自身の不足した栄養を補う手段を検討した時に、世の中には様々な提案で溢れている。しかし、必要そうな栄養素を手探りで採ってみるものの、いまいち実感が湧きづらい。サプリメントという手軽な手段があるものの、選択が正しいかどうかに不安になる。そんな風になかなか継続できない悩みを抱えている人は意外と多いのではないだろうか。
そんな中、ファンケルは、一人ひとりに最適なサプリメントをワンパックにして届ける「パーソナルワン」の販売を2月20日からオンラインで開始した。健康意識の高い、50代から60代の男女をメインターゲットに据える。
尿検査とアンケートによって栄養の充足率を測定
「パーソナルワン」は、食習慣や生活習慣に関するアンケートと尿検査から健康状態を分析し、最適なサプリメントをオーダーメイドで提供するサービスだ。「サプリメント事業を立ち上げた時からの目標だった」と創業者の池森氏が語るように、1994年のサプリメント事業開始から25年以上の歳月を経て、満を辞しての投入となる。
サービスは、まずオンラインでアンケートに回答し、その後送られてくる尿検査キットで採尿しポストに投函。後日検索結果を専用ページで確認することができる。
検査結果をもとにその人にあったサプリメントが提案されるので、自分で必要なサプリを選び注文する流れになる。粒数や種類によって、提案の組み合わせは10億通り以上になるという。
身体の基盤となる栄養素を摂るための「ベースサプリ」と、健康の悩みを対策するための「健康悩み対策サプリ」の大きく2つの項目でサプリが提案され、自分で必要と感じるものを選択していく形となる。基本栄養検査キットは5,500円かかるが、初回購入時には、同額のキャッシュバッククーポンがプレゼントされる。サプリは1ヶ月分で4,000円〜40,000円程度が目安となる。
国内で日常的にサプリメントを服用するのは3割
「人生100年時代」といわれる中で、健康寿命への関心の高まりに伴い、年々拡大するサプリメント需要。かなり普及した印象のあるサプリメントだが、ファンケル によればサプリメントを日常的に摂取するのは国内25歳〜74歳の男女のうち約3割程度にとどまるという。
「サプリメントは栄養の補給と考えていると思いますが、予防医療という点でも大変重要な役割がある」と語る池森氏。高齢化が進み、2060年には人口の約4割が65歳以上になると予測される中で、医療費を削減するためにもサプリメントをより普及させていきたい考えだ。
継続利用を阻害する壁「本当に必要な栄養素がわからない」
では、サプリメントがいま以上に普及するためにはどのような壁があるのだろうか。最近ではコンビニエンスストアでも販売しているため、入手はかなり容易な状況にある。しかし、利用者からは「自分に本当に必要な栄養素が分からない」「自分が選んでいるサプリメントが本当に合っているのか不安」といった声が多く寄せられており、そこが継続的にサプリメントを摂取する上での壁となっていることがわかった。
そんな悩みを解消するべくサービスを開始するのが「パーソナルワン」だ。必要な要素は、「栄養状態の見える化」と「一人ひとりに合わせたサプリメントの提供」。栄養状態を見える化する上で、「定期的に検査することが重要」という観点から、痛みを伴う血液検査ではなく、唾液や尿から栄養素の充足率を検査する方法を研究してきた。
採取が容易な尿検査は、鉄と亜鉛が測定できない問題があったが、これを研究によって推定式を開発。これによりサービス化の実現に至った。
「人によって体格や体質、食生活や生活習慣が異なるため、不足している栄養素やサプリメント摂取による効果を見える化して、お客さま一人ひとりの健康に本当に必要なサプリメントを提供することができれば、もっとサプリメントの有用性が高まる」と若山氏は語る。
服用単位での個包装で服用しやすく
検査結果により提案されたサプリメントを選択して注文する形となるが、1日2回分の服用単位に分けた個包装で届けることで、服用しやすくした。分量を毎回確認しながらそれぞれのパッケージから取り出すのは意外と手間となるため、継続率の向上が期待できるだろう。
また、一般に販売されている複数のサプリメントを服用する場合、成分の重複による過剰摂取が懸念されるが、そういった問題も起きない点は安心して利用できるポイントだ。加えて、パーソナルワン相談窓口も開設しており、栄養状態や悩みに応じたアドバイスや、3万種類の薬との飲み合わせについても回答できるようにデータベースを構築している。
毎日の食事でどのような栄養が採れているかは必要なサプリに常に影響してくるが、食事を採った栄養素を把握でき、栄養士のアドバイスが受けられるサービス「あすけん」とも連携することで、そこも把握できるようにしている。「あすけん」のプレミアムサービスと同等の機能を持つ「ファンケル パーソナルワンコース」を無料で利用することができ、毎日服用しているサプリが栄養をしっかり補えているかを確認できるようにした。食習慣に変化が生まれた時のサプリメントの見直しの参考にすることができる。
必要な商品を開発するだけでは物足りないフェーズにきている。より必要なモノを顧客に届けるためのサービスの構築。そこまですることで、真に顧客に喜ばれる製品を届けることができる。サプリメントが新たな局面に向かうきっかけとなりそうだ。