一冊の本をきっかけにロマンチックな出会いを演出する。そんなマッチングサービスが注目を集めている。『Chapters(チャプターズ)』だ。
「本を通じた人との出会いを叶えるオンライン書店」をコンセプトとするChaptersは、2021年6月のグランドオープンから1カ月半でユーザーは1,000人を超え、同年9月には出版取次のトーハンなどから資金調達を実施している。
従来のマッチングサービスの多くが、年齢や職業、趣味、特技など、詳細な個人情報を元にマッチング相手を選ぶのが前提だったのに対し、Chaptersでは、公開するプロフィール情報は生年月日と好きな本のジャンルのみで、写真登録もない。
「本を通じた人との出会いを叶える」オンライン書店「Chapters」。タイトルや著者が伏せられた4冊の選書の中から、毎月1冊が届く。ユーザーは説明文や作品をイメージしたビジュアルなどを参考にして、直感的に選べるようになっている。同じ本を選んだ人とビデオチャット「アペロ」を楽しむこともできる
マッチングの条件は、月ごとに提示される4冊のオススメ本の中から選んだ1冊が一致することのみ。初顔合わせはビデオチャットが基本で、しかも最初から相手の顔がわかるのではなく、徐々に顔が明らかになっていくという演出が加えられている。
前例にとらわれない体験設計は一体どのように生まれたのか。
ChaptersのユーザーであるXD編集部の外山友香とともに、サービスを運営する株式会社MISSION ROMANTICの代表取締役 森本萌乃氏に話を聞いた。
“予期せぬ” ロマンチックな出会い方で、過去の自分を救いたい
——森本さんがサービスを立ち上げようと思ったのはどんなきっかけからだったのですか?
森本:わたし、今31歳なんですけど、20代後半にかけてマッチングサービスにハマった時期があったんです。でも「なんか違う」「自分がどこか悪かったのかな」と落ち込んでしまうことが多くて。あのときの気持ちを包み込めるようなサービスをつくって、過去の自分を救ってあげたい、と思ったのがきっかけです。
マッチングサービスに限らず、フリマやスキルシェアサービスも“等価交換”というか、条件をすり合わせるばかりで、「出会い方」にこだわったサービスってあまりないじゃないですか。それもロマンチックじゃないし、すごく違和感があったんです。
——本を出会いの軸にしようと思ったのはなぜですか?
森本:企画って、多くの場合「うまくいった事例」に基づいて立案していくと思うのですが、わたしは「すでにあるもの」から発想すると全部ありきたりになってしまうように感じて。むしろ、フィクションに答えがあるんじゃないかと感じたのが、広告代理店に勤めて4年目のころ。しばらく小説や映画などの物語からは遠ざかっていたのですが、そこから自分でも驚くほどのめり込むようになっていきましたね。だって、物語の主人公になれたら楽しいじゃないですか。
それで事業を考えるにあたって、ロマンチックな出会い方をいろいろと挙げてみたんです。バーのカウンターで「あちらのお客様からです」と言われるとか、ベランダ越しに隣人と仲良くなるとか。そういった出会いを考えていた中で、たまたま映画『耳をすませば』を観たとき、「これだ!」と思ったんです。主人公は図書館で借りた本をきっかけに相手と出会って、惹かれていく──。
なぜそこまで衝撃的だったのか、当時はうまく言語化できなかったのですが、いま考えると、わたしが求めていたのは単なる「出会い」ではなく、「予期せぬ出会い」だったんです。マッチングアプリでは、出会うために相手の条件をチェックするけど、見れば見るほど「予期せぬ出会い」からかけ離れていくじゃないですか。それで、本をきっかけに偶然の出会いが起こるとしたら……と想像して、「本棚で手と手が重なるような出会い」をサービスで生み出そうと考えました。
——「本棚で手と手が重なる」のもロマンチックな出会いですね。
森本:ですよね。でも、本を軸にサービスを考えてみると、良いことがたくさんあるなって。本って“ストイック”なエンタメだと思っていて、人それぞれ印象に残るシーンが違ったり、頭の中で想像したりしなければならないじゃないですか。だからこそ、人と共有することでより価値が高まるというか、その違いを楽しめる気がするんです。
共有するときにも、固有名詞で自分を語るような気恥ずかしさがそこまでないというか……人それぞれ着眼点が違うから、詳しいかそうでないかでジャッジされることも少ないですし。
それに本って、他のコンテンツと比べると時間の過ごし方が違う気がするんです。映画や漫画は時間を区切って一気に味わうけど、本は生活の中で少しづつ読み進めていくこともできますよね。生活の中に一番入り込みやすいというか、本を開く度に出会いの予感を感じさせて、良い演出装置になるんじゃないかと思ったんです。
判断基準は、「28歳の自分」が使いたいかどうか
——サービスをつくる上で大切にしていることはありますか?
