XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年11月22日から25日の放送では、渋谷にある複合文化施設「Bunkamura」での体験について紹介した。様々なカルチャーが交錯する渋谷という街で、長年に渡り、音楽や演劇など数多くの文化を発信し続けている。
放送では、Bunkamuraを運営している株式会社東急文化村 マーケティング部部長の荒木久一郎氏に、Bunkamuraが届ける上質なコンテンツやコロナ禍での取り組み、今後の展望などについて語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
上質で長く愛されるコンテンツを、渋谷から発信する
──まずは、Bunkamuraについて教えてください。
1989年9月に創業し、今年で32年目を迎えます。施設は、ホールや劇場、ミュージアム、シネマ、飲食店、物販などを展開。他にも、東急シアターオーブやセルリアンタワー能楽堂などの劇場も運営しています。
私たちは、企画・制作、チケット販売、劇場の運営を一貫して自社で担っています。その取り組みは、世界を見渡してもあまり民間企業としては類がないのではないかと誇りに思っています。
──Bunkamuraは渋谷に位置していますが、多様な年齢の方が街に集まりそうですね。
そうですね。Bunkamuraを設立した頃である1990年代の渋谷は、コギャルなど非常に尖った若者文化がメディアに取り上げられた関係で「若い人が集まる街」というイメージがありました。しかし、実際は若い人だけでなく大人からも利用され続けており、多様な世代が集まる街だと感じています。中でも、Bunkamuraがある場所は「奥渋谷」とも言われ、渋谷駅周辺とは違った雰囲気の方が街を歩いていますね。
──施設で提供しているコンテンツは、ターゲットとなる年齢層が決まっているのでしょうか?
特定の年齢層を意識するのではなく、世界で愛されている文化や芸術、また日本の代表的な文化を世界に発信することを掲げています。上質で、長く楽しめるコンテンツを大切にしている結果、若者向けのコンテンツとは少し異なるものが多いのではないでしょうか。
──開業から今年で32年も経ちますが、これまで手がけたテーマに変化はあったのでしょうか。
開業当初と現在の演目を比べると、ジャンルのバリエーションが豊富になりました。これまでも世の中の半歩先を提案すべく、様々なコンテンツを制作し運営していました。しかし、世の中が急速にデジタル化し、変化のスピードが速くなっています。特に、文化は世の中に対する鏡のようなもので、昔と比べてコンテンツの変化も速くなっていると感じています。
“明日の希望”を届けるために、無観客でコンテンツを配信
──去年の新型コロナウイルスの影響で、余儀なく長期休業されたそうですね。
毎日、多くのお客様がいらっしゃっていたため、ある日突然、誰も来られなくなる事態は予測していませんでした。だからこそ、この先も事業が続けられるのか、不安でいっぱいでしたね。出演者も、この先の不安をずっと抱えていたと思います。
またこの時に、「人々が少しでも明日への希望を感じるために、文化や芸術は本来は存在しているのではないか」と改めて感じました。
そこで、ステイホーム期間でも、文化や芸術に触れることができるように、無観客でコンサートや演劇などの配信を行いました。出演者の協力も得られ、早いスピードで立ち上げることができました。
──無観客でコンテンツを配信するにあたり、どのような取り組みを行ったのでしょうか。
ソーシャルディスタンスを取った新しい形で、お客様にコンテンツ提供できるのか実験し、それを配信で公開しました。例えば、オーケストラと共に第九を合唱する際に、オーケストラと合唱団を離して演奏したら成立するのか実験する。また、役者がアクリルボックスに入り、芝居を繰り広げて配信するなど様々な取り組みを行いました。
その集大成として、今年10月から「Bunkamuraストリーミング」を立ち上げました。その結果、リアルだけに留まらない新たなBunkamuraをお客様に提案できるようになりました。
出演者と観客が共に楽しむことが、文化体験の醍醐味に
──9月末に緊急事態宣言が解除され、各施設で開かれる公演は現在ほぼ満席だそうですね。改めて「公演」というリアルな体験に対して、何か感じたことはあったのでしょうか。
お客様に対する感謝の気持ちが一層強くなりました。新型コロナウイルスが流行し始めた時は、こんなに長く我慢しなければならない状況が続くとは思っていませんでした。しかし、緊急事態宣言が解除された現在は、大勢のお客様がいらっしゃっています。
やはり満席の中で拍手の音を聞くと感動が全然違い、出演者の嬉しそうな顔を見ると続けられてよかったと思いますね。満員のお客様と共に楽しむことで、初めて演劇やライブが成立するのだと認識しました。施設でお客様に観て頂くことが、私たちの仕事の中核です。これからもご贔屓頂けると非常に嬉しいですね。
──隣接する東急百貨店本店の解体工事に伴い、Bunkamuraは2023年から一時休業されます。再開後に期待される新しい文化体験について教えてください。
本店の建て替えが何年間かかるのか未定なこともあり、Bunkamuraも再開がいつになるか決まっていません。しかし、一つだけ言えるのは、今の施設をアップデートし、さらなる価値の向上を図った上でお客様をお迎えできることです。
また、Bunkamuraは施設だけを運営している会社ではありません。コンテンツ制作からチケット販売まで一連の仕事を担っているので、別の施設を借りるなどしてお客様に喜んでもらえるコンテンツの提供を引き続き行っていきます。ぜひまたご来場いただいて、楽しんでいただければ嬉しく思います。
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