2018年9月4日、虎ノ門ヒルズにてCX(顧客体験)について真剣に向き合い、考えるイベント『CX DIVE』が開催された。主催はCXプラットフォーム「KARTE」および「XD」を運営するプレイド。
人々の消費行動やテクノロジーが変化する中で、CXには次々と新しい考え方や取り組みが生まれている。CX DIVEでは、第一線でCXのトランスフォーメーションに取り組む12名のゲストが登壇。さまざまな領域における多様な知見が共有された。
台風の近づく荒天の中ながら、全11のセッションへ期待を寄せ1,200名以上の参加者が来場。虎ノ門ヒルズフォーラムの会場はどのセッションもほぼ満席となり、高い熱気に包まれた。
「チームラボ ボーダレス」が生み出した体験とは
イベント冒頭のKey Sessionでは、森ビル株式会社 MORI Building DIGITAL ART MUSEUM 企画運営室長の杉山央氏とチームラボ代表の猪子寿之氏が登壇した。
本セッションでは、2018年6月にオープンした「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」に関して、CXの観点から紹介された。
同ミュージアムは、延べ1万平米という巨大な空間を用いてデジタルアートを展示している。セッションでは展示の概要だけでなく、森ビルがどのような思いで事業を手掛けたのか、猪子氏が作品に込めた思い、事業を進めるうえでの裏話などが語られた。
CXの分野で先進的な取り組みを行うプレイヤーが登壇
当日は、事前インタビューでもご紹介している「Pokemon GO」を生み出したNianticの須賀健人氏、株式会社ウツワのハヤカワ五味氏、株式会社ニューズピックスの小野晶子氏を含む、9つのセッションが行われた。
フードビジネスやエンターテイメント、音声インターフェイスなど、いずれも各領域に専門性を持ちながら、CXの分野で先進的な取り組みを行うプレイヤーが登壇。一部セッションでは立ち見での参加者も出るほどの人気を博した。
会場全体が体験の「拡張」を感じた最終セッション
イベントを総括するClosing Sessionでは、一般社団法人WITH ALS代表の武藤将胤氏が登壇した。
WITH ALSは、武藤氏がALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者として2016年に立ち上げたものだ。現在は、ALS患者の置かれた現状を、自身の体験を通じて世界中に周知し、治療方法や支援制度の向上を目指す活動を行っている。また、ALSやその他難病患者、その周辺の人々などのQOL(Quality of Life)向上に寄与するプロダクト開発にも取り組んでいる。
セッションでは『BORDERLESS EXPERIENCE』をテーマに、武藤氏が手掛けてきた3つのプロジェクトを紹介。障がい者・健常者という境界をなくした視点を持つことで、新たな体験と価値創造につながるという話が述べられた。
セッション外にも、顧客体験を意識した様々な試みを
今回の『CX DIVE』では、Experience Partnerとして18社が参画。体験コーナーも設けられ、各企業が提供するプロダクト等が展示された。いずれもCX領域に注力する企業で、参加者も興味深く説明を聞き、新たな体験を楽しんでいた。
また、今回のイベントに参加いただく方々のコミュニティづくりをサポートするため、コミュニケーションプラットフォーム「HELLO, CX DIVE」も用意された。
このプラットフォームでは、セッションへのコメントを投稿することで、CXに関する議論や、各セッションの盛り上がりの様子、意見の可視化をしてくれた。
全11のセッションを通して見ると、各所で「BORDERLESS」というキーワードが出たのが特徴的だった。ゲスト同士が事前に打ち合わせしたわけではないにも関わらず、共通したキーワードが出た。これは今後のCXを考えていくうえで、一つのポイントとなるかもしれない。XDでは、全セッションのレポートを順次公開するので、楽しみにしていてほしい。
次々と新しい取り組みが生まれるCXをテーマにしたイベントで、これだけ多くの参加者が来場したことは、今後の顧客体験の変化を占う上でも心強い結果といえるだろう。
トッププレイヤーから共有された知見をもとに、参加者が考え実践することで、より多くのナレッジが社会に蓄積されていく。CX DIVEをきっかけにCXと向き合い、考え、実践する人が増えることを期待したい。