森本:判断基準として28歳の自分が使いたいと思うかを一番大切にしています。わたし、ペルソナを立ててサービスを考えるのが苦手で。現実には存在しない人を思い描くより、28歳の自分のためにサービスをつくりたかったんです。だから、当時の自分にユーザーインタビューするつもりで、過去のインスタや読んでいた本、書いていたメモを掘り起こして、ひたすら価値観をすり合わせながらサービスを考えました。
20代後半の自分の手帳を見てみると、1日に2件も会食が入っていたり、打ち合わせ続きだったり、そのわりにカードの利用明細はとんでもない金額になっていたりして……。そんな忙しい人の日常の隙間に入り込むには、本も難しすぎず、文庫本で読みやすいものがいいでしょうし、「Chaptersから何か届いたから開けてみよう」と思えるものがいいかなぁ、と。
Chaptersの月額料金を税別1,800円にしているのも、映画一回観る値段がだいたいそれくらいだから。忙しくても月一回映画を観に行くくらいなら気軽ですし、一般的なマッチングサービスだと「男性3,980円、女性は無料」みたいな感じだけど、それも違和感があって。そういう既存サービスの枠組みではなく、男女かかわらず同じように楽しめるエンタメとして捉えてほしいんです。
今でも新しい機能を考えるときは、「28歳の自分」がジャッジしています。
——ということは、他の人に相談や壁打ちはしなかったんでしょうか。
森本:しなかったですね。まだ出してないサービスについてあれこれ言われてリリースが遅れるのであれば、自分がつくりたいものをつくって、お客さんに直接反応をもらったほうがいいなと思いました。
——自分も実際に使ってみたのですが、本を読むようなUI(ユーザーインターフェイス)だと感じていて。こうしたオリジナリティも、自分の価値基準を一番大事にしているからなのかもしれないですね。
森本:そうかもしれません。相談はもちろん、他のオンライン書店のサービスなども参考にしませんでした。他社サービスの研究をしてしまうと、どうしても考え方が引っ張られてしまうので。サービスのUI設計も、信頼できるデザイナーさんと二人三脚で「本棚で手と手が重なるような出会い」がどうやって生まれるかを考えていきました。特定のツールを使わず、それこそお絵かきぐらいの感じでラフに描いて、それを現取締役にあたるエンジニアの星野(快氏)に実装してもらいました。全部で140ページくらいの手書きだったのですが、よく実装してくれたなと(笑)。
——それはどんな内容だったのですか?
