その人に合わせた体験価値を提供するーー。
スターバックス コーヒー ジャパンが、大手町・丸の内エリアなどのオフィス街を中心とした東京都内の56店舗で、アプリで事前に注文・決済して、店舗では商品を受け取るだけの新サービス「Mobile Order & Pay(モバイルオーダー&ペイ)」を6月26日から開始した。2019年末までに300店舗、2020年中に全国展開を目指し、順次取扱店舗を広げていく予定だ。
急いでいる人にはスピードを最大の体験価値に
「モバイルオーダー&ペイ」は、スターバックスのアプリで事前に注文&決済し、指定した店舗で列に並ばずに商品を受け取ることができるサービス。
スターバックスといえば、「人々の心を豊かで活力あるものにするために」というミッションを掲げ、1杯のコーヒーを通じて生まれるコミュニケーションを大切にしてきたが、忙しい利用客に対しては違う体験価値を重視する。
スターバックス コーヒー ジャパン デジタル戦略本部 本部長の濱野氏は「モバイルオーダー&ペイを利用するお客様は、店内でゆったりと時間を過ごしたいのではなく、すぐにピックアップして帰りたいという時間のないお客様がメインになる。そのようなお客様に対しては、待ち時間を短縮することが重要で、少しでも早くお渡しすることが大切だと考えている。笑顔でお渡しするということは大切にしながら、スピードを最大の体験価値として提供したい」と、語る。
「モバイルオーダー&ペイ」の注文が増えれば、その分店舗スタッフの手も空くため、これまで以上に店舗で過ごす顧客への接客に時間をかけることができるようになる。すぐに受け取りたい顧客のニーズを満たしながら、店舗のサービス向上にも繋げる。
先行して導入された56店舗は、オフィス街と郊外の2パターンがある。郊外に関してはショッピングモールで子連れや荷物が多い利用客など、列に並ぶのが大変なケースでの利用を想定する。このような観点では、これまで利用を諦めていた顧客の訪問が期待できるサービスとも言える。
長い列ができた店舗でもすぐに受け取れる
スターバックスのアプリを最新版にアップロードすると、「モバイルオーダー&ペイ」のメニューが表示される。「近くの店舗」もしくは「店舗一覧」から注文したい店舗の選択が可能。現時点では受取時間の指定はできないため、最短で約5〜10分後の受け取りとなる。
現在は、定番のドリンクを中心に40品目扱っている。フードなどは現在扱っていないが、取扱商品は今後順次拡充させていく方針だ。
スターバックスといえば、いろいろとカスタマイズして注文できるのが特徴だが、「モバイルオーダー&ペイ」でももちろん可能。レジで慌てることもなく、じっくり選べるのは事前注文ならではのメリットだ。
注文が完了すると、産地と番号で組み合わされた受取番号が表示される。あとは、受取時間を目安に店舗に行き、受取カウンターで受け取るだけだ。
店舗では「モバイルオーダー&ペイ」が置かれるスペースが用意されているが、私が訪れた店舗では、そこには置かれておらず、店員に声をかけて渡してもらう形だった。満面の笑みで手渡していただき、スターバックスらしさがあらわれていた。
ちなみに、注文の履歴から再注文することが可能なので、お気に入りのカスタマイズを1度作ったら、繰り返し簡単に注文することができるのも便利だ。
私自身もスターバックスが好きでよく飲みたくなるものの、待ち時間がネックで買うのを諦めてしまうことも多かった。残念ながら、オフィス近くの店舗がまだ対応していなかったが、対応しさえすれば利用頻度は確実にあがりそうだ。
顧客が求める最適な体験価値を提供する。利用客が自分の状況に合わせてそれを選択できることは、きっとサービスの向上につながることになるだろう。