に企業も積極的な参加している。場に合わせた投稿をするビジネスアカウントはユーザーからも共感を得ており、ユーザーの80%以上がなんらかのビジネスアカウントをフォローしているほか、毎日2億人以上がビジネスアカウントを閲覧している。さらに、日本では毎日3分の1のカウントでDMなどでユーザーとの直接的な会話も生まれているという。
発見からアクションに繋げる「ショッピング機能」を導入
当然のことながら、“Instagram上で見かけたファッションアイテムを購入したい”というニーズも生まれるが、これまではInstagramに記載された情報からユーザー自身が検索して購入する必要があった。これでは、気になるアイテムとの出会いがあっても、スムーズにアクションに繋げるのが困難な状況といえた。
Instagramはそのニーズに対応するべく6月5日、ビジネスアカウントを対象とした「ショッピング機能」を新たに導入した。これにより投稿写真内にある商品が気になったユーザーに対してスムーズに購買まで繋げることが可能となる。
ショッピング機能は、米国では2017年3月に導入されていたもので、日本でもようやく利用できるようになった形だ。この機能により投稿写真内のタグからInstagram上で価格や商品の詳細情報を閲覧することができ、気に入ったら外部ECサイトがフロート上で表示され、そのまま購入することができる。
Instagramのマーケティングディレクターであるスーザン・ローズは、「Instagramは、発見が消費者のアクションに繋がるプラットフォームを目指しています。ショッピング機能は、ビジネスとコミュニティ(利用者)の有意義な繋がりを促進するひとつの手法だと考えています。」とコメントしている。これまではアクションが分断されてしまっているのが実際のところだったが、ここがスムーズにつながる。
ショッピング機能の導入にあたり、Baycrews (@baycrews)、BOTANIST (@botanist_official)、creema (@creemajp) 、Gilt Japan (@giltjapan)、minne (@minne_official)、ZOZOTOWN (@zozotown_official)*の計6ブランドによるテスト運用がすでに実施済みで、これらのアカウントではショッピング機能を実際に使うことができる。
実際に使ってみると体験としてもスムーズだ。
テスト運用に参加したベイクルーズの馬來氏は、「ショッピング機能によって、ユーザーが知りたい、欲しいというモチベーションが高い状態のときに情報を提供できるようになることで、今まで以上に商品を知ってもらえたり、ブランドの世界観を伝えたりすることができるようになると感じています。また、これまでリーチできていなかった潜在顧客との接点をもつという意味でも期待しています。」とコメントしている。
マイクロモーメントがあたり前の中、「欲しい」と思ったタイミングでいかにスムーズにアクションに繋げられるかは非常に重要だ。さまざまな出会いがある中で「あとでやる」というのは、実現されないことが多い。このような機会をいかにアクションに繋げられるかは今後ますます重要になるだろう。