XDを運営するプレイドが、J-WAVE(81.3FM)の『TOKYO MORNING RADIO』内で放送※していた「KARTE CX VOX」。プロダクトやコンテンツ、イベントなどの誕生ストーリーや仕掛け人の思いを紐解き、「顧客体験(CX)」の意義をともに考える番組だ。
2021年3月11日から3月14日の放送では、カウブランド 赤箱、カウブランド 青箱でおなじみの牛乳石鹸共進社(以下、牛乳石鹸)」のCXについて紹介した。牛のシンボルマークが特徴の牛乳石鹸。1909年に創業後、「ずっと変わらぬやさしさを。」という理念のもと、使う人の肌や環境に優しいモノづくりに取り組んでいる。
放送では、同社コーポレートコミュニケーション室の田原有紀氏に、高品質を目指した製法やコロナ禍での取り組み、モノづくりに対する思いなどについて語ってもらった。
本記事では、放送内容をまとめ紹介していく。
泡が柔らかく、洗顔にも使える牛乳石鹸の秘密
――最初に、牛乳石鹸のカウブランド 赤箱(以下、赤箱)がロングセラーとなった大きなポイントとなっている、釜だき製法について詳しく教えてください。
食用原料となる高品質の天然油脂を主な原料に、炊いたり、冷ましたり、撹拌(こうはん)したりする工程をおよそ1週間かけて行い、じっくりと熟成させるのが釜だき製法です。
この製法で作られる石鹸は機械化できず、メーカー独自の伝統的な技術が必要となります。そのため、この大切な工程を創業以来ほぼ変わることなく、職人が行ってきました。手間はかかりますが、この製法により保湿力が高く、潤いのある石鹸が生まれます。
――実際に使われているお客様からはどのような声が届いていますか?
よくいただく言葉が「おばあちゃんの代から使っています」や「母も使っています」「実家を思い出します」といった声です。「泡がこんなにしっかり立つのか」「肌の悩みで病院に行った際に病院から勧められた」というようなお声をいただくこともありました。
当社の石鹸は全身を洗う際に使う製品なのですが、最近はスキンケアにこだわりを持つ若い女性の方々に、洗顔用石鹸として使用いただく機会が増えているのも特徴です。牛乳石鹸の泡は、固さや弾力もあるんですが、肌に乗せたときは柔らかい。天然由来のうるおい成分が含まれているので、乾燥肌で洗顔後に肌がつっぱってしまう方にもご利用いただけます。
子供たちに手洗いの大切さを。小学校で行うある実験
――コロナ禍では、手洗いの大切さが注目されるようになりました。牛乳石鹸では、手洗い啓蒙活動に取り組んでいるそうですが、どのような活動をされてきたのでしょうか。
コロナ禍前から、当社では地域貢献活動の一環で、従業員が近隣の小学校に赴き、手洗いの啓蒙活動をしています。今は直接伺うことを控えている状況ですが、何をしてきたかというと、子どもたちとある液体を使った「実験」を行いました。この液体は紫外線をあてて見たときに、洗い残し部分が分かるようになっているものです。
きちんと手を洗わないと菌が残る様子を見てもらうことで、手洗いの重要性を理解してもらいます。手洗いできていない子が触ったものから、きちんと手洗いした子にどのくらいの菌が繁殖するかも観察。繁殖具合を見た子どもたちからは、いつも驚きの声が上がりますね。
――手洗いの啓蒙活動を牛乳石鹸が行う意義はどんなところにあるのでしょうか?
手洗いの大切さを知ってもらうことです。菌というのは、なかなか目で見ることはできません。実験の中で菌を可視化し、手洗いの具合を見比べる。しっかり手洗いできていれば菌の繁殖を抑えられると、身をもって学ぶという体験に勝るものはないと思っています。
泡の良さを体験できるイベントも期間限定で開催
――スーパーやドラッグストアでは赤箱を多く見かけるものの、専門店は持たない牛乳石鹸。実際にお客さまと会う機会として、2018年から赤箱の良さを伝えるイベント「赤箱 AWA-YA」を開催されました。どんなイベントなのか教えてください。
「赤箱 AWA-YA」は赤箱の発売90周年をきっかけに、プロモーションとして始めました。2018年に初めて京都でこのイベントを開催した際、当初は単発での実施を想定していましたが、予想をはるかに上回る1万人以上の方に参加いただけて。これほど喜んでいただけるのならということで、期間限定で毎年行っています。2019年は福岡で開催しました。
イベント時の店頭では、赤い服を着たスタッフがお客様をお出迎え。当社の石鹸で泡ハンドパック体験をしていただいて、泡の良さをお伝えします。2020年は新型コロナの影響もあり、オンラインでの開催に。イベントの開催場所は変わりましたが、体の中でも一番大事な顔の洗顔にも使っていただける泡の良さを一貫して伝えるようにしています。
――新型コロナの影響もあり、赤箱と再会したユーザーもいたそうですね。
ドラッグストアやスーパーからさまざまな洗浄料が売れてなくなってしまったとき、久しぶりに赤箱を買ってくださった方が多くいて。「石鹸ならではの優しさを思い出しました」というお声をいただきました。刺激を強く受けたり、乾燥でつっぱったりせず、手の保湿感や潤いが残るので、それを「優しさ」と言ってくださったのかなと思っています。
シンボルの「牛」に込められたモノづくりへの思い
――モノづくりをされるうえで、一貫して大切にされていることはありますか?
従業員全員が心を込めた製品づくりをし、「品質第一主義」で社会に奉仕することを大切にしています。これは創業者、宮崎奈良次郎の信念である「販売に有利な石鹸は良質な石鹸である」に準ずるものです。また、古くからの格言で、「商いは牛の歩みのごとく」という言葉があります。牛はゆっくり動きますが、あとずさりせず、堅実に前を向いて進んでいく。この言葉も語り継がれている大切なものであり、牛は当社のシンボルになっています。これからも牛のように、歩みを一歩ずつ前に進めながら事業を行っていきたいと思っています。
――ありがとうございます。最後に、今後の展望について教えてください。
今後も「手洗いに解除はありません」というメッセージを打ち出し、手洗いに関する啓蒙活動を実施していきます。最近では、介護業界にも働きかけを始めています。介護者だけではなく介護される方にも喜んでいただけるような商品を展開していきたいと思い、少しずつ取り組みを開始していっているところです。また赤箱では、今後も「泡の良さ」が人から人へ伝播されるような活動に力を入れていきたいなと思っています。
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