森本:手と手が重なるとき、平熱よりちょっと高めになるというか、ふたりが同じくらいのテンションで出会えたほうが楽しくなるんじゃないかと考えたんです。それで、いわゆるネットサービスのセオリーにとらわれず、やらないことを決めました。
たとえば会員登録のとき、ハードルを下げて見込み顧客を獲得するために、まずは無料会員登録、次に購入……みたいに設計することが多いんですけど、Chaptersでは会員登録と購入が同じタイミングで済むようにしました。お客さまにとっては何度も入力するのは面倒だし、はじめからお金を払うつもりの方が会員になってくれればいいかなって。
「1000分の1で会えたね」って言いたい
——ここからは外山さんも交えて、サービスの設計意図と、実際にユーザーがどう感じているのかを伺えたらと思います。Chaptersには、「本との出会い」と「マッチした人との出会い」という二つの出会いがありますよね。選書では、4冊の本が選択肢にありますが、どれを選んでも面白かったと思ってもらうために、選書に相当力を入れていると思います。選書の基準について教えてください。
森本:出版社や書店員の方を選書アドバイザーとしてお迎えしているのですが、読書習慣のない友人にも薦めたいかどうか、エンタメとして読みやすいかどうかを大切にしています。
アドバイザーから候補として挙げてもらった本を、わたしが読んで最終的に決定するのですが、冒頭の100ページを読んで、面白いと思えるかを一つの基準にしています。
なぜ、100ページなのかというと、Chaptersを使っている方の7割が、月に読む本の量が一冊以下なんですよね。100ページ読むのにだいたい1時間くらいかかるとして、仮に120ページから面白くなったとしても、それまでが面白くなかったらその1時間、しんどいじゃないですか。忙しい中でせっかくその1時間を確保したはずなのに。
だから、わたしが100ページ読んでみて、選書してることすら忘れてしまうくらいのめり込んで、楽しめる本を選ぶようにしています。普段複数の本を同時並行で読むのですが、時々100ページ読まずに“積読”にしていた本をもう一度読んでみると「あれっ、面白いじゃん」ってなることもあるので、結局選書が決まるのに8カ月かかったこともあります。
外山:やっぱりそれだけ時間をかけているぶん、本当に選書が良いんです。わたしはユーザーの中では本を読むほうだと思うんですが、知っている作家だけど、読んだことない本と出会うことが多くて。今の100ページの話を聞いて、なるほどと思いました。
森本:本って、「この1冊でこれを学べる」とかじゃなくて、人それぞれ、さらには読むタイミングや自分の置かれた状況によって、琴線に触れる部分が違うから楽しいんですよね。だから、せめて100ページ以内でわたし一人の琴線くらいには触れていないと、自信を持って本を届けられないな、と思って。
このサービスを使っていただくからには、できる限り多くの方に楽しんでもらいたいのですが、わたしは書店業界のプロではないので、もしかしたら好みの作品ではないこともあるかもしれません。そんなとき、「あれ? わたしとはちょっと趣味が違ったのかもね」と、本当の友達と本を貸し借りするようなテンションで受け止めてもらえたらいいなと思っています。
——選書を4冊にしたのは何か理由があるんでしょうか。
森本:「数多ある本の海から選んだ一冊が重なって出会えた」ほうがロマンチックだし、理想ではあるのですが、それだと時間がかかりすぎるじゃないですか。「いつか偶然出会えるかも」みたいなサービスもいいけど、28歳の自分だったら続けられる自信がなかったので。そこはちゃっかり、100%ロマンチックを追求するというより、80%くらいでいいから絶対に出会いたかったんです(笑)。
それで、選ぶ楽しさを感じられるように、書籍名を明かさず、説明文とクリエイターさんの写真やイラストをつけて、4冊の選書の中から直感的に選べるようにしました
4冊にしたのは、5回本を選ぶと4分の1の5乗で1024分の1になるからです。半年くらい続けて、もし最高の人に出会えたら、「わたしたちって、1000分の1の確率で会えたね」って言えるじゃないですか。
——確かに、「1000分の1で会えたね」は言いたいです。
森本:ですよね! 「4冊のほうが離脱しにくい」とか、そういう理由ではまったくないんです(笑)。
従来のマッチングサービスとは真逆の「はじめまして」体験
——同じ本を選んだ人と話すことができるビデオチャットの「アペロ」も、ユーザーにとっては面白い体験です。
