2018年9月4日、虎ノ門ヒルズにてCX(顧客体験)について真剣に向き合い、考えるイベント「CX DIVE 2018」が開催される。今回のイベントでは、各分野におけるCXの新しい取り組みをしている「企業、ブランド、人」にフォーカスをあて、第一線でCXトランスフォーメーションをリードするゲストたちとともに、CXは今どうなっているのか、これからどうなっていくかを考える機会を創出する。
「XD」では、イベントに先駆けて登壇ゲストのストーリーを紹介していく。今回紹介するのは、「AR Platform × CX」セッションに登壇するNiantic アジア統括マーケティングマネージャーの須賀 健人氏だ。
NianticのPokémon GOのグローバルのマーケティングの責任者として、Pokémon GOのグローバルのマーケティング統括。Niantic以前は、Google にて、 Android、Nexus、Google Playのアジア地域のマーケティングを担当し、Nexus 7 Dance with studentsなどのCMも制作。これまでに、東日本大震災で失われた美しい風景や、懐かしい景色、写真・動画などの思い出を未来に残すためのプロジェクト「未来へのキオク」や大規模な災害が起きた時に必要で正確な情報を提供するためのプロジェクト「Crisis Response」などにも参画。2015年8月より現職。
「ゲーム」を作ることが目的ではない
「ポケモンGOはNianticにとってゴールではなく始まり」ーーそう須賀氏は語る。
Nianticは「歩いて冒険しよう (Adventures on foot) 」を企業ミッションに掲げ、これまでに「Ingress(イングレス)」や「ポケモンGO」など、ユーザーが熱狂するサービスを手がけてきた。
同社は、ハリー・ポッターを題材とした新ゲーム『Harry Potter : Wizards Unite』のリリースを控えているだけでなく、拡張現実プラットフォーム「Niantic Real World Platform」を発表し、独自のゲームやアプリの展開を望むサードパーティー開発者を募るなど、話題に事欠かない。
魅力的なサービスを展開し、ゲーム業界の内外の注目を集める彼らの根底に流れる課題意識としてあるのは、“テクノロジーを用いて人を外に連れ出し、人と人をつなげる”こと。「ゲームはそのための手段の一つです」と須賀氏は言う。
すべては人を外に連れ出し、人をつなげるために
かつて、Niantic創業者のジョン・ハンケ氏は「どうやったら世界が変えられるか?」という問いに対して、「人が外に出ればいい」と語った。
外に出れば、運動をする。
外に出れば、発見がある。
外に出れば、人とつながる。
運動、発見、つながり。これらの蓄積が社会を動かし、世界を変える。これがNianticの創業者の考えだ。
須賀「とある統計データによれば、年間5,700万人が運動不足によって命を落としています。大人は1日のうち9時間をディスプレイの前で過ごし、子どもも3時間は画面の前で過ごしている。大人も、子どもも、運動不足が深刻な状態です」
この課題を解決することを目指して、Nianticは一つの手段としてゲームを選んだ。
ゲームそのものをつくることを目的とせず、より大きな課題を解決するための一つの手段として考えている。ユーザーに良質な体験を提供しようとする姿勢が、大ヒットゲームの提供につながっているのだろう。彼らが考える理想とする顧客の体験を生み出すために、どんなアプローチをとっているのだろうか。
「共有性」と「共通性」という2つの体験を重視する
理想の顧客体験のために、Nianticが重視しているのは「共有性」と「共通性」という2つのポイントだ。
須賀「『ポケモン GO』がヒットした理由には、日本が産んだ素晴らしいコンテンツをベースにしていることはもちろんですが、『共有性』と『共通性』という2点があったからだと考えています。共有性は、ユーザーが『こんなところにポケモンいた!』と体験を写真で共有しやすい。
共通性は、同じ場所に行けば同じポケモンがいるという、プレイヤー全員が同じ体験をできるというもの。これら2つの体験が、ユーザーの思い出に残ることにつながっています」
「共有性」と「共通性」の追求は、Nianticが「コミュニティ・デイ」のようなイベントに注力する理由でもある。イベントを通じて、共有性と共通性の高い体験を生み出し、プロダクトとユーザーの絆が深まっていく。
ただ、Nianticにとってゲームはあくまで手段。彼らのミッションは、「歩いて冒険しよう」だ。そうなれば、イベントの設計の仕方も変わってくる。
須賀「私たちがイベントで大切にしているのは、ユーザーにゲームのためだけに来てもらわないようにすること。せっかく外に出るのであれば、ゲームだけやって終わりにするのではなく、新たな発見やつながりが生まれる機会になってほしいと考えています」
彼らは、徹底的にユーザーの根本にあるニーズに向き合う。「何がユーザーにとって良い体験になるのか」を考え、プロダクトやイベントを通じて体験をデザインしようとしている。
「CX DIVE 2018」でARが生み出す顧客体験の未来に触れよう
Nianticが描く理想の顧客体験のためには、ARというテクノロジーをどう活用するかも合わせて考えなければならない。
「私たちにとって、『AR』という技術はもっと定義が広いものなんです」ーーそう須賀氏は語る。現在のNianticのプロダクトに用いられているAR技術は、すべての可能性を発揮したわけではないのだ。
であれば、拡張現実プラットフォーム「Niantic Real World Platform」を始めとする開発中の技術は、彼らが実現したい状態のためにどのように貢献するのだろうか。
「CX DIVE 2018」の「AR Platform × CX」セッションでは、理想とする顧客の体験に向き合うスタンス、ARという技術を通じてどう理想とする体験を実現するのかを伺う。
ARはどのような顧客体験の未来を生み出すのか。気になる人は、ぜひ「CX DIVE 2018」に足を運んでほしい。
CX DIVE 2018
https://cxdive.com/