森本:好きになるときって、「しゃべり方が好きだな」とか「居心地がいいな」とかその人のルックスに関係する情報って意外と関係ないと気づいたんです。でも顔を一番重要な情報にしたくないとは言いつつも、気にならないと言えば嘘になる。
だから、最初は顔を見せないで、徐々に顔が見える、という体験にしたんです。ちなみに、最初の5分で下半分が見えて、10分で上半分が見える設計にしたのは、チーム3人でいろいろとテストしてみて、一番ロマンチックだと思ったからです。声だけだと想像とギャップが出るかもしれないし、ちょっと見える顔が「タイプじゃないかも」と思っても、話しているうちに「面白いな」「気が合うな」と思えたら、全部顔がわかっても「友達になりたい」ってなるんじゃないかと思って。
——相手とコミュニケーションが続くように2分ごとに質問が流れてくる設計も、何を話すか自分で決める必要があった従来のマッチングサービスの体験とは異なります。
森本:本を読んでその感想をシェアするって、ある意味、自分の心のやわらかいところに触れるようなことじゃないですか。だからこそ、むやみに傷ついてもらいたくないというか、自分自身を詳しく明かさないでも済むように、あらかじめ質問を用意したんです。
とはいえマッチングサービスである以上、相手の条件を早く知って、価値観をすり合わせたいというニーズもある。だからChaptersでは、質問に答える中で自分の情報を言ってもいいし、言わなくてもいいっていう設計にしてるんです。
たとえば、最初の質問は「今日何を食べましたか?」から始まります。それからいくつか共通の質問の後、本にまつわる質問をします。「この本の小説は山が舞台でしたが、あなたは海と山どっちが好きですか?」とか「この結末の主人公の判断を許せましたか?」とか。本の知識を披露するような質問ではなく、あくまで相手の価値観を知ることができる質問にすることを意識しています。
外山:その質問がありがたいんですよね。変に頑張って盛り上げようとしなくてもいいから、いつも気楽に参加できるんです。本そのものを語るというより、自分が主語になる話をするから、短い時間でも相手と価値観が合うかどうかわかるんです。
森本:それにそもそも、初めて会う人にいきなり自分の個人情報を渡すのは嫌じゃないですか。
外山:わかります(笑)。毎回「名前はユカです」から始めるの、面倒ですよね。
森本:だからビデオチャットを始めるときも偽名を推奨しているんです。
外山:「ステファニー」とか「メアリー」とか。いつもと違う自分になれる気がします。
森本:もし傷ついたとしても、違う人の名前であれば、本名よりも心理的な距離が取りやすいかなと思ったんです。アペロが終わったときに、相手の名前も住んでるところも職業もわからないってことも結構あるんですよ。
——それでも、また会いたいと思えた人なら会うということですね。外山さんは実際にアペロを通じてオフラインで会いましたか?
外山:女性の方なんですけど、アペロが終わって連絡先を交換したら、とても家が近いということがわかって。その後二人でランチに行きました。今でも仲が良くて、本をきっかけにこんな出会いがあるんだって嬉しかったですね。
会う人や時間を運営側が決める理由
——「本棚で手が触れる体験」を実現するために、選書やビデオチャット以外で大事にしていることはありますか?
森本:本を選ぶ以外は、一貫して「受動的」でいられることを大事にしています。自分がマッチングサービスを使っているときって、全部自分で選んでいたなと。会う人も、食事の場所も、待ち合わせの時間も。それってすごく疲れるんですよね。だからChaptersでは、お客さまに本を選んでもらうだけで、あとは運営側で調整ごとは全部請け負っています。
ただ、アペロの日程は一度決定したらキャンセルできないようになっています。何度も日程調整をしてもらうと、それだけで煩雑になってしまう気がして。あくまでお客さまが受動的でいられるのを優先しています。だから毎回3割くらいはキャンセルになってしまうのですが、くれぐれもご了承くださいとお伝えしています。
外山:本を選ぶだけで何もしなくていい、というのはこれまでのマッチングサービスとは違って、楽でありがたいです。
——他のサービスは基本的に自分でいろいろと判断しなければならないですからね。
森本:受動的にすると、もし本や相手との相性が合わなくても、サービスのせいにできるのも良い点だと思っています。これまでのマッチングサービスだと突然連絡が途絶えたりすると、「わたしが何か悪いことしたのかな」って不安になったり、自分を責めたりするじゃないですか。
でも、そもそもこれだけたくさんの人がいて、すぐに素敵な人と出会えるなんて難しいと思うんです。そんなとき、本を選ぶ以外は全部受動的だと、「たまたま選書が悪かった」「たまたま運営側が選んだ人が合わなかったんだ」って思える。責任を転嫁する相手がより具体的な方がいいかなと思って、サービスに関するお知らせも、全部「Chaptersの森本萌乃です」と名乗るようにしてます。
外山:ただ、ユーザーからすると森本さんのせいだって思うことは一度もないんですよ(笑)。それは、会えない可能性があることをしっかりと事前に説明しているからだと思っていて。もし、相手が来なくても、「今日は縁がなかったんだな」と思うくらいです。
わたしにとっては、どんなに受け身でも本と人との偶然の出会いが2回起こるのがいいんですよね。とりあえずポチッと選んだら、本が届いて、読んでみたら面白くて、アペロの日程も調整してくれて……頑張らなくていいのがいいんです。
——設定されている金額や「全部受動的で済む」という体験設計が、適切な期待値を生んでいるんですね。ただ、そんなに期待をしていなくても、継続して使っているのは、「もしかしたらロマンチックな出会いがあるかもしれない」という期待があるからでしょうか。
外山:最終的なゴールは「良い人と出会いたい」というのは間違いないんですが、出会うまでのプロセスが楽しいから、使い続けているのだと思います。本の紹介文を読みながら吟味するのも、本が届くまでの時間も。だから、たとえアペロで良い人と出会わなくても、楽しかったという体験が得られるので、それで満足できるんですよね。実際に良い本とも出会えますし。
これからも28歳の自分のためのサービスを
——Chaptersは書店的な機能だけを求めるユーザーも一定数いるそうですね。元々、本を起点としたマッチングサービスをつくりたかったと思いますが、今後どんなサービスにしようと思っていますか。
森本:恋愛目的で始めたサービスなので、ロマンチックな出会いを求める人のためのサービスにはしたいと思っています。
一方で、選書サービスがここまで人気になると思わなかったので、書店としてももっと良いものにしていきたいです。書店である以上、あらゆる人に開かれた場にしたい。リアルな大型の本屋さんでたとえると、未婚の方と既婚者の方が別々のフロアで楽しめるといいですよね。
もちろん、あらゆる恋愛対象の人にも対応したい。今もまた紙に書きながら次の設計を考えています(笑)。
——最近、資金調達されましたが、これからどんなアップデートを考えていますか。
森本:よりロマンチックな出会いが起きるようなアップデートを考えています。実は、選んだ本とアペロで選んだ日程が合うだけでも、結構低い確率でのマッチングなんですが、例えば「住んでいる場所が近い」とか、「これまでの購入履歴が似ている」といったロジックを組み込もうと思っています。
Chaptersのあるべき姿を考えたときに、受動的でいられる偶然の出会いは大切だけど、お客様それぞれが求める出会いのニーズは多岐にわたることを知り、そのニーズにもう少し応えていきたいと思ったんです。求める出会いは恋愛なのか友人なのか、目的に応じてマッチしそうな会員様をご紹介し、誘い合える機能を12月に実装したところです。
AIでマッチングするのが最新のように思われるかもしれないけど、大切なのは手法ではなく、自分にぴったりの人に楽しく出会うこと。Chaptersとして「きっかけは同じ本」というロマンチックな出会いの前提は崩さずに、より求める出会いを楽しく、幅広くお届けできるサービスを目指したいですね。
——28歳のときの自分に向けてサービスを作っているというお話がありました。そこは今も変わらないのでしょうか。
森本:変わらないです。今ちょうど、ユーザーの平均年齢が28歳なんです。データを見たときにガッツポーズでしたね。「あ、救えてる」って思いました。
テクノロジーによって、どんどん自分に合うモノがオススメされるようになってきますが、自分の想定の範囲を超えた「偶然の出会いにときめきたい」っていう強い思いに、アルゴリズムが選択したものは勝てないと思っています。
Chaptersを通じて、「ロマンチックな出会いがあるかも」という期待が、人生の楽しみの一つになってくれたら嬉しいですね。
執筆/イノウマサヒロ 編集/大矢幸世 撮影/須古恵